第5話

川原和馬と一緒に走ってきたのは、浅川梨奈と彼女の娘だった。

「あら、お姉さん、泰一と晴美が亡くなったの」

「満足するのか、浅川梨奈」

私は手元にあった花瓶を手に取り、浅川梨奈の頭に投げた。

浅川梨奈は悲鳴を上げ、無意識のうちに川原和馬の後ろに身をかがめた。

今度、川原和馬は彼女を脇に引き寄せず、ただ気を失ったように言った。

「ありえない、こんなのありえない」

浅川梨奈の額が花瓶にぶつかられて、一瞬にして血を流れた。

「子供たちはただ軽傷を負ったのだ、死ぬなんてありえない。絵里、あなたは私に怒っている、だからいたずらをしているんだろうか。早く彼らを呼び出して、こんなふうに私をからかうな」

「冗談なんて、泰一と晴美が廃墟の下に横たわったとき、あなたに助けを求めていた時、あなたは高嶺の花を救うことを選び、泰一と晴美が輸血する必要としていた時、あなたはまだこの女に付き添っていた。二人が冷たい手術ベッドの上で死んだのは、あなたの不作為のせいだよ」

「そんなんじゃない、そんなんじゃないわ」

「今日は泰一と晴美の葬式だ、お前は来なかった、人生で最後に子供二人に会う機会を失ったんだ」

川原和馬は突然床に座り、まるで魂が抜けたかのようだった。

その時、浅川雪が突然泣き出した。

「おじさん、ママが血を流れているんだ。早くお母さんを病院に連れて行ってくれる」

川原和馬は振り返り、浅川梨奈が確かに血を流しているのを見て、立ち上がって駆け寄った。

「梨奈、怪我してるじゃないか。絵里、花瓶で人を殴るなんて、彼女が怖がるよ」

「川原和馬、あなたは自由だよ、離婚同意書はもうあなたのオフィスに宅急便で送ったわ、あなたのものは全部ゴミ箱に捨てたわ、覚えておいて、二度と私の家に足を踏み入れないでね、汚れすぎるわ」

私は振り返り、ドアを閉めようとした。

川原和馬が近づいてきて、片手でドアを支えた。

「絵里、私は離婚に同意しない。この家は私たち夫婦の共有財産なんだから、私を追い出す理由はないだろう」

傍にいた梓川上野はもう見ていられなくなり、川原和馬を一気に押した。

「川原和馬、あなたはメンツを要らないの、あなたが大学院に入学できたのは絵里のお父さんのおかげだ、あなたの仕事も絵里のお父さんの手配だ、今この家も絵里のお父さんが買ってくれたものだ、あなたは一円も払わな