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第513話

  慶太:「本当に?だから帰国後に連絡もせず、私を削除したのか」

 削除した?

 由佳は少し眉をひそめた。

 交通事故から目覚めた後、彼女は記憶がないことをはっきりと覚えており、むやみに友達を削除することはできなかった。

 もしかして、彼女は勘違いしているのだろうか?

 由佳はこのことにこだわらず、スタンプを送った。「知らない人を見かけたから、適当に削除しちゃったのかも。本当にごめんなさい、先生は私が海外にいたときの同級生ですか?」

 慶太:「違うよ。私はフェニックスに数年住んでいて、その時に日本人協会の会長をしていた」

 慶太は続けて、「私たちは現地の日本人グループチャットで知り合ったんだ」

 由佳:「そうだったんですね。その時はお世話になりました」

 慶太:「もう全然だよ」

 その後、慶太から音声メッセージが送られてきた。

 由佳はそれをクリックすると、心地よい声がスピーカーから流れてきた。「由佳ちゃんが私を削除した後、私は由佳ちゃんが私を嫌っていると思って、帰国後は邪魔しないようにしていた。まさか私の写真の授業を受けるなんて、これも縁だね」

 「コンペのグループで私にアドバイスしてくれたおかげです。そういえば、私が申し込んだ時、授業の枠はもう埋まっていたのではありませんか?私を特別に加えてくれたのですか?」由佳は興味深そうに尋ねた。

 慶太の返事は音声メッセージだった。「そうだよ。写真を学びたいのか?私が教えてあげる」

 由佳は疑問に思った。「今、授業を受けていますでしょう」

 慶太:「実は、私の授業経験から言うと、オンラインクラスの学習効率は対面クラスには遠く及ばない。今、虹崎市にいるのかな?」

 由佳:「うん」

 慶太:「ちょうど私も虹崎市にいるんだ。もしよかったら、時間を作って一緒に風景を撮りに行こう。その時に教えてあげるよ」

 由佳はそのメッセージを見て、とても心が動いた。

 由佳:「本当に?素晴らしい!行きたくないわけがないですが、友達を一緒に連れて行ってもいいですか?」

 正直に言えば、今の慶太は彼女にとってただの見知らぬ人だった。

 彼女は彼に対して警戒心を抱いているので、北田さんを連れて行くことにした。

 慶太はすぐに返事した。「もちろん」

 由佳:「わかった。年が明けたら、先生の都合の良い時に教え
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