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第4話

川原和馬は一瞬戸惑った。

「何を怒っているの。絵里、あなたは病院で子供たちの面倒を見る代わりに、私と梨奈につきまとい、こんな些細なことで、私と離婚したいとまで言うなんて、私は泰一と晴美の父親なのよ」

「まだ自分が泰一と晴美の父親だと知っているのか。知らない人は、あなたが浅川雪の父親だと思うだろう」

浅川梨奈は憤慨し、涙で目を潤ませ、川原和馬の後ろに縮んだ。

「先輩、全部私のせいだよ、お姉さんと喧嘩しないでよ、あなたが二人の子供を見ようとしなかったのは全部私のせいだよ。早く戻ってね、私は一人で大丈夫だから」

浅川梨奈は振り返って立ち去ろうとしたが、またつまずいて転びそうになった。

川原和馬は浅川梨奈を手で支えていた。

「梨奈、あなたたちを先に帰らないと、このままでは安心できないわ」

川原和馬は雪を抱き上げ、浅川梨奈を支えながら、帰ろうとした。

「あなたは泰一と晴美に、明日、僕が必ず病院に会いに行くと伝えてください」

「その必要はないよ」

「どういう意味なの」

「もう二度と会えなくなる」

「絵里、はっきり言えよ」

この時、浅川雪が川原和馬の顔を親しげに押さえ、私が言おうとしたことを中断した。

「おじさん、私を人形捕りに連れて行くって約束したでしょ。これ以上遅くなると、ショッピングモールが閉まっちゃうよ」

川原和馬はすぐに眉をひそめて微笑んだ。

「そうだよね、早く行くよ」

「明日、私は必ず子供たちに会いに行くわ」

私は川原和馬の袖口をしっかり掴み、ちゃんと話した。

「川原和馬、今すぐ私と一緒に戻ろう、そうでないと、二度と戻ってくる必要はないのだ」

「いい加減にしろ、絵里、今の姿を見て、あなたはまだあの頃の絵里なの。戻ってちゃんと反省しなさいよ。そうしなければ、本当に離婚しても構わないわよ」

川原和馬は、私が握っていた袖を嫌そうに振り払って、半分もためらうことなく、浅川梨奈と浅川雪を連れて出て行った。

翌日には戻ってくると言っていた。

しかし一週間を経ったのに、川原和馬は私に電話をかけてこなかった。

二人の子供の状況を誰かに尋ねることもなかった。

たとえ同じ病院にいたとしても、看護師に聞きさえすれば、子供たちがいなくなったことを知ることができたはずだ。

しかし、彼はそうしなかった。

今日は子どもたちの葬式だ。

彼が最後にもう一度、子供たちに会いに来てくれたいと思う。

彼に電話を何回かけても返事はなく、浅川梨奈のlineを読んで初めて答えがわかった。

今週間には、川原和馬は浅川梨奈の娘である浅川雪の誕生日パーティーの準備を手伝っていることがわかった。

また、彼女たちに高級アパートを探してくれた。

豪華な新築祝いの食事と楽しいプールでの誕生日パーティー。

三人は水着を着て、半分水に浸かり、川原和馬と浅川梨奈が一緒に浅川雪を持ち上げていた。

彼らはとても明るい笑顔をしていた。

「素晴らしい生活、君に甘やかされたから、温かいひととき、すべては君の存在のおかげで」と書かれていた。

私は写真に写っていた川原和馬の笑顔を見て、心の中の星のような温度が氷のように下がった。

私は梓川上野に言った。

「待つ必要がなくて、葬式を始めよう」

私は泰一の大好きなウルトラマンとプーさんを小さい棺桶に詰め込んだ。

焼却炉に押し込まれるのを見た瞬間、その日に、私の涙は完全に流れ果てた。

家に帰ると、すぐに家事会社を探した。

川原和馬に関することはすべてゴミ箱に捨て、ひとつも残さないように頼んだ。

また、離婚協議書の作成を弁護士に依頼し、彼が何も得ることなく家を出て行けるようにした。

離婚協議書を受け取った川原和馬は、私が本当に離婚するつもりだと感じただろうか、私の家に早く駆けつけてきた。

ドアを開けると、泰一と晴美の遺影写真が川原和馬の視線に飛び込んできた。

川原和馬は、泰一と晴美の黒い花のつけられた写真を見て唖然とした。

持っていた贈り物はあちこちに落ちてしまった。

「どうしたの、絵里、こんなに、泰一、晴美、パパが帰ってきたわ」

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