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第7話

最初に気付いたのは小島だった。以前私が彼に話していたサプライズと、社長夫婦の予定を思い出し、ここが本来は社長の結婚式会場だと推測したのだ。

「新婦さん、あなたはこの新郎と結婚することを誓いますか?健康であれ病気であれ……」

「誓います!誓います!」

「新郎さん、あなたは新婦さんと結婚することを誓いますか?健康であれ……」

「新郎さん?」

小島はその場で固まり、ステージ裏を恐怖の表情で見つめていた。それを見た遠藤は我慢できなくなった。

「涼、どういうつもり?私に恥をかかせる気?何を見ているのよ!」

遠藤は文句を言いながらステージ裏を振り返り、そこに立つ社長夫婦の姿を見た。

この時、社長夫婦は新しい予備の礼服に着替え、優雅に腕を組んでステージ裏から冷たい視線を二人に送っていた。

遠藤はまだ状況の深刻さに気づかず、陽気に手を振りながら言った。「あら、社長さんたちも今日結婚するんですか?一緒にやりましょう!」

社長夫人は彼女を無視し、遠藤が着ているボロボロのドレスを一瞥した。

「遠藤、あんたが壊したこのドレスは2億円の価値があるのよ。どちらが弁償するのかしら?」

会場は突然静まり返った。

遠藤はようやく自分が大きな問題を起こしたことに気づき、反射的にドレスを手で押さえた。

「違います、社長夫人様!このドレスがあなたのものだとは知りませんでした!このドレスは最低な女が私にくれたものです!ずっと小島を誘惑していたその女ですから、彼女に聞いてください……」

言い終わらないうちに、大柄な男がドアを蹴り開けて中に入ってきた。

遠藤あおいと小島が同時に驚きの声を上げた。「佐藤?」

佐藤は、小島の友人であり、遠藤に長年片思いをしていた人物だ。3年前、小島に頼んで遠藤を会社に紹介してもらったのも彼だった。

私は午後ずっと電話帳を探して佐藤の連絡先を見つけ、丁寧に彼を二人の結婚式に招待したのだ。

遠藤は佐藤が現れたのを見て、反射的に小島の手を放し、手をこすりながら佐藤に説明しようとした。

佐藤は遠藤あおいを一切無視し、そのまま一直線に小島へ向かい、飛び蹴りで小島をステージから蹴り落とした。

「お前、男のくせに、俺の女を奪おうとするなんてどういうことだ?俺が優しくしてるのをいい気にしやがって!」

小島は恥をかかされ、拳を振り上げて佐藤と取っ組み合いに
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