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第 0336 話

中村逸は表面上は冷静だったが、内心では「早く違うと言ってくれ。君がただ自分のものだった女が他の男といるのが気に入らないだけだと言ってくれ。彼女が無駄な期待を抱かないように」と願っていた。

男の良さは周りの男たちと比べてこそ分かるものだ。

薄野荊州は手を固く握りしめ、緊張で白くなった指関節が彼の抑えきれない感情を物語っていた。挑発的に顎を上げる中村逸を見つめながら、薄野荊州は突然、冷笑を浮かべて言った。「その証があろうとなかろうと、俺には関係ない。なぜなら、どうあっても、俺は……」

話の途中で瀬川秋辞は彼の背後を指差して、「君の大事な人が来たよ」と言って話を遮った。

「荊州」松本唯寧の声が背後か
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