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第2話

お母さんは私の手を握って、重苦しい口調で言った。

「由香里、自分の間違いに気づいたのね。ママは嬉しいけど、でも医師が隼人の病気が末期だって言ったから、せめて彼には尊厳を持って逝かせてあげよう」

お父さんは鼻で笑って、皮肉たっぷりに言った。

「医者の言うことを疑うなんて、君の方が賢いのか?無駄なことをするんじゃないよ」

私は必死で涙を作った。

「隼人はまだ若いわ。私はまだ諦めないわ。。すでに京都の専門家に連絡してる」

「ちょうど肝臓のドナーも見つかったし、転院すればすぐに移植手術ができるわ」

これらは全て私がでっちあげたもので、ただ彼らを脅すためだった。

すると、美穂は顔色を変え、思わず叫んだ。

「ダメよ!」

義両親も強く反対した。

私は冷たく美穂を睨みつけた。

「医者が患者が治療を受けに行くのを阻止するなんて見たこともないわ。もしかして、あなたの診断に間違いがあるの?」

美穂は目をちらつかせながらも、頑なに誤診などないと主張した。

お母さんは怒りに任せ、私を罵った。

「あなた、本当に息子を殺す気なの?飛行機に乗って京都まで行くなんて、そんなに揺さぶられたら、息子がどうなるかわからないわ!」

お父さんはドアの前に立ちふさがり、隼人を京都に連れて行くことを許さなかった。

私はスマホを取り出し、冷たく脅した。

「京都に行かないなら、専門家をここに呼んで診察してもらうわ。隼人が助からないとは思えない!」

美穂は「会診」という言葉を聞くとさらに動揺した。

お母さんは咳払いをして、彼女に目配せした。

そして仮にもう一度言った。

「由香里がすでに専門家に連絡してるなら、それでいいわ」

「由香里、まずは家で休んで。私たちは看護師さんが来るまでここにいるから」

明らかに彼らは私を追い払おうとしていた。

私は頷き、心配そうに病室を後にした。

病院を出るとすぐに、私は宝くじの賞金を受け取りに行った。

この二十億円の賞金は誰にも知られないようにする。

私はそのお金を隠し、何も買わずにそのまま車を売った。

家に戻ると、隼人と約束していた口座を見て驚いた。

残高はゼロだった!

結婚後、毎月お互いの給料から一部をこの口座に入れていた。

家庭の貯金と将来の子どもの教育費のために。

この男は私を裏切って、勝手にそのお金を引き出していたのか?!

私は悪い予感がした。

すぐにいくつかの電話をかけて、友人にいくつかのことを調べてもらった。

私はベッドに横なり、寝返りを繰り返した。

隼人は元々偽死を計画していて、美穂と遠くへ逃げるつもりだったのなら、彼は十分に準備を整えていただろう。

幸い家と車は私の名義なので、彼が勝手に売るのは難しい。

でも私の心の中の不安は消えない。

朦朧としながら眠りにつきかけたとき、携帯電話が震えた。

午前3時、美穂の重苦しい声が電話から聞こえた。

「青山さん、あなたの夫である隼人さんが急に病状が悪化し、私たちが全力で治療したにもかかわらず、彼は亡くなった。どうかお慰みください」

私はショックを受けたような顔をして、涙声で言った。

「え?何でそんなことが……すぐに行くわ!」

電話を切って、私は笑いを堪えることができなかった。

「死んだ」のも早いわね、あなたがあんなに楽に逝くわけがない。

私は引き出しから何かを取り出し、病院に向かった。

病室では、隼人の顔にはすでに白布がかかっていた。

私は白布を捲り上げて見た。彼の顔は平和そうに見えた。

これが私が見た中で最も元気そうな肝臓がん患者かもしれないわね?

他の人はみんな顔色が黄色く、痩せ細っているのに。

あなたが見栄を張るのもいい加減にしなさい!

「パチン、パチン!」

私は予告もなく二度平手打ちをしたが、隼人はびくともしなかった。

薬がしっかりと効いているようだね!

お母さんが私を引き離そうとしたとき、私は一歩先んじて隼人に飛びついた。

「隼人、あなた、情けない男!なんでこんな風に私を置いて逝ってしまうの??」

私は泣き叫びながら、その隙をついて実情を探った。

体はまだ温かく、脈も感じられた。私の予想は的中していた。

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