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第18話

金原は驚きであごが落ちそうになった。

なんと、この人が宮沢社長の隠された元妻だったのか!

正直なところ、この容姿は彼の妹よりも遥かに洗練されている。幼なじみという関係に頼っていなければ、彼の華やかだが中身のない妹は、この強靭なバラの花に太刀打ちできなかったかもしれない。

「宮沢社長、彼女があなたの元妻だとしても、だからって私が謝らなきゃならない理由にはならないでしょ!」

金原は面子を重んじる性格で、どうしても譲歩しようとしなかった。「彼女が私に謝るなら、今回はなかったことにしてもいい」

「私が遅れてきたせいで、お前の部下が彼女にどんなひどいことをしでかしたか、わからないだろう」

隼人の表情は冷たく、雪のように厳しくなった。「なかったことにしても、お前が間違っていなかったとは言えない。謝れ」

金原は心の中で震えていたが、表面上はまだ強がっていた。

桜子は頬を赤くし、酒の勢いで酔いが回ってきた。

彼女が聞いたのは「元妻」と「謝罪」という言葉だけ……この野郎、私に頭を下げさせるつもりか?!

あいつの首をひねってサッカーボールにしないだけマシだと思ってよ!

「謝罪なんて面倒だな。俺のルールでいくとしよう。警察に連れていくか、こいつらを叩きのめして終わりにするかだ」

優希は攻撃的なイケメン顔で皮肉な笑みを浮かべ、二列の手下を引き連れて現れた。その姿はまるでヤクザの若頭のようだ。

「なんで俺が叩かれるんだ?法も何もあったもんじゃないのか!」金原は優希の登場に恐れおののき、声が震えていた。

優希は指をちょいと曲げると、先ほど酒を無理やり飲まされた少女が怯えながら彼の後ろに隠れた。

「第一、俺の店の女の子たちは酒を売るだけで、接待なんてしない。お前らが彼女に無理やり酒を飲ませた時点で、俺のルールを破ったことになる。

俺の店で禁止薬物やドラッグを使うことは絶対に許さない。俺がこの店で一番嫌いなのは、そういうことをする奴だ。もしそんなことをしたら、足の一本や二本を折るくらいじゃ済まされないぞ!

今回、白沢さんが薬を盛るのを阻止してくれなければ、お前はもうとっくにこのACEから担架で運ばれていただろう」

隼人は驚き、そして真実を知って愕然とした。

「ハハ!男前だな!やるじゃないか!」桜子は目を細めて優希に親指を立てた。

「お褒めいただき、ありがとうございます、元兄嫁さん」優希はウィンクしてみせた。

二人が目配せしているのを見て、隼人は胸の奥に得体の知れない不快感が湧き上がってきた。

「隼人、この処置でいいか?」優希が尋ねた。

「いいだろう」隼人は簡潔に答えた。

「俺が悪かった!俺が悪かった!宮沢社長、本当にこの方があなたの元妻だとは知らなかったんです!俺は目が曇ってました。白沢さんに謝罪します。本当に申し訳ない!」

金原は奥歯を噛みしめて桜子に謝罪し、心の中では怒りで煮えたぎっていた。

隼人はまだ不満を感じていたが、そのとき彼は気づいた。

小春がいない!

「元兄嫁さんを探しているのか?あそこを見ろ」優希が口笛を吹き、ステージの方向を顎で示した。

隼人の瞳孔が収縮し、心臓が一瞬止まったように感じた。

そこには、幻想的な光の中で、小春が腰をくねらせてセクシーでちょっといたずらっぽいダンスを踊っている姿があった。彼女は自信満々に笑い、まるで心を掴む小悪魔のように、その姿からは目が離せなくなった。

桜子は完全に酔っ払い、完全にハイになっていた!

彼女は自分が何をしているのかまったくわからず、自分が飛んでいるように感じ、自分は定義できない風そのものだと思っていた。

突然、彼女は後ろに体を仰け反らせた。

驚きの声が上がる中、彼女は硬いけれど温かい胸に落ちた。

かろうじて隼人の怒りを湛えたハンサムな顔を見たとき、彼女はただぼんやりと笑って、こう言った。

「吐きたい」

……

隼人は桜子を男性用トイレに引きずり込んだ。

彼女は便器に向かって天を仰いで吐き続け、どんなに美しい人でも吐く姿は惨状だ。

隼人は最初、ドアの前で冷たく見つめていたが、彼女が本当に苦しそうにしているのを見て、彼女の背中を軽く叩いて助けた。

すっかり吐き終わった桜子は、ぼんやりと洗面台に向かい、口をすすぎ始めた。

「う……気持ち悪い……」

「それでも飲むなんて、自業自得だ」隼人は隣で冷たく眉をひそめた。

「だって……つらいんだ……すごくつらいんだ……」

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