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第204話

 「あれは大輝さんではありませんか?」誠は驚いて言った。「彼は美穂のことがすごく好きではありませんか?とても愛していた様子だったのに、どうしてこんなに早く、別の女性と結婚するのでしょうか?」

 圭介は冷たく尋ねた。「お前に彼を監視させたのに、結婚する気配を全く感じなかったのか?」

 彼は、大輝が美穂のことで報復を企んでいるのではないかと心配し、誠に彼の動向を注意させていた。

 誠はすぐに弁解した。「監視させましたが、彼はずっとおとなしかったです。この女性も、私は知らない人です」

 「水原様、この女性、美穂に似ていると思いませんか?」誠は責任追及を恐れ、圭介が自分に任せたことをちゃんとやっていないと言われるのを避けるために、わざと話題を変えた。「もしかしたら、彼が見つけた代わりの人ではないでしょうか?」

 圭介は、大輝がどんな女性を見つけたかには興味がなかった。ただ、彼がこんなに早く結婚することに驚いた。

以前は美穂のために、自分を敵に回すことさえも厭わなかったのだ。

美穂に対しては、多少本気だったのかもしれない。

「もう彼を監視する必要はない」圭介は淡々と言った。「行こう」

彼が結婚できるということは、もう美穂を忘れた証拠だ。

これで彼が裏で何か企む心配はなくなった。

「はい」誠は返事をし、車を発進させた。

しかし、彼らの車がホテルの前を通り過ぎた時、大輝に腕を挟まれている花嫁は車が遠ざかるのをじっと見つめていた。その目には憎しみが隠されておらず、目つきが次第に暗くなっていった。

「何を見ているんだ?」大輝が尋ねた。

「圭介の車が見えたわ」花嫁は笑みもなく言った。

大輝は彼女の手を軽く叩き、「今日は俺たちの喜ばしい日だ。彼のせいで、気分を台無しにするな」

花嫁は従順に頷き、「わかったわ」と言った。

……

水原家の本邸。

 金次郎は慌ただしく居間に入ってきて、水原爺に報告した。「ご命令の件、無事に済ませました」

 水原爺は彼の働きを満足して聞いた。

 彼が金次郎に仕事を任せた時、彼を監視させる人も派遣していたのだ。

確かに恭平と接触はなかった。

 「そう。では連絡を取ってくれ」と水原爺は言った。

 「かしこまりました」金次郎は退出した。

 「来い」

 金次郎が出て行った後、水原爺はもう一人を呼び出した!

 彼のそば
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