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死の首飾り

死の首飾り

By:  ミナミウエカナミCompleted
Language: Japanese
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深夜、配信を見ていた私は霊能者とライブ通話をつないでいた。 得意げに首から下げたネックレスをカメラに見せる。 このネックレス、交差点で誰かが落としていったものを拾ったのだ。 その後、専門家に鑑定してもらったら、みんな目を丸くして「これは相当な価値がある」と太鼓判を押してくれた。 すると画面越しの霊能者は眉間にしわを寄せ、こう告げた。 「外で拾ってはいけないものが二つあります。交差点で見つけたお金と、髪の毛が絡まったものです」 「そのネックレスには死者の髪が絡みついている。四十九日間身につけていれば、あなたは......別の存在に取って代わられるでしょう」

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Chapter 1

第1話

連休の最終日。私はため息をつきながら残業に追われていた。

時計は午前0時を回り、私は不満げに天井を見上げる。思わずため息が漏れた。

きっと社長は吸血鬼に違いない。

毎日毎日、私たち可哀想な社畜から最後の一滴まで搾り取ろうとしているんだから。

やっと午前4時、仕事を終えることができた。

ビルを出ると、辺りは闇に包まれていた。

近くの朝食処で何か食べてから、また仕事に戻ることにした。

大きな交差点に差し掛かった時、遠くから何やら怪しい音が聞こえてきた。

思わず足を止め、耳を澄ませる。

低く、不穏な音。それは......

女性の艶めかしい喘ぎ声と、男性の荒い息遣いが混ざり合っていた。

私は思わず苦笑い。好奇心旺盛なのは国民性というやつだ。

大通りでそんなことをするなんて、随分と大胆な話じゃないか。

でも、ちょっとおかしい。確かに深夜だけど、もうすぐ夜が明ける時間だ。

この時間帯に、誰かに見られる心配はないのかな?

息を殺して、そっと音の方へ近づく。

一体何が起きているのか、確かめてみよう。
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第1話
連休の最終日。私はため息をつきながら残業に追われていた。時計は午前0時を回り、私は不満げに天井を見上げる。思わずため息が漏れた。きっと社長は吸血鬼に違いない。毎日毎日、私たち可哀想な社畜から最後の一滴まで搾り取ろうとしているんだから。やっと午前4時、仕事を終えることができた。ビルを出ると、辺りは闇に包まれていた。近くの朝食処で何か食べてから、また仕事に戻ることにした。大きな交差点に差し掛かった時、遠くから何やら怪しい音が聞こえてきた。思わず足を止め、耳を澄ませる。低く、不穏な音。それは......女性の艶めかしい喘ぎ声と、男性の荒い息遣いが混ざり合っていた。私は思わず苦笑い。好奇心旺盛なのは国民性というやつだ。大通りでそんなことをするなんて、随分と大胆な話じゃないか。でも、ちょっとおかしい。確かに深夜だけど、もうすぐ夜が明ける時間だ。この時間帯に、誰かに見られる心配はないのかな?息を殺して、そっと音の方へ近づく。一体何が起きているのか、確かめてみよう。
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第2話
気がつけば、道路脇の茂みのすぐそばまで来ていた。と、その時、不気味な音が嘘のように途切れた。首を傾げながら辺りを見回すも、何も見当たらない。「きっと誰かのイタズラだろう」そう思って立ち去ろうとした、その時だった。街灯が突然茂みを照らした瞬間、私の心臓が飛び出しそうになった。光に照らされた茂みの中に、半開きの黒い麻袋が静かに横たわっているではないか。中身が目に入った瞬間、心臓の鼓動が一気に跳ね上がった。黄色い何かが、かすかに見えている。周囲を念入りにチェックし、人気がないのを確認すると、私は袋を掴んでまるで逃げるように家まで走った。家に着くと、震える手で袋を開けた。なんと中には500万円分の現金と、ダイヤモンドのネックレス。キレイに束ねられた5束の札束、それぞれが100万円分。不思議なことに、各束の一番上の札には黒い符号のようなものが描かれていた。文字なのか模様なのか、どこか得体の知れない印。この不気味な発見に背筋が凍る思いがした。でも、毎月死にものぐるいで残業しても残業代6万円にも満たない私にとって、500万円という金額は途方もない大金だ。500万円だぞ?私の年収より高い額じゃないか。欲しくならない方がおかしい。私はご機嫌な気分で、ヘビ柄の麻袋を階下のゴミ箱に投げ捨てた。その後しばらくの間、何人もの専門家にネックレスを見てもらったが、みんな「間違いなく某超高級ブランドの本物です」と太鼓判を押した。でも夜になると、あの札束に描かれていた不気味な符号が頭から離れず、眠れない日々が続いた。この突然の幸運、もしかして何かの罠なんじゃないだろうか......そんな疑念が芽生え始めていた。
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第3話
あれから一ヶ月近く経った。誰も取り返しに来る様子もないので、私も少しずつ気が楽になってきた。ある日の深夜、仕事を終えて帰宅した私は、暇つぶしに配信を見ていた。すると、骨董品鑑定と風水占いをする霊能者の生配信を見つけた。首元のネックレスに目をやった私は、何かに導かれるように、その霊能者とライブ通話をつないでしまった。タダ物は嬉しいものの、どこか現実味が感じられなくて。だから今でも何となく落ち着かないのだ。ネックレスをカメラに向けながら、私は尋ねた。「先生、このネックレス、いったいどのくらいの価値があるんでしょうか?」画面越しの霊能者は眉間にしわを寄せ、こう告げた。「外で拾ってはいけないものが二つあります。交差点で見つけたお金と、髪の毛が絡まったものです」「そのネックレスには死者の髪が絡みついている。四十九日間身につけていれば、あなたは......別の存在に取って代わられるでしょう」
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第4話
私は即座に反論した。「冗談じゃないわ!これは私がちゃんとお金を出して買ったものよ。拾ったなんてありえないわ」言いながら、この占い師のプロフィールにあるリンクを開いてみる。思わず噴き出してしまった。鑑定料20万円、月間利用者たった2人、評価率100%だって?「これ、詐欺師すぎでしょ?お金騙し取りたいの?月に2件って、自作自演じゃない?笑っちゃうわ。300万フォロワーも買ったんでしょ?」すると相手はクスリと笑い、静かな口調で言った。「最近、やけに運が悪くなっていませんか?そして、何か......普通じゃない出来事が増えているはずです」黙って画面を見つめながら、一口水を飲んで反論しようとした私。その瞬間、水を喉に詰まらせて咳き込んでしまう。手の中の水筒を不思議そうに見つめながら、胸がドキドキし始めた。この一ヶ月、水を飲んで喉を詰まらせたの、もう20回は超えている。最初は単なる不運だと思ってた。だから歯の隙間からそーっと飲むようにしてたのに。考えれば考えるほど、背筋が凍る思いがした。
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第5話
深夜の静けさの中、先ほどの霊能者の言葉が重みを増していく。死者のネックレス......?もう一度じっくりとネックレスを観察してみる。ダイヤモンドは美しく輝き、チェーンも新品同様。古びた様子など微塵もない。配信画面に目を戻すと、視聴者が急増していた。眉を上げながら、画面上を流れる大量のコメントに目を通す。もしかして、この占い師って本物の有名人?これだけの視聴者数なら、それなりの芸能人レベルじゃない。「この子、頭固すぎでしょ!先生がここまで言ってるのに、まだ信じないなんて!」「ウケる。この子、配信者が雇った役者でしょ?歯の隙間から水飲んだのに咽せるとか、あんな不運な人初めて見たわw」視聴者たちの意見が飛び交う。私を責める声が圧倒的に多く、占い師への批判はほとんどない。背筋がゾクッと寒くなった。「まさか......誰がそんな非道なことするわけないでしょう。死者のネックレスなんて」必死に自分に言い聞かせる。でも一度芽生えた不安は、まるで誰かに見られているような錯覚まで引き起こし始めた。「とにかく外そう」首元に手を伸ばし、リビングに置こうとする。でも......どういうこと?最初確かにあったはずの留め具が、まるで消えてしまったみたいに見つからない。
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第6話
震える指で首の周りを必死に探るけど、留め具が見つからない。パニックが波のように押し寄せ、呼吸が乱れ始めた。部屋の空気が凍りついたみたいに、時間の流れまでもが歪んで感じられる。「落ち着いて......落ち着くのよ!」自分に言い聞かせ、深呼吸をする。きっと緊張しすぎているだけ。留め具はちゃんとあるはず。「鏡で確認してみよう」そう思って振り向いた瞬間。足を滑らせ、バランスを崩した。足元を見ると、小さな水たまり。「おかしいわ......さっき床を拭いたはずなのに」そして、もっと不気味なことに、その水たまりはうっすらと足跡の形を描いていた。「今はネックレスのことに集中しなきゃ」必死に気持ちを切り替える。鏡の前に立ち、首元を念入りにチェックする。でも、映し出された姿を見た瞬間、背筋が凍った——ネックレスが完璧な輪を描いて首に巻き付いている。留め具なんて、どこにもない。まるで......私の肌と一体化したみたい。「ありえない......」震える声で呟きながら、何度も何度も首元を探る。その時、スマートフォンの画面が突然明るくなった。例の占い師の配信だ。スピーカーから、低く冷たい声が響く。「よく覚えておきなさい。四十九日......あなたに残された時間はそう長くないよ」
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第7話
パニックになって、即座に配信を切った私。その瞬間、突然響き渡るインターホンの音。「きゃっ!」思わず声を上げそうになる。心臓が口から飛び出しそうなほど激しく鼓動している。「こんな深夜に......誰よ」足音を忍ばせながらドアまで近づき、覗き穴から外を確認する。廊下には誰の姿も見当たらず、ただ非常灯だけが不気味に明滅している。背を向けようとした瞬間。ギギギッ......爪で引っ掻くような音が、ドアの向こうから。「気のせい......きっと気のせいよ」混乱する頭で必死に自分に言い聞かせていると、リビングの入り口に一枚のカードが。女の子の写真......なのに、目の部分が切り取られている。カードの裏には、赤いペンで不気味な文字。「死亡まであと──」「誰よ!こんないたずらして......見つけたら承知しないわよ!誰かいるなら出てきなさいよ!」思い切り声を張り上げる。ホラー映画には慣れているはずなのに、この一枚の写真を見ているだけで、全身の血が凍りそうだった。「大丈夫、なんでもないわ」と言い聞かせても、手のひらには冷や汗が滲む。気を紛らわそうと、スマホで残高確認。と、また別の恐怖が襲ってきた。「はぁ......」画面に表示された惨めな数字。貧乏より怖いものなんてないよね。思わず自嘲的な笑みがこぼれる。「もういいわ!」独り言が部屋に響く。「せっかくの休みなんだから、こんなくだらないことで台無しにしたくないもの」ベッドにスマホを投げ捨てると、ドスンと鈍い音がした。プロジェクターの電源を入れる。映画でも見て、ゆっくり寝よう。ブラック企業から奪い取った貴重な休日なんだから、楽しまなきゃ損。電気を消して、布団に潜り込む。そうしているうちに、意識が徐々に遠のいていった。その夜、私は奇妙な夢を見ることになる......夢の中。胸元のネックレスが、うねうねと動き出した。と、死体のように青ざめた手が這い出してきた。生臭さと甘ったるい匂いが混ざった得体の知れない臭気と共に。腐敗して肉がほとんど剥げ落ち、白骨化した手。その手は容赦なく、私の胸に突き刺さった。皮膚が裂け、肋骨が砕ける感触が生々しい。痛みで叫びたいのに、声が出ない。氷のように冷たい指が臓器をかき回す。ま
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第8話
ガバッと目を開けると、背中は冷や汗でびっしょり。恐る恐る部屋を見回す。漆黒の闇の中、かすかな月明かりだけが窓から差し込んでいた。「はぁ......夢の中の夢だったのね。でも、生々しすぎるわ」大きなため息をつきながら、額の汗を拭う。ベッドサイドのスマホを確認すると、午前1時。と、その瞬間、大量の通知が飛び込んできた。中でも目を引いたのは、例の霊能者からのDM。「人の魂は体内の三つの灯火で守られているのです。しかし、陰気の強い場所では、その灯火が消えて魂が抜け出してしまう。特に危険なのが五つの道が交わる場所。そこでは、運気の弱い人は魂を奪われかねません。そんな場所に置かれた物を拾うのは絶対に禁物です。拾った時点で、相手に魂を差し出す契約を結んでしまうのですから。あなたのネックレス、ただ者ではありませんよ。よく思い出してください。拾ってから今日まで、何日経ちました?これは極めて重要なことです」
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第9話
この一連の怪異な出来事を経て、もう否定できない。私、本当に何かに取り憑かれちゃったのかもしれない......震える指でスマホに必死で打ち込む。「先生、ネックレスが外れないんです。さっきは夢の中で変な女性まで出てきて......」送信ボタンを押して、固唾を飲んで返信を待つ。シーンとした部屋の中で、暗闇から誰かに見られているような不気味な感覚。相手から突然、連絡先が送られてきた。指示通りに追加する。一瞬で承認された。こちらが何か言う前に、相手から送られてきたのは......お支払いQRコード。「やっぱり......」心の中で舌打ち。世の中、うまい話なんてないものね。普段はドケチな私だけど、今回ばかりは心臓が痛むのを我慢して、20万円を振り込んだ。現実に血を流すくらいなら、財布の痛みの方がマシ。一ヶ月前の私に平手打ちを食らわせたい気分。ちょっとした欲に目がくらんで、命を危険にさらすところだったなんて。振り込み完了と同時に、相手からメッセージが。「拾ってから今日まで、正確に何日経ったか。よく思い出してください。これは極めて重要です」スマホのカレンダーを開いて、必死で日付を数える。あれは10月7日の午前4時30分。今は11月26日の深夜0時──ハッとして、心臓が跳ね上がった。ぞっとするような事実に気付いて。49日目まで、残すところあと4時間半......背筋を冷や汗が流れる。目の前が暗くなりそうだった。まるで死神の鎌が今にも振り下ろされそうな切迫感。部屋の空気が重く、息苦しい。首元のネックレスが、薄暗がりの中で不気味な光を放っている。49日目に何が起こるの?「別人になる」って......どういう意味?
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第10話
震える指でメッセージを打つ。「今日が49日目なんです。私......どうなってしまうんでしょうか」「入力中」の表示が続いた後、たった一行。「もう私にはお力添えできません。お金はお返しします」この言葉で、背筋が凍りついた。必死で助けを求める絵文字を送る。何か、何か方法があるはずなのに。しばらくして、一つの住所が送られてきた......あの場所──私がネックレスを拾った場所。「魂を取り戻すための道具を持ってきてください。箒と、普段着ている服を。絶対に午前2時までに着くように」なぜ彼がこの場所を知っているのか聞く余裕もなく、言われた通りに急いで準備を整えた。靴も履き替えずに飛び出してしまったほど。現場に着くと、背筋が凍るような静けさが漂っていた。キョロキョロと周りを見回していると、突然背後から声が。「やっと来ましたか。随分と待ちましたよ」
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