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第7話

「僕は、買い物に出かけたところを、あの連中に見つかってしまったんだ。逃げようとしたけど、相手はナイフを持っていて......怖かったんだよ、母さん。本当に、どうしようもなく怖かった。

お願いだよ、警察に捕まらせないでくれ。僕にはまだ未来があるんだ、これから大成するんだよ」

彼は焦りすぎて言葉もたどたどしくなっていた。

「捕まるわけにはいかないんだ。せっかく教師の職も決まったんだよ。僕がいなくなったら、あの生徒たちはどうなるんだ?」

母は彼の腕を掴み、爪が食い込むほど強く握りしめた。

「だけど、あんたのせいで姉ちゃんは死んだのよ。警察は絶対に見逃してくれない」

レンはその場にひざまずき、母に懇願した。

「母さん......姉さんはもういない。僕まで捕まってしまったら、誰があなたの面倒を見るの?」

彼は母の弱点を巧みに突いた―母は「老後は息子に頼るもの」と信じていたからだ。

母の目が揺らぎ始める。

「レン、警察に自首しなさい。自首すれば、刑が軽くなるはずよ」

レンは母の腕を抱きしめたまま動きを止めた。

しばらくして、彼はゆっくりと手を離し、言った。

「母さん、もし僕が自首したら、人生はそこで終わりだよ

姉さんはあなたの娘でしょ?たった一枚の「赦免状」にサインしてくれるだけで、僕は無事でいられるんだ」

レンは母をじっと見据えて言った。

「赦免状があれば、僕は救われるんだよ」

「でも......」母は躊躇していた。

「でも、じゃない!」

レンは怒鳴りつけた。「僕は本当にあなたの息子じゃないのか?こんな小さなことさえ、僕のためにしてくれないのか?」

彼は怒り狂った獅子のように部屋を歩き回り始めた。

「僕が本当の息子だよ!あの女は、路上で拾ってきた野良犬にすぎないんだ。あんなやつを助けて、僕を助けてくれないっていうのか?」

「どうしてそんなことが言えるの?」

レンは嘲るように笑った。

「母さん、そもそも姉さんは僕を生むために拾われたんだろ?僕が生まれた時点で、あの子の役目はもう終わってるんだよ!

あんな役立たずの奴、死んで当然だ。僕はまだ生きているんだ。助けるべきは僕だろ?」

レンは何かを思い出したかのように、急に暴れるのをやめた。

「僕には仲間がいるんだ。もし僕を助けてくれないなら、あのクソババアが無事かどうか保証できない
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