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第23話

ちょうどその時、入口からスタッフの声が聞こえてきた。

「ルートの故障はすでに解決しましたので、皆様は順番に並んで退避してください……」

スタッフが秩序を保ち、混乱はすぐに収まった。

凛はもうこれ以上見る気がなく、足早にその場を後にした。

海斗も腕を抜いて後を追いかけた。

晴香は悔しそうに歯を食いしばりながら言った。「海斗さん、待って——」

チケットチェックの場所では、すみれは早くも出てきていた。中でルートの故障で火事になりかけたと聞いて、凛がまだ出てきていないことを思い出した。ほかの人が止めなければ、彼女はすでに飛び込んでいただろう。

幸いにも、30分も経たずに凛は無事に出てきた。

すみれはすぐに駆け寄り、「ケガしてない?さっき警報が鳴った時、本当に怖かったのよ」と言った。

「私は無事だよ、もう帰ろう」

一日中遊んで、彼女は本当に少し疲れていた。

すみれは頷いた。「そうね、じゃあ帰りましょう……あれ?あれは海斗じゃない?」

そう言うと、海斗が晴香を従えて一緒に出てくるのが見えた。

「遊びに来たのに、あいつに会うなんて、縁起が悪い」

凛は二人をちらっと見ただけで目をそらした。「怒らないで、たまたま会っただけだ。行こう」

帰り道、すみれは考えれば考えるほど腹が立ち、交差点で急にUターンした。

凛は少し戸惑った。「家に帰るんじゃないの?」

「私は帰らないことに決めた。男なんていくらでもいるでしょ?三本足のカエルは見つけにくいけど、二本足の男ならゴロゴロいるじゃない。さあ、私が世間を見せてあげる!」

凛は不思議がる。「??」

……

夜の8時、街のナイトライフが始まる時間だ。

凛は操り人形のように、すみれに引きずられて賑やかなバーへと連れて行かれた。

煙草の臭いや香水の匂いが混ざり合い、赤や緑に点滅するライトが照らす中、人々が行き交っていた。

カジュアルな服装をした凛は、周囲の雰囲気に全く合わない存在だった。

ステージでは、一筋の光が降り注ぎ、女性シンガーが英語のバラードを歌っていた。

すみれは彼女を二階の個室に連れて行き、さらにウェイターにウイスキーを頼んだ。凛はウイスキーが苦手なので、度数の低いカクテルを頼んだ。

しかし、少し飲んだだけで顔が赤くなり始めた。

彼女は手の甲で両頬を触り、少し熱いと感じた。「すみれ、ちょっ
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