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第5話

「これ?あの女が持ってきた弁当箱ですよ。彼女と同じくらい安物です」

「黒崎社長も知らないでしょうけど、今どきスーパーでインスタントラーメンを買えば、こんな弁当箱がタダでもらえるんです。フロントがちゃんとしてないせいで、どんな人でも会社に入れちゃうんですよ」

芽衣はまだしゃべり続けていたが、隼人の顔色はどんどん険しくなっていった。

「芽衣、お前はただの秘書だ。会社のことを勝手に決めるな」

その一言で、隼人が去った後、芽衣の機嫌はさらに悪くなった。

彼女はその怒りを私に向けた。

「お前のせいで、黒崎社長に叱られたじゃない!」

芽衣の目には狂気が宿り、私のお腹をじっと見つめた。

「ねえ、もしお前の腹を切り裂いたら、黒崎社長は褒めてくれるかしら?」

私は体を支えながら、恐怖に震えた。

彼女が私のお腹を蹴った瞬間から、子供の動きは感じなくなっていた。

私の子供はもう死んでしまった。私の心も一緒に死んだ。

なのに彼女は、私の子どもを無理やり引きずり出そうとしている。

私は唇を噛みしめ、必死に自分に言い聞かせた。「まだ死んじゃだめ。子どもの仇を取るまでは…...」

芽衣は冷笑しながら私の目を睨んだ。「その目、気に入らないわね。黒崎社長を誘惑したのもその目でしょ?」

彼女はゆっくりと私に近づいてくる。

「でも、ただ目を抉るだけじゃ足りないわ。みんなの前で見せしめにしてやる」

「黒崎社長を狙うとどうなるか、皆に教えてやるわ」

次の瞬間、彼女は私の髪を掴み、会議室からロビーに引きずり出した。

「この女、黒崎社長を誘惑した挙句、黒崎社長の子どもまでできたのよ」

「でも、皆も知ってるわよね。私と黒崎社長の関係を。今日はその愛を守るために、皆にも見せてあげるわ。黒崎社長を狙ったらどうなるか!」

周りの人たちは沈黙し、目を合わせる者はいなかった。

芽衣は周囲を見渡し、痩せた女性社員を指差した。

「あなた、前に隼人にお茶をあげだでしょ?出てきなさい」

女性社員は震えながら芽衣のそばに立った。

「彼女に一刀入れなさい。それで黒崎社長を狙ってないと信じてあげるわ」

女性社員は恐れてナイフを受け取れず、ナイフは床に「カラン」と音を立てて落ちた。

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コメント (1)
goodnovel comment avatar
澄子
続きを読みたいです♪ワクワクします...
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