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第593話 正月が近づいている

静恵がすでに感染していて、それが彼の体に影響を及ぼしたのだろうか?

次郎は洗面台脇のスマホを手に取り、静恵に電話をかけた。

渡辺家。

静恵は食事を終えるとすぐに階上に上がり、次郎からの電話を受け取った。

彼女は通話ボタンを押し、柔らかな声で呼びかける。

「次郎」

次郎の声は少し冷たかった。

「静恵、最近アレルギーのような症状はなかった?」

静恵は戸惑った。

「ないわ、次郎。あなたがアレルギーがあるの?」

言い終わると、静恵は一瞬、頭皮がピリピリとする感じがした。

次郎の今の状況はどうなっているのか?

アレルギーも伝染するのだろうか?

次郎は少し声のトーンを下げ、「なければ良い。この間は旧邸宅にいるから、電話で連絡しよう」と告げた。

静恵は、「あ、うん」と答えた。

電話を切るとすぐに、静恵は服を脱いで体をチェックし始めた。

丁寧に調べたが、特に異常は見つからなかった。

もし次郎に何か問題があったら、それは自分の一生に影響が出るかもしれない。

それはダメだ!

どちらかだけ手に入れるわけにはいかない。

次郎と晋太郎の両方を手に入れる必要がある!

お風呂に入ろうとしていると、静恵のスマホが鳴り響いた。

晋太郎からの着信を見て、静恵はときめいた。

思っている通りに事が運んでいるのか?!

静恵は急いで電話に出た。

彼女が口を開く前に、晋太郎の声が聞こえてきた。

「契約を解消しよう」

静恵の顔から笑みが消えた。

ここで終わらせると言うのか?!

ただ紀美子が知っただけで、彼は契約を破棄しようというのか?!

絶対に主導権を握られるわけにはいかない!

静恵は涙声を絞り出す。

「晋太郎、私に足りない部分があったかしら?」

「違う」

晋太郎は低い声で言う。

「契約を解消する。違約金は払うから」

そして、晋太郎は一方的に電話を切った。

静恵の表情は徐々に歪んだ。

どうやら何か手を打たなければならないようだ。

静恵はスマホを手に取り、ある番号に電話をかけた。

すぐに相手が応答し、静恵は言った。

「先日あなたが話してくれた漢方薬、白血病の術後の回復に効果があるってのは本当?具体的にどこで手に入るの?」

……

一週間後。

紀美子は傷の糸を抜くため、佳世子の運転で病院に向かった。

車中、佳世子は運転しながら愚痴
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