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第171話 すごい能力だね

念江は、昨夜静恵に対してしたことを、慎重に紀美子にすべて伝えた。

紀美子はその場で呆然と立ち尽くし、しばらく動じなかった。

ひとりの息子が天才ハッカーの技術を持っていたと思っていたが、二人ともがそうだったとは。

さらには、念江の能力は佑樹よりも遥かに優れている。

「お母さん?」

応答が返らず、念江は怯みを隠さず再び呼びかけた。

紀美子は思考を引き戻し、「ああ、念江……あなたと佑樹がお母さんのためにこんなことをしてくれるのは、お母さんはとても嬉しいわ。

でもこれは大人たちの問題で、お母さんはあなたたちが巻き込まれたり、傷ついたりすることを望んでいないの。

お母さんはあなたたちが幸せで健康的で、私の宝物として過ごしてくれるだけで十分です。」

念江「お母さん、わかりました。それから、もうひとつ……」

「何?」紀美子は尋ねた。

念江「お母さんは、僕が父さんに僕たちの母子関係を発見されるのを望んでいないのですか?」

紀美子は困惑し、「あなたのお父さんは何を企んでいるの?」

念江「父さんは、僕と静恵の血縁関係を調べようとしているんです。」

聞くと紀美子は少し驚いた。

晋太郎の性格からして、静恵の裏切りを知った後、念江の正体を調べることは確かだが、それは彼と念江の間のことであって、静恵と念江の間のことではなかったはずだ。

晋太郎は何かを察知したのか?

紀美子は深呼吸をして言った。「念江、あなたはもともと私の子供なんだから、このことは気にしないで。

彼が発見して、私たちの関係を推測したとしても、私たちを連れて行って鑑定をするなんてことはできない。」

紀美子はこの件を心配していない。むしろ、もし晋太郎が知ったなら、念江と彼女の会う機会も増えるだろう。

それは良いことではなかろうか?

電話の向こう側で、念江は微笑みを浮かべ、「はい」と答えた。

電話を切り、紀美子は一階に降りてきた。

そこで、二つの愛しい子どもたちがカーペットに座ってレゴを遊んでいるのを見て、彼女は寄り添って言った。「佑樹、ゆみ、お母さんはちょっと出かけてくるからね。」

ゆみは慌て立ち上がり、紀美子の服をつかんで、お母さんを自分のほうに引き寄せ、そして「ちゅっ」と柔らかい唇で紀美子の頬にキスをした。

「お母さん、気をつけてね。私はお兄ちゃんと一緒に家でちゃんとしてるから。
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