第281話 あんな畜生に値しない。

　晴は仕方なさそうに言った。「晋太郎のこの5年間は、本当に気の毒だと思わないか？紀美子は死んでいなかったのに、君たちは彼にずっと隠してきた。

「君はMKにいるんだから、彼の日々の様子がわからないわけがないだろう？」

佳世子は手に持っていた串焼きをテーブルに置き、容赦なく返した。「そうだね、ボスは可哀想な日々を過ごしているけど、紀美子はどうなの？

「男はみんな下半身の動物で、楽しんだ後はズボンを上げて、尻を払って終わり。

「だけど、女は10ヶ月も妊娠して子供を産まなきゃならないんだよ！

「紀美子は三つ子を産んだんだ。それなのに、彼女は警察に送られて、酷い目に遭わされた。あんたたちはみんな目が見えないの？

「紀美子のことを話すように私に言わせようなんて、夢を見てるんじゃないよ！

「晴犬！言っておく、付き合えるなら付き合うけど、もし私たちの関係を利用して情報を引き出そうとしているなら、今後はもう私に連絡しないで！」

晴は眉をひそめた。「そういう言い方はないだろう。君はわかっているのか？彼ら二人の間には今、誤解があるんだ……」

「誤解だって？！」佳世子は怒りを込めて言った。「全部、晋太郎が静恵を守ろうとしているからじゃないの！？

「これが最初から最大の誤解なんだ。どうして紀美子が、この二人の畜生のために代償を払わなきゃならないのよ？！」

「晴の表情は少し暗くなった。「晋太郎は何年も彼を救ってくれた人を探していたんだ。突然見つかったんだから、恩を返そうとするのは当然だろう。

「でも、彼も静恵が噓つきだなんて知らなかったんだ。それを彼のせいにするのはおかしい」

「ええ、それなら誰のせいだって言うの？！」佳世子は嘲笑して言った。「彼自身が目が見えないだけじゃないの？

「紀美子は彼のために身を粉にして尽くしてきたのに、最後には静恵の一言には敵わなかったんだ！」

「佳世子！落ち着いてくれないか？」晴は困惑した顔をした。

「落ち着けだって？！」佳世子は怒りの言葉を吐き捨てた。「あんたの兄弟が刑務所に入れられて、死刑判決を受けたらどうなるか見なさいよ。それでも落ち着いていられるの？」

そう言うと、佳世子は晴を冷たく睨み、バッグをつかんで店を出た。

晴は心配で、急いで勘定を済ませて彼女を追った。

彼が焼肉店を飛び出した時、佳世子はすでにタクシーのドアを