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第377話 俺と一緒に帰ろう。

 三人の子供たちは食事を終え、学校へ行こうとしていたところに、晋太郎が姿を現した。

三人は驚き、佳世子も目をパチパチと瞬かせて呆然としていた。

「社長……」と、佳世子が呼びかけた。

晋太郎は佳世子を一瞥し、軽く頷いてから、念江に目を向けた。

「念江、俺と一緒に帰ろう」と、低い声で言った。

念江は鞄を握り締め、唇を噛んで立ったまま動かず、視線を逸らした。

晋太郎は眉をひそめ、念江が何を迷っているのか理解できなかった。

以前なら言えばすぐに動いたのに、数日会わないだけで、こんなに言うことを聞かなくなるとは……

「念江!」

晋太郎の声が少し冷たくなり、険しい顔が不機嫌に満ちた。

「もうやめてよ!!」と、ゆみが赤い目で晋太郎を睨みつけた。「いつも念江兄ちゃんを連れて行こうとするけど、念江兄ちゃんもママの子なのに!」

晋太郎は冷たい目で微かに目を細めた。「だから何だ?監護権は俺にあるんだ。彼の行き先は俺が決めることだ」

ゆみはしばらく呆然として、その意味がよくわからなかった。

しかし、彼女はクズ親父の態度がとても悪いのを知っていた。

ゆみは拳を握りしめ、服のエッジを引き締めた。昨日、ママが酷く殴られているのを見ても、クズ親父が助けようとしなかったことも思い出した。

こんな悪い人を好きになんてなれない!

こんなパパなんていらない!

ゆみは勇気を振り絞り、念江の側に駆け寄った。

彼の手を掴むと、彼女の美しい瞳はまん丸に見開かれ、晋太郎を怒りに満ちた目で見上げた。

「言ってる意味はわからないけど、ママが戻ってくるまで、念江兄ちゃんを連れて行かせないから!!」

晋太郎の冷たい気配が一気に強まり、声はまるで氷のように冷たくなった。「俺の忍耐力を試そうとしているのか?」

その強烈な威圧感に、ゆみの小さな体は硬直した。

彼女の目には恐怖が浮かび、頭の中に万両が髪を掴んで彼女を振り出した映像がよぎった。

彼女は怖くなった。クズ親父が万両と同じように自分を傷つけるかもしれないという恐怖が湧き上がった。

ゆみの青ざめた顔を見て、佳世子と佑樹がすぐに彼女の側に駆け寄った。

佳世子は呆然としたゆみを抱きかかえ、晋太郎に向かって言った。「社長、ゆみはまだ子供なんです。彼女にそんなに怒鳴らないでください」

佑樹もまた怒りを押さえたまま、冷たく晋太郎を見
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