「商業管理局と警察署だ」この時、森川晋太郎がいきなり入ってきて、淡々と告げた。病室にいた全員の目線が一斉に晋太郎に集まった。渡辺翔太は眉を深く寄せながら、「まさか盗み聞きの趣味があったとは」と皮肉った。晋太郎は目を細くして、「ドアが開いていたし、聞きたくなくても声が耳に届いていた。」と答えた。長澤真由は翔太の皮肉を気にせず、「商業管理局がどうしたの?」と晋太郎に聞き返した。晋太郎は椅子に座り、「他殺であれば、紀美子の父親が、他の誰かが狙っていたものに手を出した可能性がある」と言った。入江紀美子は眉を寄せ、晋太郎に聞き返した。「つまり、父は他人の利益に触れていた可能性があるということね?ただの商業競争の関係であれば、すべての受注契約書は記録があるはず。そこから切り込んで調査するべきだと?」「そうだ、流石は秘書出身だな」晋太郎は感心した様子で頷いた。紀美子は晋太郎の肯定を気にせず、「お兄ちゃん、父が勤めていた間のその会社の受注記録を、調べてもらえる?」と翔太に聞いた。「分かった、任せて」「紀美子、調査のことは私達に任せて。君は無理しないでちゃんと休んで、怪我を治してくれればいい。」紀美子は頷き、「分かったわ……叔父様、叔母様」真由は感動して紀美子の手を握り、「いい子ね!叔母さんは、君が認めてくれれば、死んでも心残りはないわ!」と言った。紀美子は微笑んだ。翔太と渡辺夫婦が帰った後。紀美子は晋太郎に、「昼ご飯食べに行かないの?」と聞いた。晋太郎は携帯でメッセージを編集しながら、「肇に買ってくるように指示した」と答えた。紀美子は暫く晋太郎の携帯を見つめてから言った。「もし忙しいなら、先に帝都に帰ってくれていいわ」晋太郎は手を止め、口元に笑みを浮かべて言った。「忙しくなければ残ってもいい、ということか?」「……」紀美子は、晋太郎がそう返してくるとは思っていなかった。彼女は晋太郎の話を無視した。30分後、杉本肇が昼ご飯を持ってやってきた。今回はお粥だけではなく、豪華なおやつも入っていた。美味しそうな匂いは、紀美子の食欲を大きく掻きたてた。肇は料理を一品ずつテーブルに置いて、「入江さん、これは全部晋様のご指示で買ってきたもので、みんなが入江さんが好きなも
パスワードを入力すると、チャット画面がポップアップしてきた。狛村静恵からのメッセージだった。「晋太郎、あまり心配しないで、私は念江くんと一緒に待ってるから」紀美子は驚いて、無心でその会話を見つめた。それは……森川晋太郎の携帯だった……彼女は自分の携帯だと思ってパスワードを入力した。パスワードは紀美子の誕生日。まさか晋太郎が、自分の誕生日をパスワードに設定していたとは。しかも、偶然とはいえ、静恵からのメッセージも見てしまった。念江と一緒に晋太郎の帰りを待っているだって?静恵に虐待されたこともあるのに!晋太郎が、あんな女とずっと一緒にいたなんて!それだったら、何故彼は自分に、警戒を解いてもらいたいなどと言ったのだろう。彼は、自分がどれほど矛盾しているか自覚していないのか?!紀美子は携帯を枕元に戻した。目の前の料理が、急に味がしなくなった気がした。心臓の痛みが彼女を現実に引き戻した。彼女は、彼の言葉と嘘っぽい行動を見て、もう簡単には信じられなかった!数分後、晋太郎が病室に戻ってきた。紀美子が冷めた表情で、ベッドに呆然と座っているを見て、彼は眉を寄せた。「何故食べない?」晋太郎はベッドの縁に座って、「左手じゃ箸が使えないから?」と尋ねた。紀美子はゆっくりと視線を取り戻し、冷たい口調で言った。「もう、帰っていいよ」晋太郎の目つきが厳しくなり、もっと冷たい口調で言った。「同じ言葉を何回繰り返させれば気が済む?」「ここに残ってもどうにもならないでしょ?」紀美子は厳しい声で彼を問い詰めた。「帝都にはあなたを必要とする人が沢山いるでしょ、なんでここに残るの?!」晋太郎は、彼女はどうしたのかと戸惑った。さっきまで何も無かったのに、なぜ急に反抗してくる?「そこまで俺に帰ってもらいたいのか?」晋太郎は冷たい声で聞いた。「そうよ!」紀美子ははっきりと答えた。彼がそこまで静恵のことを残したいのなら、彼女には、もう、2人の幸せを壊すつもりは無かった!晋太郎のオーラが急に冷たくなり、「紀美子、俺が何を間違ったというんだ!」と言った。それを聞くと、紀美子の怒りは一瞬で湧き上がり、負けずに言い返した。「間違ってるなど、一言も言ってないわ!ただあな
そう考えながら、森川晋太郎はテーブルに置いていた携帯と資料を持って、病室を出た。帰る前に、晋太郎は杉本肇に残って入江紀美子の世話をするように指示した。肇も外で二人の喧嘩が聞こえていた。自分のボスの寂しい後ろ姿を見送って、肇は病室に入った。彼には紀美子に言いたいことが沢山あった!紀美子の前に来て、肇は厳しい声で言った。「入江さん、何故晋様にあんな態度を取ったのか私は理解できません。晋様は、あなたが病院に運ばれたのを知ってから、手元の全ての仕事を置いてここに来ました。あなたがICUに入れられたのを見た時、一歩も離れずに外で待っていたのを知っていますか?彼は食わず眠らずにあなたが目覚めるのを待ち、自らあなたの世話までしたのに、何故晋様にあんなことを言ったのですか?入江さん、私には理解できません!」「もういい」紀美子は俯きながら、かすれた声で言った。「あなたも帰っていいよ」彼女はもう、愛人にはなりたくなかった。晋太郎にも、二股をしてほしくなかった。狛村静恵に関しては、彼女はもうそれ以上考えたくなかった。肇は深く眉を寄せながら、彼女を問い詰めた。「入江さん!一体どうしたのですか?晋様が、一体何をしたというのでしょうか?あなたが会社を立ち上げたばかりの頃、晋様がどれほど助けてあげたのか、どれほど、あなたの会社にちょっかいを出そうとした輩を退けたのか、あなたには分からないかもしれないが、あなたの会社がこれほどの短時間で帝都の商業界に、石垣を固めたのは、晋様の働きがあってからのものですよ」紀美子の表情に動揺が見えた。彼が自分を助けた?でも、それがどうしたというのか?彼が助けてくれた分は、静恵が彼女にもたらした苦痛の償いになるのか?彼女が思い出したくない過去の数々、全ては彼が静恵を甘やかしたことによるものだった。今更どう受け止めろというのか?!彼が未だに静恵と連絡を取りあっているのを、ただ見て見ぬ振りをしろというのか?!彼には、自分が静恵の後ろ盾をしていることで、紀美子がこの先、どれほど苦しめられることになるのか分からないのだろう。彼女はもうこれ以上背負いきれなかった。「出ていって!」紀美子は冷たい声で言った。「入江さん!」肇は往生際が悪く続けて問
入江紀美子はゆっくりと体を起こし、左手を両目に当て、「やっぱり私は彼と合わないわ」と言った。杉浦佳世子は手を顎に当てながら言った。「通常であれば、晋太郎はもう静恵と縁を切っているはずよ。静恵は前、念江くんにあんなひどいことをしたのに、晋太郎が彼女のことを許せるはずがない」「万が一本当に彼女のことが好きだったら?」紀美子はあざ笑いながら言った。。「それはもっと有り得ないわ!」佳世子はすぐに否定し、説明し始めた。「ほら、もし悟さんがあなたの子供を虐待したとしても、彼のことを好きになれる?或いは、もし悟さんが晋太郎の全てを奪ったのを知っても、まだ彼と一緒にいたいと思える?」「いいえ」紀美子は間髪を容れず答えた。「それでいいじゃない」紀美子は腕を下ろし、軽く眉を寄せながら言った。「なら、静恵と晋太郎は今、どういう関係?」「そこよ!」佳世子は不思議そうに紀美子を見て、「今はその2人の関係を明らかにするべきだわ」と言った。「彼と静恵の話をするのには、抵抗があるわ」紀美子は自分には彼女に傷つけられたトラウマがあると自覚していた。佳世子はどう慰めたらいいかが分からず、話題を変えるしかなかった。「で、あなたはいつ転院するつもり?」佳世子の言葉で転院の話を思い出した紀美子は、「ちょっと医者さんに聞いてくれる?できれば今日中に戻りたい」と言った。佳世子は立ち上がり、「分かったわ、ちょっと聞いてくる。もしできるなら、このまま転院の手続きを進めるね」と言いながら病室を去った。30分後。佳世子は病室に戻り、紀美子にまず帝都の病院に連絡を入れてからでないと、転院の手続きができないことを伝えた。しかし、翌日の午前には帰れるはずだ。紀美子は特に異議はなく、頷いて受け入れた。午後、佳世子はもう一つのベッドで横になって携帯を見ていた。暫く見ていると、彼女はそのまま眠ってしまった。紀美子も同じく暫く休もうとすると、枕の下に入れていた携帯が急に振動した。彼女が携帯を手に取り、メッセージを送信した人の名前を見ると、体が固まった。携帯を開き、森川次郎からのメッセージを確認した。「そろそろ起きたと思うが、今回の慈善事業はなかなかよくできている」次郎が必ず何かを言おうとしているのを知
狛村静恵は息を整え、笑顔で挨拶をした。森川貞則はエサを与えていた手を止め、横目で彼女を見てから、また魚にエサをやりはじめた。静恵が近くまで来てから、貞則は口を開いた。「よくもまた尋ねてきたものだ」静恵は笑顔で、「叔父様、その言い方はちょっとひどいですわ」と言った。貞則は冷たく鼻を鳴らし、やや厳しめの口調で言った。「うちの孫に何をしたかを、ワシが知らんとでも?」静恵は眉を上げ、「あれはもう過ぎたことですし、今の私は、念江の命の恩人ですよ」と言った。確かに、そのことがあったので、貞則は静恵が入って来るのを許した。彼は持っていた魚のエサを隣の石製のテーブルの上に置き、座ってから聞いた。「で、何をしに来た?」静恵も隣に座り、単刀直入に言った。「今回来たのは、次郎さんのことです」貞則の目つきは変わらず冷たいままであった。まるで彼女と次郎とのことを知っていたようだ。「次郎は君と何の関係もないが、何か言いたい?」貞則は聞いた。静恵は全く貞則の話を気にせず、「次郎さんが入江紀美子と接触しているのも、MKに戻りたいのも知っています。この2件について、私が彼の力になれます」貞則は目を細くして静恵を見て、「君が、晋太郎を説得して次郎をMKに戻らせるほどの力を持っているとでも?」と聞いた。「説得できるかどうかは自信がありませんが、晋太郎を妥協させる方法なら知っています」「どんな?」「紀美子です」貞則は眉を寄せ、「彼女に何の関係がある?」と聞いた。静恵は自分にお茶を注ぎながら言った。「晋太郎がどれほど彼女のことを気にしているのかについて、叔父様も分かっていますよね?」「あいつは今、彼女のところにいる」貞則は鼻を鳴らして言った。「例えば、次郎さんに彼女と婚約を結ぶように強いたら、どうなります?」貞則はすぐに断ろうとしたが、まだ言葉を言い出していないうち、静恵に阻まれた。「もちろん、本当の婚約ではありません。晋太郎に選択をさせる為のものだけです」貞則は暫く考えてから、「つまり、あいつに会社と紀美子の間で選択を迫るのか?」と尋ねた。静恵は頷き、答えた。「そうです、彼が紀美子を選んだら、止むを得ず次郎さんをMKに戻らせることになります」貞則はあざ笑い、言った。
狛村静恵はそのまま、冷静に座ってお茶を飲んでいた。暫くすると、森川貞則は、「晋太郎に次郎をMKに入れさせることができるのなら、次郎を君と結婚させる」と言った。そうは言っていたものの、貞則は既に心の中で策略を練っていた。静恵を森川家に入らせることは絶対不可能だ!だがこの女、利用価値はある。それに、彼は静恵が入江紀美子を殺人犯に仕立てようと仕立てた証拠を握っていた。静恵を捨てる時が来たら、手段はいくらでもある。静恵は笑って、「やはり叔父様は気前のいい方。紀美子が戻ってくれば、すぐに計画を実行できます」と言った。……夜。杉浦佳世子は、紀美子と晩ご飯を食べてからホテルに戻って休んだ。午後8時頃、紀美子は入江佑樹からのメッセージを受け取った。彼らは既に家に戻っていて、松風舞桜が彼らを外に連れて遊んできたとのことだった。紀美子は子供達と暫く雑談してから、桜舞にメッセージを送り、ついでに10万円を送金した。桜舞は30分以上経ってからやっと返信した。「入江さん、子供達にお風呂に入らせていて返信が遅れました。お金は受け取れません」「文字の入力は大変だし、お金は素直に受け取ってほしい」「入江さん、お金は本当にいいです。私はこの子達が好きですから。一緒にいるのがただ楽しいです」「……」桜舞がそこまで言うならと、紀美子はそれ以上言わなかった。「分かったわ、ありがとう、苦労をかけたね」桜舞は笑顔の絵文字を返信した。携帯を置いて、紀美子は立ち上がってトイレに行こうとした。布団を捲った途端、病室のドアが押し開けられ、森川晋太郎が入り口に現れた。紀美子は少し驚いて、何故彼が戻ってきたんだと疑問に思った。紀美子がベッドの横に立っているのを見て、晋太郎は眉を寄せながら、「何をしている?」と聞いた。紀美子は俯きながら、冷たい声で、「何で戻ってきたの?」と聞き返した。晋太郎はまっすぐに紀美子の前に立っていて、「君のことが心配だからだ」と答えた。紀美子はあざ笑い、トイレに向おうとした。「私は自分で大丈夫だから、あなたの助けは要らないわ」晋太郎は彼女の後ろについて、「君は静恵のことで怒っている、そうだろ?」と言った。紀美子は立ち止まり、彼が、自分がメッセージを読んだことに気づい
「入江さんの方は、見張りを残さなくてもいいのですか?」杉本肇は聞いた。エレベーターの扉が開き、森川晋太郎は大きな歩幅でエレベーターを出ながら、「小原を呼んでこい」と指示した。「かしこまりました、晋様」10分後。晋太郎は撫安県警察署の入り口についた。中に入るとすぐに、殴られて顔に傷がついた田中晴を見つけた。隣には、晴と喧嘩をしていた3人の男がいた。彼らの顔にも傷がついていた。晋太郎が晴の目の前に立つと、晴は首を振りながら晋太郎を見た。「よう、来たか」「お前、何てことをした!喧嘩で警察署に連れて来られるなど、シャレにならんぞ!」そう言いて、彼は後ろにいた肇に、「保釈金を払ってこい」と指示した。「待ってください。彼達はまだ、示談にするかどうか話が終わっていません」と、警察は言った。晋太郎はネクタイを引っ張り、イラつきながら晴の隣に座った。晴はすぐに、「ごめん、迷惑をかけちゃった」と謝った。晋太郎は晴を押しのけながら、「お前とこいつら、どっちが先に手を出した?」と聞いた。「奴らが先に手を出した!」晴はその三人を指差し、「俺はただ酔っちゃって、少し彼らに触れただけで殴られた」と可哀想な表情で答えた。「おい、デタラメなことを言うんじゃねえよ!」急に1人の男が立ち上がって晴に怒鳴った。「お前が俺の女に手を出したからだろ!」男は、怒鳴った傍から、警察に注意された。「静かにしなさい!ここは警察署だ、まだそんなに威張るのか?!」「警察官さん、こいつがうちの女に触れたこと、どう処理してくれるんっすか?」男は不服そうに聞いた。晋太郎は冷たい目線で晴を睨み、「お前は人の女に手を出したのか?」と尋ねた。晴は慌てて手を振りながら説明した。「違う!俺はただ彼女の傍を通っただけだ!俺は無実だ!」「嘘つけ!お前、俺の女の尻を触らなかった?!」「黙れ!」晋太郎のオーラ―は一瞬で冷たくなり、男を見る真っ黒な瞳の奥には、怒りの炎が燃えていた。。「お前ら、こいつがその女の尻を触った証拠を出せ。でないと、今回のことはタダでは済まないからな!」自分の親友を殴り、紀美子との大事な時間を奪った奴らを、晋太郎は許すつもりはなかった。徹底的に潰してやる!晋太郎のオーラ―が強
晴をホテルに送った後、晋太郎は病院に寄った。しかし、紀美子が眠っているのを見て、邪魔になるのを恐れてそのまま帰った。翌日。佳世子と翔太は早朝から病院に来て、紀美子の転院手続きを手伝った。9時。手続きが完了した。佳世子は紀美子の持ち物を整理しながら言った。「もう少しで終わるよ、荷物はあまり持ってきてないしね」紀美子は椅子に座ってぼんやりしていて、佳世子の言葉を聞いていないようだった。隣の翔太は仕方なくもう一度声をかけた。「紀美子?何をそんなにぼんやり考えてるの?」紀美子は我に返った。「何でもないよ。終わったの?叔父さんと叔母さんは?」「車の中で待ってもらってるよ、外は寒いから」翔太は言った。そう言いながら、翔太は新しく買ったダウンジャケットを紀美子にかけ、帽子とマフラーもつけてあげた。一通りの身支度を終えると、紀美子は翔太に包まれてクマのようになった。この時、紀美子の心はまったくここにないことは明らかだった。佳世子は紀美子に困惑した視線を投げかけた。「もしかして、晋太郎を待ってるの?メッセージ送ったら?」紀美子は黙ったまま、まるで機械のように携帯を取り出して晋太郎にメッセージを送った。内容は、彼女が退院することを伝えるものだった。晋太郎が何日も面倒を見てくれたので、何も言わずに去るわけにはいかない。特に他の意味はなかった。喧嘩しても、怒っていても、挨拶は基本だ。翔太と佳世子は互いに目を合わせた。「晋太郎がここに来てから、紀美子の心をまた引き寄せたみたい」佳世子は呟いた。「もし本当に仲直りするなら、俺も止めはしないよ」翔太は笑って言った。「今、紀美子は怒ってるよ」佳世子が注意した。翔太は少し驚いた。「どうしたの?」「あいつの他に、誰が紀美子を不快にさせるっていうの!」佳世子は唇を尖らせ、「静恵に決まってるじゃん」と言った。翔太の表情が少し暗くなった。晋太郎と静恵がまた一緒になったのか?もしそうなら、晋太郎にきちんと話をするつもりだった。絶対に、紀美子に辛い思いをさせたくない!ホテル。晋太郎はビデオ会議をしていた。数日間会社を離れていたため、多くのことを急いで決定しなければならず、紀美子のメッセージを見ることができなかった。会議が終わると、すでに1