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第5話

外から聞こえていた声が、次第に小さくなっていく。

私はようやくドアノブをひねり、外に出た。

奴ら一家はすでに酔い潰れて、テーブルに突っ伏したり、支離滅裂な言葉を口走ったりしている。

私は時間を確認する。あと30分もすれば、完全に狂乱状態に突入するだろう。

小姑がふにゃふにゃと笑いながら「お姉さんが私のために子供を産んでくれる~」なんて寝言を言っている。

夫は「これで金の成る木ができたぞ!」と興奮気味に呟いているし、姑は椅子から転がり落ちて地面で高いびきだ。

私は彼らに一瞥もくれず、急いで部屋に戻り、荷物をまとめて家を出た。あいつらが今夜どんな目に遭うかなんて、知ったこっちゃない。

「子供が欲しいんだったら、勝手に自分たちでどうぞ!」

その後、奴らに見つからないようタクシーで親友の家に向かった。たっぷり寝て、翌朝を迎えると、スマホに着信がひっきりなしに入っていた。

電話に出るや否や、夫の怒鳴り声が響く。

「咲、お前今どこにいるんだ!」

電話越しに、小姑とその夫が激しく言い合う声や、姑が仲裁する声まで聞こえてくる。

「私がどこにいるかなんて、あんたに関係ないでしょ」

私は冷たく答えた。その声に感情は微塵もない。

夫はさらに声を荒げる。

「昨日、俺たちに何食わせたんだよ!」

私は驚いたふりをして「え?昨日?」と一声。

「昨日のご飯って、小姑が作ったんじゃなかったっけ?」

「ねぇ、ダーリン。質問する相手、間違えてない?」

私の言葉に、夫は口を噤んで黙り込んでしまった。

夫は私の言葉に詰まり、しばし絶句した。だって、自分で「小姑が昨日お酒に薬を盛った」とは言えないだろうし。

「咲、あと30分やるから、今すぐ帰ってこい!」

結局、奴は怒りを私にぶつけるしかないようで、電話越しに怒鳴り散らしてきた。

「私は絶対に戻らないから、諦めなさい!」

私は冷たく笑い、そう言い放った。

「お前、いい加減にしろ!帰らないって言うなら......殺すぞ!」

夫はさらに声を荒げ、脅してくる。

「帰る?何のために?また私を罠にかけるつもり?」

もうこいつに対しては、心底うんざりしていた。自分の妻をここまで平然と利用するなんて、心底ゾッとするような男だ。

「帰らないなら......俺はお前と離婚するぞ」

一瞬の沈黙の後、夫が放ったその言葉に、
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