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第204話 なぜ助けてくれるんだ?

 大河光輝は嬉しさを隠せずに答えた。「分かった!一週間だな!待ってやる!」

入江紀美子は頷いてボディーガード達に指示して光輝を解放した。

光輝が帰った後、露間朔也は怒りで歯ぎしりした。

「冗談じゃない!!人でなしだ!」

紀美子はソファに腰を掛け、淡々と答えた。「この世の中で一番まともに付き合えないのはこういう理不尽な人だよ」

「だから君は本当に1億で奴を追い払うつもり?」朔也は聞いた。

「そこまで裕福じゃないわ」紀美子は無力で朔也を見た。

以心伝心が消えたのかしら?

朔也は暫く戸惑ってから、急に悟った。「分かった、遅延戦術か!」

「そうとも言えるわ」紀美子は、「一番重要なのはその背後で情報を流した人は誰だったのかよ」

朔也は感心して親指を立てた。「やるな、G!」

夜、寝る前に。

紀美子は渡辺翔太に電話をかけた。

電話が繋がり、紀美子は聞いた。「お兄ちゃん、起きてる?」

「うん、どうかした?」翔太の声は疲弊に満ちていたが、優しさを帯びていた。

紀美子は軽く眉を寄せ、「お兄ちゃん、なんだか疲れてるみたいけど、最近なんかあったの?」と聞いた。

翔太は目の前の山積みの顧客資料を見て、苦笑いしながら首を振った。「いいや、喉の調子が悪いだけだ」

彼は渡辺家を内部から潰し、裏で顧客を横取りたいことを紀美子に教えたくなかった。

教えたら彼女まで心配をさせるからだった。

彼は最短時間で外祖父のコントロールから離脱し、自分を強くしてたった一人の妹を守らなければならなかった。

紀美子「明日人を遣ってハチミツを持って行かせる、体にいいから水に混ぜて飲んで。それに、ちょっと手伝ってもらいことがある」

翔太「何だ?」

紀美子「初江さんが襲われた件、そして子供達が誘拐された件で、渡辺家がやった証拠がほしいの……」

紀美子はその日の出来事を翔太に教えた。

話を聞いて、翔太は「その証拠を光輝に渡して彼に外祖父と狛村静恵に弁償を要求させるつもりか?」

「そう」紀美子「私は纏めてけじめをつけてもらいたかったけど、今は会社を巻き込まれてるから、一歩先に行動を取らざるを得なくなったわ」

「分かった、二日だけ時間をくれ」翔太は言った。

「ありがとう、お兄ちゃん」紀美子は笑って礼を言った。

紀美子に「お兄ちゃん」と呼ばれ、翔太の疲弊は一掃された。

「紀美
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