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第410話 干渉する資格はない

佳世子はすぐに顔の涙を拭き、「あなたたち全部見たの?」と声を詰まらせた。

入江ゆみが前に進み、佳世子の手を握り、「義母さん、泣かないで」

「泣かせてあげよう」

入江ゆみが言ったばかりに、佑樹が口を開いた。

「彼女はもう何日も我慢してたんだ」佳世子は悔しがるような顔をして唇を尖らせ、「佑樹はやっぱり私を心配してくれてるのね」

言葉を発しようとして、佑樹はにやっと笑って言った。

「たまには泣き顔がブスな人を見てもいいじゃないか」

佳世子は呆然としている。「私のことを言っているの?」佑樹は軽蔑的な目で佳世子をちらりと見て、「泣いてばっかりで頭まで泣きじゃくってるの?」

佳世子は歯を食いしばり、「このくそガキ、今日は母さんからのお仕置きを決めてやる!」

「あら、義母さんが人を殴るんだ!」佑樹は恐縮したように走り去る。

佑樹に刺激されて、佳世子はすぐに田中晴のことを忘れてしまった。

入江ゆみは首を傾げ、兄が義母さんを慰めているのか嘲笑しているのか?何秒か考えたら、入江ゆみは小さな頭を振り、「もういいや、わからない!」

彼女も義母さんと一緒に兄をいじめることにする!

夜分遅く。

ジョーソンは目覚め、洗顔してから紀美子に手を振って外出した。

紀美子はノートパソコンを取り出し、ウェブページを開いた。

ウェブページに掲載されているデザイン商品は一つは師匠の作品で、もう一つは紀美子が知らないもので、下にも名判りがなかった。

ただ、そのファッションのデザインには見覚えがある。

どこかで見たかといえば、彼女は一時的に思い出せない。

投票はすでに開始されており、現在も師匠の派手なデザインはわずか数十票しか得ていない。もう一つのファッション商品は三十分で三千票以上集めている。

紀美子の眉間に一抹の無念が浮かんだ。もし誰かに知られたら、数票しか得ていないデザインが国際的なトップデザイナーであるジョーソンの作品だと、ファッション業界は大騒ぎになるだろう。

草率で心を込めていない、多分師匠が今まで描いた中で最も悪いデザインだろう。

その頃

フォード酒荘。

晋太郎と田中晴が二人で酒荘で酒を飲んでいると、田中晴は票数をじっと見ながら、「この差は明らかに大きいな、晋太郎、ジョーソンを手にするのは決まりだ」

晋太郎は黙っていて、暗い表情で携帯を見つめている。
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