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第4話

Author: クロエル
last update Last Updated: 2024-12-02 18:16:00
久しぶりに自分の家でぐっすり眠った。

これまで、真白を学校に送ったり、家事に追われたりする日々が続いていたけど、今はひとり。自由な時間がたっぷりある。

でも、親友の露花だけはそんな状況を良しとしていなかった。

「男なんて泡沫みたいなもんよ。しっかり働いて、自分の人生を大事にするのが一番!」

そう言って、私は彼女に強引に会社へ引っ張られた。

「人手が足りないから、数合わせでもいいから働いて!」なんて言いながら。

私の上司は若い男性だった。入社して数年で部長に昇進した実力者らしい。

久しぶりの会社勤務で戸惑っていた私に、彼は親切に社内を案内してくれた。

その柔らかな笑顔を見ていると、高校時代に戻ったような気分になった。

かつての誠一郎もこんなふうに笑っていた。春風のような笑顔――ただし、その笑顔はいつも麗華にだけ向けられるものだった。

他の誰かがそれを享受することなんてなかった。

結婚してからは、私に対して笑顔を向けることはほとんどなくなった。

そんなある日、私はついに誠一郎から離婚届を受け取った。

彼がそれを手渡す時、何か言いたげだったけれど、言葉にはならなかった。

「何か?」と私が直接聞くと、彼は少し口を開いた。

「いや……その……」

彼の言葉を遮るように、私はその場を離れた。

麗華が戻ってきたあの日から、どれだけ努力しても誠一郎の心を動かせないことは分かっていた。

だから、これ以上時間を無駄にする意味なんてない。

歩いていると、背後から私を呼ぶ声がした。振り返ると、そこには彼の妹――凛花(りか)の姿があった。

凛花は昔から私と仲が良かった。高校時代も同じ部活に所属していた仲だ。

「お姉さん、私ついさっき海外から戻ったばかりなの!お祝いにご飯奢ってよ!」

そんな風に冗談めかしながら、近くのレストランへ私を連れて行った。

席につくと、凛花は真剣な表情で問いかけてきた。

「ねえ、お姉さん。本当に兄さんと離婚しちゃうの?」

その口調は疑問文だったけど、信じられないというニュアンスが含まれていた。

私は静かにうなずくだけだった。

すると、彼女は悔しそうに顔をしかめた。

「なんでよ!月島みたいな小賢しい女のせいで?彼女が戻ってきたら絶対何か問題が起きると思った!」

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