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第5話

小島は眉をひそめて近づきながら言った。「誰だよ、こんな昼間からここに寝転がって……」

彼が私の目の前まで来ると、ようやく鼻や顔が腫れ上がっている女が私であることに気づいた。

小島はすぐに焦り始めた。「理佐、何でここにいるんだ?一体何があったんだ?誰がこんなひどい目に遭わせたんだ?」

そう言いながら、小島は何かに気づいたようで、顔に動揺を浮かべた。「理佐、聞いてくれ、俺は……」

後ろにいた遠藤がそれを見て、声が一気に冷たくなった。「涼、私の目の前で他の女を抱きしめるつもりなの?」

その言葉を聞いて小島はビクッと震え、ようやく我に返ったような顔をして、私を複雑な目で見た。

彼は唇を噛みながらしばらく悩んだ後、再び冷たい口調で私に問いかけた。

「また何かやらかしたのか?どうしてこんなことになってるんだ?あおいをいじめたのはお前か?」

遠藤は冷笑して言った。「このクソ女はお前にプロポーズさせようとしてたのよ。私が先にお前のスマホで彼女のメッセージを見つけなかったら、今頃お前はもう騙されてプロポーズしてるわよ」

私は思い出した。今朝、会場を装飾している時、小島に写真を撮って送ったことを。

添えた言葉は、「今夜迎えに来るのを忘れないでね」だった。

それにホテルの位置情報を付け加えて。

どうりでこのメッセージにはずっと返信がなかったわけだ。先に遠藤が見て削除したのだ。

小島はその言葉を聞いて、顔が目に見えて曇った。

「小林、お前こんなこと何度も繰り返して面白いのか?一日中俺に結婚をほのめかしたり、皮肉を言ったりしてさ」

「今度は直接会場を飾って結婚を迫るなんてな?」

小島はメッセージを見ていないため、今日が他人の結婚式であることを知らず、遠藤の言う通り、私が彼にプロポーズするために会場を準備したのだと思っているようだ。

小島の目にはもはや動揺はなく、ただ冷たい視線だけがあった。

「もう諦めろ。いくらプロポーズしてきても、俺はお前とは結婚しない」

全身が痛む中でさえ、小島の最後の言葉を聞いた瞬間、私はまるで氷の穴に投げ込まれたようで、痛みを一瞬で忘れてしまった。

もう諦めろ。俺はお前とは結婚しない。

かつて私は本当に小島涼を愛していて、彼と結婚したくて焦っていた。

もうすぐ30歳になるというのに、彼は周りの友人や家族から嫁き遅れと嘲笑され
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