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第5話

「もう十分か?」翔太は莉奈をしっかりと守りながら、美咲の骨壺を足で踏みつけ、「ここでわめくのはやめろ!」と吐き捨てた。

「ただの小麦粉じゃないか?これで俺を騙そうとしてるのか?

出て行け!」私は地面に座り込み、彼の足を叩き続けたが、彼の足はびくともしなかった。挙句の果てに、私は彼の足に噛みついた。

翔太は「フン」と鼻で笑い、足を上げて言った。「お前はまるで狂犬だな」

私は美咲の骨を一つ一つ丁寧に集め始めた。何人かの消防士が見かねて手伝おうとしたが、私は一人一人手を振り払った。「いらない!

いらないって言ってるでしょ!どいて!」

「……」

翔太は仲間たちを引き上げ、「彼女とは長い付き合いだから、こいつのことはよく知っている。計算高くて毒がある女だ。信じるな」

私はゆっくりと立ち上がり、涙をぬぐって、翔太を冷たい目で見据え、一言一言、はっきりと言った。「翔太、あと二日で美咲の葬式よ。両親も帰ってくるから。最後に出席してほしい。

美咲の葬式が終わったら、私たちは離婚する」

そう言い残して、私は振り返らずにその場を後にした。

翔太は鼻で笑い、「両親は俺を溺愛してるんだ。俺がまだ何も言ってないのに、よくも彼らを呼び戻したな。

見てろよ、あの時になったら両親がどうお前を叱るか見ものだ。

離婚するだと?離婚して子持ちのお前なんか、誰が欲しがるんだよ?」

その言葉を聞いた莉奈は、足元が揺らいだように見えた。

おかしいよね?

彼が必死に守っていた莉奈もまた、離婚して子供を抱えた女性なのに。

それでも翔太は彼女を選んだ。

この宴が私とは関係ないと感じ、私はその場を去った。ちょうど一階に降りたところで、翔太の声が響いた。「さあさあ!余計なことで気分を損ねるな!宴会を続けよう!」

夜が更けた。私は娘の骨壺を抱きしめて泣き続け、気を失ったが、翔太はずっと莉奈のそばにいた。

「翔太、一生後悔させてやる」

翌朝、両親が海外から戻ってきた。

美咲の小さな遺影を見た途端、二人は声をあげて泣き崩れた。

母は震える手で美咲が大好きだったぬいぐるみを撫で、何も言わなかったが、最後に言葉を絞り出した。「翔太なんかただの婿養子だろう!どうしてこんなことができるの!」

いつも冷静な父も、目を真っ赤にして、翔太の持ち物をすべて外に放り出した。

十年前、私がデパート
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