第 0219 話

彼女には生まれながらの「お嬢様」の気質が備わっていた。

その高貴さは、他の誰も持ち得ないものだった。

彼女はその気質を羨ましく思うこともあった。

生まれながらにして勝者である者がいる一方で、彼女は美しい顔立ちを持ちながらも、結局は夜のクラブで働くしかなかったのだ。

淡路美音は鏡越しに桜井玲奈を見つめ、淡々と、しかし冷たく微笑みながら言った。「私に何の用？」

「助けてください、警察が私を追っているのです」と玲奈は恐怖で震え、警察のサイレンの音を聞くだけで怯えた。彼女に救えるのは淡路美音だけだった。

「円、外に出て、彼女と少し話をさせて」と美音が指示した。

アシスタントは「分かりました」と応じて、