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新しい相手は大富豪だと知って、恩知らずの子供たちは後悔に狂った
新しい相手は大富豪だと知って、恩知らずの子供たちは後悔に狂った
Author: 福満

第1話

「母さん、いい加減にしてくれよ。はっきり言わないと分からないのか?」

「毎日子供の面倒を見て、飯作るだけで、ちょっとした買い物も僕たちに頼ってばかり。小松さんは会社の会長で、すぐに加賀谷グループとも提携するんだ。母さんと比べるまでもないよ!」

「小松さんが言ってた。僕が母さんを説得して再婚させることができたら、すぐに彼女の会社でマネージャーにしてくれるって」

「ここで足を引っ張るなよ。そうじゃないと、母さんと縁を切るしかないんだ」

息子の信之はタバコを挟んだ指で私の顔を指しながら罵り、タバコの先がいつ目に突き刺さってもおかしくないほどだった。

娘の静恵は兄よりは控えめだが、言葉の端々に不満が滲んでいた。

「私も兄さんも、実は最初から父さんと小松さんのことを知ってた。でもわざと隠してたわけじゃないの。誰だって両親がいる方がいいって思うもの。母さんの力不足が悪いんじゃない?父さんの気持ちを繋ぎ留められなかったんだから」

「それに、母さんも自分勝手すぎるよ。少しは子供のために考えてよ」

「私は娘の雨音をインターナショナルスクールに入れようと思ってるの。一年で学費だけでも数百万かかるし、ピアノも習わせたら結構な額になる。新車に買い替えたいし、お金がいるのよ。小松さんが、その費用を全部出してくれるって言ってた」

「新しい再婚相手に関しては…いい相手が見つからないなら、地元のあの足の悪いおじさんで十分じゃない?」

先日、隣人が羨ましがって言っていた。子供たちの結婚が片付き、孫も大きくなっているし、あとは悠々自適に過ごすだけだね、と。

その話が終わった矢先、夫の隆志が裕福な愛人、小松亜沙美を家に連れ込んできた。

息子と娘はそのクズ男と愛人の代弁者になって、私に離婚して再婚しろと要求し、さもなければ母親だと思わないと言い放った。

兄妹揃って私を無能呼ばわりして、手のひらを返す冷たい態度に、驚きと悲しみが押し寄せた。

何十年もこの家のために尽くしてきた。隆志が外で浮気していることは知っていたが、見過ごしてきた。

だが、まさか二人の子供まで知っていたとは。彼らは父親の浮気を私に隠し、今となっては愛人に敵わないと言って私に席を譲るよう求めてくるなんて…良心が痛まないのか?

隆志は安定した職についているが給料は少なく、この家の家計は私の収入で成り立っていた。

娘が七歳の時、会社で副会長に昇進する話があったが、地方の支社に行かなければならなかった。

その話を聞いて喜んでいた私は、異動の準備をしていた。

ところが隆志は仕事が忙しいことを理由に、子供の面倒を見るのを拒み、息子と娘は泣きながら「母さんがいなくなるのは嫌だ」と言ってきた。

子供たちがかわいそうで、私は結局昇進のチャンスを諦めた。

息子と娘は「やったー」と喜び、「母さん大好き」と抱きしめてくれた。

その後、娘は早くに結婚して子供を産んだが、義母が孫の世話をしなかったため、私に辞職して孫の世話をしてほしいと頼んできた。

ベビーシッターを雇うお金を出すと言ったが、娘は「ベビーシッターに任せるのは心配だわ」と断った。

辞職したくなかった私と娘の関係は冷え込み、しばらく口をきかなくなった。

息子も結婚を考える時期となり、婚約者は「婚前に頭金を支払い、ローンを一緒に払うのは打算的だ」と不満を言い、全額一括払いでなければ結婚しないと断言した。

息子は私に土下座して頼み込み、会社でリストラが始まったタイミングだったことから、人事部の友人に頼んで解雇されるようにし、退職金の1千万円で家の残りのローンを返済した。

その後、私は娘と孫の世話をしに行った。

兄妹は喜んで私に抱きつき、「母さんは最高だ」「仕事も年金もなくても大丈夫、私たちがちゃんと面倒をみるから」と言っていたのに。

それからたった数年で、こんな仕打ちが待っているなんて。

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