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第79話

 「露美、僕は馬場家に婿入りして三年、功績はなくとも苦労はしてきた。それなのにあなたはあんな仕打ちをして、本当に恩知らずなやつね!

 この一発はあなたの借りだ。今返してやる!

 これから、私たちの間での縁は断ち切る!」

 真一の目は冷酷で、怒りの他に冷たい無関心さが溢れていた。

 この瞬間、彼は心の中で露美と完全に距離を置き、二人の間にはもう何の関わりもないと決めた。

 「あなた……」

 露美は平手打ちに驚き、痛む頬を押さえながら、信じられない表情で真一を見つめた。

 かつて、真一は馬場家で何があっても黙っていたし、犬以下の生活を送っていた。

 しかし今、彼女はようやく理解した。真一の忍耐は弱さではなく、彼が本気を出せば、露美と聡一郎の二人を足元に叩き伏せることができるのだ。

 「露美、おじいさんが三年間親のように接してくれたから、今日はお前を許してやる!

 これからはお互いにわが道を行く。もしもう一度私たちを挑発するようなことがあれば、次はもうこのような幸運はないだろう!」

 真一は冷笑し、玉石が詰まった袋を持ち上げ、振り返ることなく立ち去った。

 「真一、待ってろよ。絶対に許さないから!!」

 聡一郎は声を荒げて絶叫し、真一が消えゆく背中を憎しみと怨みで満ちた目で見送った。

 ……

 風雅の里の別荘にて。

 真一は家に戻るのが夜の10時を過ぎていた。

 その頃、料理を終えたばかりの佐藤さんと和子は台所で食事をしていた。

 「真一、今日は仕事を早めに上がったでしょ?どうして今頃帰ってきたの?」

 和子は不思議そうに尋ねた。

 「ああ、ちょっと用事があって、外で買い物してきたんだ」

 真一は微笑んで答え、和子の隣に座った。「和子、なんでこんなに遅くまで食事をしてるの?」

 「会社で残業してたんだ、たった今帰ってきたところ……」

 和子は簡潔に答えた。

 「またあのプロジェクトの件?」

 真一はすぐに理解した。

 和子は昨夜も午後9時過ぎまで残業し、今夜もほぼ10時まで働いていた。このプロジェクトは本当に会社にとって重要なようだ。

 「ええ、今商談が迫っていて、プロジェクトの案や決定などを早急に準備しなければ……」

 和子は少し落ち着かない様子で言った。プロジェクトのことでまだ心配しているようだった。

 「具
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