共有

第99話

「うーん」

紗枝はしばらく考えてから、彼女に言い出した。「葵は時先生が私だと知らなかった。それに彼女に知られたくない」

「了解」

葵にお母さんと弟の居場所が分かると言われてから、紗枝はできるだけ自分の身元を隠すようにした。

そうでなければ、彼らに見つけられたら、絡み合うことになるだろう。

底なしの欲張りの母、そして自分を裏切った弟を思い出すと、紗枝は心が寒く感じ始めた。

唯と葵を訴える話を詳細話してから、離れると思った。

唯に止められた。

「せっかくで、そして景之も幼稚園だし、久しぶりに近くのショッピングモールに行こうよ」

紗枝が断れなかった。

二人は一緒に桃洲市最大のモールに行った。

唯はため息をついた。「啓司はクズだが、でも本当に凄いだ。このような商業パーク、全国各地にあるの」

「一年でどれくらい稼ぐのか?また不動産、インターネット…ありすぎて想像もできないほど儲かってる」

これを聞いて紗枝も感服した。

「ここ数年、啓司は確かに黒木家と黒木グループを新たな段階に引き上げた」

「まあ、もっと人徳があればいいのに」唯に腕を抱えられ、二人がモールに入った。

高級ブランド品の店に来て、スタッフがすぐ出てきた。

唯が服を試着した時に、紗枝が休憩エリアに座って待っていた。店の隅に彼女を覗く人がいるのが気づかなかった。

服を着替えて出てきた唯を指差して、「このドレスを買う」と言い出した。

ここの服はすべて単品だった。

唯は眉をひそめて言った。「どういう意味?この服、私が先に見つけた」

女は嘲笑いながら言った。「先に見つけたってどうなる?支払ったの?」

唯も負けず劣らず、スタッフに「これをくれ」と言い出した。

そう言った後、彼女は受付係にカードを出した

しかし、あの女もあきらめず、カードを取り出した。

受付は困った。争いの声が紗枝に伝わってきた。

彼女は出てきて、一目でその女が河野悦子だと分かった。河野家の三女で葵の友達だった。

「唯、どうしたの?」紗枝が前に出て尋ねた。

「この女が技と喧嘩を売りに来たの。私が先に服を見つけたが、彼女は横取りしようとした」

悦子の事を唯が知らなかった。でも、大嫌いとなった。

「どうして同じドレスに気に入ったかと思った。紗枝の友達か。それは納得だ。どうせ、紗枝は
ロックされたチャプター
この本をアプリで読み続ける

関連チャプター

最新チャプター

DMCA.com Protection Status