共有

第7話

タクシーで親友の会社に向かうと、エントランスで待っていた親友が私を見つけて、すぐさま走り寄ってきた。

「やっと来たわね!もう少しで見逃すところだったわよ、最高の『見もの』を!」

「見もの?」

何がそんなにおかしいのかと、私は首を傾げる。

「ほら、あれ見て!誰がいると思う?」

親友に引っ張られて視線の先を見ると、小姑が涙でぐしゃぐしゃになった顔をして、夫の手をしがみつくように掴んでいた。

「お願い、見てよ!これ、私の検査結果よ。私、妊娠してるの!」

小姑は必死に検査結果を持ち上げて見せるけど、彼女の夫はそれを無造作に払いのけた。

「な、なんでそんなことするのよ!あなたの子供を身ごもってるのに!」

小姑は夫を見つめて、ショックで涙目になっている。

「妊娠したからって、それが俺の子だって証拠はあるのか?」

小姑の夫は冷たい目で彼女を見下ろし、嫌悪感が表れた視線を向けている。

私はその様子を見て、思わず冷笑を漏らす。まぁ、疑うのも当然だろう。あの日、みんなが飲んだのは強力な「家畜用」の薬だ。小姑が身ごもった子供が本当に誰のものか、誰にもわからないのだから。

「どうして認めてくれないの?私たちの子供なのよ!」

小姑は必死に夫の手を掴んで離さないが、彼は彼女を乱暴に突き飛ばした。

「俺に触るな、この気色悪い女め!お前たち一家がみんな嫌なんだよ!」

彼の怒声に、人々が集まってきて周りは小さな人だかりができている。小姑は泣きながら夫の足にすがりつき、周囲の視線も構わず訴えかける。

「お願い!捨てないでよ!あなたの子供なのよ!」

「離れろ!」

彼は小姑を忌々しそうに睨みつけ、さらに罵倒を浴びせる。

「世の中には女なんていくらでもいるんだ。お前じゃなくても、他の女が産んでくれる!」

小姑は呆然としながら、夫の手をしっかり握り、苦しげに叫ぶ。

「もしかして......浮気してるの?あんたって最低よ!どうしてこんなことができるのよ!」

彼女の問いに返事をすることもなく、夫はイラついた様子で電話をかけ始めた。

「もしもし?ちょっと助けが欲しいんだ。面倒なことになってるんでな」

悲しみに浸っている小姑は、まだ何が起きているのかまるでわかっていなかった。夫のズボンの裾を掴んで、必死に離さない。

それを見て、親友が苦笑しながら首を振った。

「哀
ロックされたチャプター
この本をアプリで読み続ける

関連チャプター

最新チャプター

DMCA.com Protection Status