第041話

藤沢修は眉をひそめ、瞳に怒りの色がちらついた。

松本若子は呆然と地面に落ちた玉のブレスレットを見つめ、それが彼女と藤沢修の関係の破綻を象徴しているように感じた。もう二度と修復できないだろう。

彼女は黙って腰をかがめ、床に落ちたブレスレットを拾い上げ、すぐ近くのゴミ箱に無言で投げ入れ、そのまま去ろうとした。

しかし、藤沢修は抑えきれない怒りからか、急いで前に進み、一気に松本若子の手首を掴んだ。「どういうつもりだ？」

藤沢修の視点からは、松本若子が故意にブレスレットを割ったように見えた。

松本若子は、彼の強い力で手首に痛みを感じ、眉をひそめつつ、力強く手を振り払った。「あなたが何を言いたいのか、私には分からない」

彼女は彼がブレスレットのことを言っているのだと分かっていたが、なぜ彼が怒るのか理解できなかった。このブレスレットは、彼がただ桜井雅子の言葉に従って買っただけの贈り物に過ぎない。

藤沢修が冷たい顔で何かを言おうとしたその時、藤沢曜が口を開いた。「みんなに笑われたいのか？拡声器を持ってきて全員を呼び集めてやろうか」

藤沢曜の言葉を聞いて、藤沢修は周囲の社員がこちらを見ていることに気づいた。彼らは好奇心から一瞥を投げかけるが、すぐにその場を去っていく。

この状況が広まれば、きっと多くの噂が飛び交うだろう。

藤沢修は深く息を吸い込み、怒りを抑え、松本若子に向かって「家に帰ってから話そう」と言った。

「そうだな、家に帰るべきだ」と藤沢曜は続けて言った。「今晩はおばあちゃんと一緒に食事をするんだ、本家に帰るのを忘れるな」

藤沢曜の鋭い視線が桜井雅子に向けられ、「外の者を連れてくるなよ、もしおばあちゃんを怒らせたくなければな」と続けた。

「外の者」という言葉に、桜井雅子は顔色を曇らせたが、その場では何も言えず、不満を飲み込むしかなかった。

藤沢曜が去った後、松本若子も彼に続いてその場を立ち去り、藤沢修には一瞥もくれなかった。

藤沢修は、彼女のやせ細った背中を見つめ、心がえぐられるような感覚を覚えた。

「ええっ！」突然、桜井雅子が悲鳴を上げ、体が横に倒れ込んだ。

藤沢修はすぐに彼女を支えた。

「修、今夜は本当におばあさんのところに行くの？」と桜井雅子は尋ねた。

藤沢修は「うん」と答え、「そうだ。しばらくおばあさんと一緒に食事をしていないか