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4 イケメン医師と私の関係

Penulis: けいこ
last update Terakhir Diperbarui: 2025-02-13 19:48:57
プリセプターシップ――

ある程度経験を積んだ看護師が、新人看護師と一緒に患者さんの看護をし、その技術、対話方法、そして、こちら側の自己管理に至るまで様々なことを教える。

新人看護師は、その先輩の姿を見て学び、習得していく。これによって、いろんな悩みを1人で抱えずに頑張っていけるようになる――それが、理想とされる形。

最初の頃は、私も先輩と一緒に看護をしていたし、今でも看護師同士、励ましあったり切磋琢磨したり、向上心を持って取り組んでるつもりだ。

自分は人の命に関わる大切な仕事をしてるんだ――と、少しづつ実感しながら、ひたすら目の前の患者さんに真摯に向き合っている。

なのに、実際はまだまだダメな新人看護師。白川先生にだけは緊張してしまう。白川先生が怖いから……とか、そんなことを言ってる場合ではないのだけれど。

きっと私……

先生には完全に嫌われているに違いない。

何度も同じことを言わせているし、しかも、私だけ、なぜか「さん」付けではなく「蓮見」呼ばわり。

きっと好かれてない……のだろう。

この関係は、良くはならないまま続いていく気がする。

こんな雰囲気に周りも何か感じているだろうし、本当に落ち込んでしまう。早く1人前になりたいけれど、この分だとあと何年かかるかわからない。

「藍花ちゃん、前田さん大丈夫だった?」

「はい。頭痛があるそうで、白川先生が頭痛薬を処方してくださったので、薬局さんにお願いしました」

「良かった~。前田さん、手術後で気持ちが少し不安定だから、私達がしっかり気を配らないとね」
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    ついにここまで来た。蒼真さんが一人暮らしをしているマンションに――かなり有名な建築家の設計らしく、きっと家賃も高いに違いない。こんな素敵で立派なマンションに、私なんかが足を踏み入れてもいいのだろうか。場違い感が半端ない。私は、フゥーっと大きな息を吐き、意を決して1階ロビーで蒼真さんの部屋の番号を押した。「はい」「あの……は、蓮見です」「上がって来て」「は、はい」オートロックが解除され、目の前の自動ドアが開く。そこを通り、奥のエレベーターで最上階へ。降りるとそこには部屋がひとつしかなく、蒼真さんが待っていてくれた。壁にもたれ、腕組みをしながら――「こ、こんにちは」かっこよ過ぎる……我が目をうたがいたくなる程に美しく、その立ち姿にため息が漏れる。白いシャツとブラックジーンズ。足の長さに改めて驚き、もはや人気雑誌のオシャレなモデルにしか見えない。ここは本当に「白川先生」の部屋なのか?私はどこか違う世界にでも迷い込んだのではないだろうか?「よく来たな、待ってた」体勢を変え、こちらに近寄ってくる蒼真さん。その圧倒的な存在感に思わず2、3歩後ずさる。「あっ、あの、本当に来て良かったんですか?こんな立派なマンションに私なんかが……」「もちろんだ。来てほしくなかったら絶対に呼ばない」「……あ、ありがとうございます」蒼真さんの甘いセリフに戸惑い過ぎて「ありがとうございます」なんて、意味不明なことを言ってしまった。月那にいろいろ言われ過ぎて、昨日からずっとドキドキが止まらない。会ってすぐの蒼真さんの一つ一つの言動に、すでに心が大きく揺れてしまう。きっと今の私は、かなり挙動不審に見えるだろう。「あの、言われたように買ってきました」私は、今夜の食事の材料をすぐ近くのスーパーで揃えた。高級志向のスーパーではあったけれど、蒼真さんに恥ずかしくないものをと、時間をかけて丁寧に選んだ。「悪かったな。ありがとう」蒼真さんは、そう言って大きめのマイバッグをサッと持ってくれた。こういうところがすごくジェントルマンだと思う。

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    見つめあう2人がとっても素敵で……ただでさえ美人の月那が、今までで1番綺麗で可愛く見えた。「笹本さん、月那のこと絶対に幸せにして下さいね。もし泣かしたらこのマッサージ店に二度と来ませんからね」「うわっ、上得意様に来てもらえなくなったら困るしな。わかりました、月那のことは絶対に泣かしません!」「って、私が太一を泣かすかもだけどね~」「そうなんだよ~。月那は怖いから、俺が泣かされるかもなぁ。でも、その時は藍花ちゃんに助けてもらお」楽しく軽快なやり取りの2人を見ていたら、こっちまで幸せな気持ちになる。本当にお似合いのカップルだ。「俺達、絶対に幸せになるからさ。だから藍花ちゃんも必ず幸せになってくれよな。月那の大切な人が不幸になるのは嫌だからさ」筋肉いっぱいの笹本さんからの優しい言葉。そのギャップがちょっと可愛く見える。「ありがとうございます」「月那からちょっと聞いてるけど、今、藍花ちゃん、めちゃくちゃモテモテらしいね」「えっ、モテモテなんて、そんなことないです」月那がどんな風に私の恋愛話をしているのかわからないけれど、この言葉はかなり恥ずかしい。「絶対に良い男を捕まえるんだよ。藍花ちゃんみたいな良い女が妥協したらもったいないし、本当にこいつ!って思えるやつが現れるまでゆっくり待った方がいいよ」笹本さんが真剣な表情で言ってくれた。「良い女じゃないです。でも……ゆっくり待ってたら、このまま一生結婚できないかも知れません」「そんなことはないよ。藍花ちゃんは本当に可愛いんだから自信持った方がいいって」「そうだよ、藍花。本当に自信持たないと損だよ。太一の言う通り、あなたはめちゃくちゃ可愛いんだから」やはりなぜか月那に容姿を褒められるととても嬉しい。「2人に言われたら嬉しいけど……でも……」「でもじゃない!俺達がついてるから大丈夫!ちゃんと良い奴と出会って恋愛して結婚してほしい。俺達はずっとここで店やってるから、何かあったらいつでも飛び込んでくればいいよ」「そうだよ、いつでも来な」この安心感に溢れた優しい2人に勇気をもらえた気がする。明後日、蒼真さんと会って、改めてちゃんと考えようと思う。答えが出せるかはわからないけれど、でも何だか今は前向きになれている。この感情は間違いなく2人のおかげだ。月那……「笹本 月那」になっても、ず

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