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第006話

松本老夫人の声を聞いた咲夜は、救世主を見つけたかのようだった。

彼女は振り返り、祖母の胸に飛び込んだ。「おばあちゃま、早くお父様を説得して。私を嫁がせないでって」

老夫人は私を軽蔑的に一瞥し、静かに口を開いた。「息子よ、あなたはもう大人だから、本来なら口出しすべきではないわ。でも、これは私の唯一の孫娘に関わることだから、説明してもらわないとね」

嵐真は私のお腹を撫で、老夫人に見せるようにした。

私はもともと痩せており、妊娠していてもお腹だけが大きくなっていた。今日はゆったりとしたワンピースを着ていたので、注意深く見なければ妊娠していることはわからなかった。

老夫人は驚いて言った。「彼女があなたの子を身籠っているの?」

嵐真が頷くのを見て、老夫人はすぐに咲夜の手を放し、私の手を取った。「本当?お子さんはもうどれくらい?健康?」

私は恥ずかしそうに頷き、小さな声で言った。「医者が言うには、男の子だそうです」

これを聞いた老夫人は更に喜び、目を輝かせながら、静かに涙を拭った。そして天を仰いで手を合わせた。「あなた、私たちの家系を絶やさずに済んだわ。顔向けができるわ」

無視された咲夜は老夫人の注意を引き戻そうとした。「おばあちゃま、この尻軽な女が妊娠しているのは、お父様の子じゃありません!」

松本老夫人は嵐真を見、それから咲夜を見た。何も言わなかったが、私に対する態度は先ほどほど熱心ではなくなった。

そして別の話題を持ち出した。「孫娘よ、何か辛いことがあったの?おばあちゃまに話してごらん」

咲夜は泣きじゃくりながら、嵐真が彼女を嫁がせようとしていることを話し始めた。

この間、 久保田悠人は傍らで一言も発しなかった。

彼は賢い人間だった。

私が松本咲夜への復讐を決意した時、すでに彼を巻き込んでいた。

彼が咲夜の告白を受け入れなかったのは、彼女と結婚したくないからではなく、むしろ私と同じように貧しい彼は、咲夜を踏み台にして成り上がりたいと強く願っていた。

しかし、松本嵐真が彼らの結婚を許さないことも分かっていた。

そこで私が現れた。私は久保田悠人に、咲夜の前で私と関係があるように匂わせるよう仕向け、咲夜に私たちの関係を暴露させた。

そして私はDNA検査で一歩退いて二歩進み、嵐真に更に信頼されるようにした。

お返しとして、私は彼らの結婚を何
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