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第9話

「......あのクソ女、僕が手を出そうとしたら、なんと僕に物を投げつけたんだよ?そもそも彼女は、あんたたちが僕のために拾ってきた遊び道具にすぎないのに、拒む資格なんてあるわけがない」

彼の言葉を聞き、私はあの混沌とした暗い夏の日を思い出した。

あの日、シャワーを終えて部屋に戻ると、レンが部屋に入ってきた。

私の寝間着をじっと見つめ、まるで別人のような目つきだった。

彼は私をベッドに押し倒し、服を引き裂こうとした......

私はベッドサイドのランプを手に取り、彼の頭に叩きつけた。

しかしその時、父が現れた。驚くべきことに、父はレンを叱るどころか、私に平手打ちを何度も浴びせたのだ。

「レンに触れてもらえるなんて、おまえには光栄なことじゃないか!」

私はただ、黙っていた。

その一ヶ月後、レンの成人旅行に同行するよう強制され、暗闇の中へと引きずり込まれた。

こうして、血塗られた真実が母の前にさらけ出された。

母は衝撃に耐えきれず、その場に崩れ落ち、呆然とした目でレンを見つめていた。

「あなたたち......どうして、こんな獣じみたことができるの?」

一日のうちに父と息子の姿が崩れ去り、母はその現実を受け入れることができなかった。

私にはその気持ちがわかる。

まるで、かつて私がレンに押さえつけられ、父に叩かれたあの時のように。

あの時、私は母にすべてを打ち明けたかった。

でも母は冷たい目で私を見つめ、言ったのだ。

「レンと一緒に旅行に行って、彼をちゃんと見守りなさい。もし傷つけるようなことがあれば、おまえも家に帰る資格はないわ」

私は反抗したかったけれど、彼女はその機会すら与えてくれなかった。

「獣よ、あなたたち全員、獣のような人たちよ......」

母はそう呟くと、よろめきながらも立ち上がり、警察を呼びに行こうとした。

だが、母が振り返った瞬間、レンは彼女に殴りかかった。

手にしていたのは、母が成人祝いに贈ったサイン入りのバットだった。

今、そのバットには母の血が付着しており、床にぽたぽたと滴り落ちていた。

「あなた......」

母は頭を押さえながら、信じられないという顔で見つめた。

レンはバットを振り上げながら、徐々に母に近づいていった。

「どうせもう人を殺している。あんた一人くらい増えたところで、変わらないよ
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