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第4話

電話は自動的に切れても、向こう側は誰も出なかった。

以前は彼の電話に秒で応答していたのに、上川大海は心のどこかで焦りを感じていた。

彼は振り返り、隊員たちに「上に行ってくる」と言った。

私が自分の死を発見してくれるのを心待ちにしていると、山崎葵が突然「あっ」と声を上げ、地面にしゃがみ込んだ。

苦痛の表情を浮かべている。上川大海は小走りで彼女を抱き上げた。

「また足が痛いのか?バカだな、早く家で休んでおけばよかったのに。病院に連れて行くぞ」

彼は私の存在を完全に忘れ、山崎葵を抱えて去ろうとしていた。

「上川大海、奥さんの様子は見に行かないの?」と私が思っても無駄だった。

「彼女はきっと元気だ。あの人が心が強いだから、心配いらない、まずは葵を病院に連れて行く」彼は振り返ることもなく、大股で去って行った。

私が彼を失望させてしまった。私はもう死んでしまったのに、彼はそれに気付くことができなかった。

車に乗り込んだ山崎葵は少し恥じらいながら言った。「清瀬さんは怒らないの?こんなに時間をかけて」

上川大海は眉をひそめて答えた。「彼女のことは気にするな。元々彼女のせいだから。あなたの体が一番大事だ」

その言葉を聞いて、山崎葵の顔には甘い笑顔が浮かんだ。

病院に着くと、台風の影響で怪我をした患者が溢れていた。

上川大海は車椅子を借りて、山崎葵を押して中に入った。

彼女が検査を受けている間、彼はようやく私を思い出し、スマートフォンを取り出してメッセージを送った。

「死んだふりをするな、救助隊に電話するために何をした?恥をかかせるためか?」彼の指は画面に触れる瞬間、激しい怒りを含んでいた。

もし早くこのメッセージを送ってくれていたら、私はこんなことにはならなかったのに。

今生きていたら、彼と離婚したいと思っていたかもしれない。

死んで初めて、この関係が私に与える痛みだけだと知ることになった。

メッセージを送り終え、上川大海は深いため息をついた。

そして再び山崎葵の方を心配そうに見た。

しばらくして彼の携帯電話が鳴った。

彼は確認もせずに電話を受け、「死んだふりはもうやめたのか?俺が怒る前に、仲間に説明しに行け」と言った。

「上川大海、私よ」上川大海の母の声が聞こえた。

彼は「母さん、何の用で電話してきました?」と尋ねた。

「短い動画
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