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第007話

これを聞いて、私は内心の喜びを抑えた。

松本咲夜は本当に愚かだった。私が欲しいものを、自ら差し出してくるのだから。

私は隅に寄り、怯えたように震え、口を開きかけたが何も言わなかった。

エレベーターのドアが開くと、咲夜は勝ち誇ったオンドリのように、鼻高々にエレベーターを出て行った。

私もそれに続いて出て、食事を嵐真の机に置いた後、黙ってソファに座った。

松本嵐真はすぐに私の様子がおかしいことに気づき、私を抱き寄せ、顎を私の肩に乗せた。

甘い息遣いで囁いた。「誰が俺の小さな野良猫を怒らせたんだ?」

顔を上げると、私の目が赤くなっているのを見て、少し慌てた様子で「どうしたんだ?」と尋ねた。

私は泣きながら、エレベーターでの咲夜の脅迫について嵐真に話した。

嵐真の顔色が青ざめ、スマートフォンを操作した。通知が鳴ると、彼の顔は墨を垂らしたように黒くなった。

エレベーターの監視カメラの映像を確認したのだとわかった。

私は泣きじゃくりながら言った。

「私は大丈夫です。あなたを愛しているから、何の保証もなくてもあなたのそばにいます。

でも、私たちの息子は無実です。お姉さんに恨まれるのは嫌です。

私はあなたのお金が目当てじゃありません。くださったアンリミテッドカードも一度も使っていません。

私と息子は何も要りません。ただ、息子が愛に満ちた健康な家庭で育つことを願っています」

私は話すほどに悲しくなり、最後には号泣して、息が詰まって気を失ってしまった。

再び目覚めると、嵐真が興奮した様子で私を見つめていた。

「水見、また子供ができたんだ。今度は双子だよ!」

彼は私をきつく抱きしめ、温かい涙が私の首筋を伝った。

「まさか、こんなに子や娘に恵まれる日が来るとは思わなかった!

水見、君は本当に俺の大きな幸運の星だ!」

彼は私の手の中に指を絡ませ、声を震わせて言った。「君に正式な立場を与えたい。俺の妻になってくれないか?」

「盛大な結婚式を挙げよう。全て君の好みに合わせて。長男に花束を持たせて、10カラットの大きなダイヤの指輪を贈ろう!

そうだ、会社の株も君にあげる。息子たちにももちろん......」

彼は興奮して言葉を次々と並べ立て、未来への夢を語り続けた。

私は微笑み、穏やかに彼を見つめた。静かで幸せな時間が流れていた。

私の妊娠を知っ
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