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第120話

Author: リンフェイ
last update Last Updated: 2024-12-15 18:00:01
クソ不味い!

しかも甘いぞ!

なんで甘い?まさか彼は塩と砂糖を入れ間違えたのか?

佐々木俊介はキッチンに戻り、調味料入れを持ち上げて見てみると、砂糖と塩、そして味の素が同じケースに入っていた。さっき彼が作っている時、絶対に砂糖と塩を入れ間違えたのだ。

結婚する前、佐々木俊介は家にいて母親が食事を作ってくれていて、結婚した後は唯月姉妹が作っていたのだ。だから彼は全くと言っていいほど料理を作ることができない。砂糖と塩を間違える人が作り出した料理を食べられるほうがおかしいだろう。

そして炊飯器のご飯を見てみると、それは佐々木唯月が水を入れて用意していたものだから、食べることができる。

でも、おかずがないのでは、美味しい物を食べ甘やかされてきた佐々木俊介には白米だけを食べることはできないのだ。

自分が会社で半日働き、家に帰って熱々の料理を食べることができないことを思い、佐々木俊介は怒りがどっとこみ上げてきた。頭に血が上ったまま部屋まで行き、唯月がベッドの上で携帯をいじっているのを見て、怒りが更に燃え上がった。

急ぎ足で彼女のもとへ向かって行き、片手で唯月の携帯を叩き落とすと、髪を引っ張り、そのまま床に引きずり下ろした。そして、彼女に殴る蹴るの暴行を加えた。その時、彼は子供が目を覚まさないように、怒鳴ったりしなかった。

佐々木唯月は油断していて、彼に髪を掴まれて床に倒されてしまったのだ。彼女はハッと我に返ると、すぐに彼に抵抗した。

佐々木俊介は男でもあるし、先手を取った側だから、唯月がいくら抵抗しても不利な状況だった。

佐々木俊介に殴られて顔に青あざができ、鼻が腫れても、唯月は負けを認めようとはしなかった。彼女は以前、同僚から夫婦が殴り合いの喧嘩になった時に、何があっても勝て、負けてはいけないと言っていたのを覚えていた。男に自分は簡単にはいじめられない女なのだと分からせるためなのだと。

そうすれば、男を抑え込むことができる。もし負けてしまえば、男のほうは暴力に覚えて癖になってしまうのだ。

家庭内暴力は、一度許してしまえば、それは永遠に繰り返されることになる。

佐々木俊介がまた拳を振り下ろして、彼女が激痛を感じている時でも必死に彼のその手を掴み、腕を思い切り噛み付いた。力いっぱいに噛み付かれて俊介は叫び声を上げ、もう片方の手で彼女の髪の毛を引っ張った
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    昔は姉が妹を守っていた。今その妹は大人になり力をつけ、今度は彼女が姉を守る番なのだ。「唯花」佐々木唯月は妹を引き留め、言った。「必要ないわ。お姉ちゃんも軽い怪我しただけだから。彼にも何もメリットはなかった。私が包丁持って街中を追いかけまわしたから、あの人ビビッて今後は家庭内暴力なんてする勇気はないでしょう」「お姉ちゃん、家庭内暴力は繰り返し起こるわ。あいつが手を出してきたのに、カタをつけておかないと、ちょろいと思われてまた手を出してくるはずよ」家庭内暴力など決して許してはいけない!「お姉ちゃんも分かってるから。だから絶対にあの人に負けないで殴り返してやったの。そして包丁持って街中追いかけまわしたのよ。あなたは知らないでしょうけど、彼は私の行動にすごく驚いてて、両足をガタガタ震わせてたわ。夫婦が初めて喧嘩する時は必ず勝たないといけないって言うでしょう。私のほうが勝ちよ。今後彼が私に手を上げようとするなら、彼自身どうなるかよく考えないとね」佐々木唯月は妹が佐々木俊介のところに行かないように力強く引き留めた。「彼も実家に帰っちゃったわ。あの人のところに行くってことはあの佐々木家全員を相手にしないといけないから、逆にやられちゃうかもしれない。行かないで、お姉ちゃんはもう彼に遠慮したりしない。今後彼が手を出そうが怒鳴りつけてこようが、私も相手になってやるんだから」「お姉ちゃん、どうしてすぐ私に教えてくれなかったのよ」内海唯花はとても胸が苦しくなり姉のまだ青あざが残っている顔をそっと触り、自分がその傷を受けたかのように辛そうに尋ねた。「お姉ちゃん、まだ痛む?佐々木俊介の奴!こんな力強く殴るなんて!長年培ってきた情もあるし、陽ちゃんも生んであげたってのに、お姉ちゃんにこんなひどい事するなんて」佐々木唯月は苦笑した。「私は今こんなふうになっちゃったもの。彼はもうずいぶん前から私を嫌っていたわ。結城さんも一緒に来たの?」「来てるよ。リビングで陽ちゃんと遊んでくれてる」佐々木唯月は声を抑えて、妹に念を押した。「唯花、あなたもお姉ちゃんの結婚が今ではこんなに面倒なことになったのを見たでしょ。寿退職をしてあの人の私を一生面倒見るっていう戯言を信じ込んじゃったせいね。あなたは絶対に経済的に独立していたほうがいいわ。女の人はどんな時だろうと、自分

  • 交際0日婚のツンデレ御曹司に溺愛されています   第145話

    姉妹二人はとても仲が良いとマンションの住人はよく知っていた。佐々木唯月が妹にその件を話さなかったのは、妹を心配させたくなかったからだ。「坂本さん、ありがとうございます」内海唯花は坂本おばあさんにお礼を言い、結城理仁を引っ張って、急ぎ足で姉の住むマンションへと入って行った。「昨日お姉ちゃんを送り届けたら、義兄さんがご飯を作っていなかったことで責めてきたの。その時、義兄さんの顔つきは、まさに誰がを殴りそうな感じだった。それが私に気づいた瞬間、また顔つきが変わったわ」内海唯花は結城理仁にぶつぶつ言った。「お姉ちゃん、どうして私に教えてくれなかったのよ」内海唯花は姉にとても心を痛めていた。女性が結婚するのはまるで転生するのと同じだ。彼女はひどい男のもとに転生してしまったのだ。三年の結婚生活で、義兄の姉に対する態度は180度変わってしまった。結城理仁は落ち着いた声で言った。「義姉さんも君に心配かけたくなかったんだよ。さっきあの坂本さんが言ってたじゃないか、義姉さんは包丁を持って、旦那さんを街中追いかけまわしたんだろ。つまり義姉さんは旦那さんに負けなかったわけだ。あまり心配しなくて、大丈夫さ」内海唯花が心配しないわけがない。でも、彼女は結城理仁には多くは話さず、彼を引っ張ってマンションの上の階へとあがって行った。そして姉が彼女に渡していた鍵を取り出して玄関のドアを開けた。佐々木唯月はこの時キッチンでご飯を作っていて、玄関のドアが開く音が聞こえると、佐々木俊介が戻ってきたのかと思いフライ返しを持って出てきた。もし佐々木俊介がまた暴力を振るおうものなら、もう容赦はしないと考えていた。佐々木俊介は実家に帰った後、一切彼女には連絡をよこしていなかった。しかし、彼女の義父母と義姉がひたすら彼女にメッセージを送り罵ってきた。彼ら佐々木家のLineグループでも彼女の悪口を言っていた。佐々木家の他の親戚たちに、彼女は妻としての役割を全くこなしていなかったから、夫に殴られる羽目になったのだと言って、佐々木家の他の親戚たちにも、彼女が悪いと言うように頼んだ。彼女が殴られたのは全て彼女が悪いのだ、佐々木俊介は何も間違っていない。彼女の当然の報いなんだと口から出る言葉はすべて彼女への悪口ばかりだった。ある親戚は年上の虎の威を借りて、彼女に対し

  • 交際0日婚のツンデレ御曹司に溺愛されています   第144話

    彼は少し止まって、また言った。「明日の朝は俺が君を店まで送るよ」彼がこんなにも気を使ってくれるので、唯花は電動バイクを店に残して、理仁の車に乗った。牧野明凛は夫婦二人が帰って行くのを目線で見送り、つぶやいた。「だんだん夫婦らしくなってきたわね」結城理仁は常に冷たくて寡黙だが、しかし彼の内海唯花への優しさは細かいところに見て取れた。「もし私も結城さんみたいな人と巡り合えたら、喜んで即結婚するわ」残念なことに、彼女のお見合い相手たちは結城理仁には遠く及ばない。あれらのいわゆるハイスペック男というのは、ただ収入が高いだけで、そのように呼ばれているだけなのだ。実際、ハイスペックという言葉からは、かけ離れている。この前のカフェ・ルナカルドでお見合いしたあの相手は、内海唯花のほうを気に入っていた。私的に仲介業者を通して内海唯花のことを尋ねていて、既婚者であることを知ったのに、まだくだらない夢を見ていた。牧野明凛は直接、あのお見合い相手に電話をかけ、ひどく怒鳴りつけた。もしも奴が私的に内海唯花にコンタクトを取り、彼女の結婚生活をめちゃくちゃにしたら、地位も名誉も傷つけると。内海唯花の目の前に現れなければ、牧野明凛は彼の命を助けたのと同じことだと思った。本気で内海唯花のところに行き告白でもしてみろ。彼女が相手を完膚なきまでに痛めつけるだろう。なんといっても空手を習っていたのだから。「途中に姉の家があるから、姉の家に行って様子を見てから帰りましょう」内海唯花は一日に一回は姉のところに行かないと、どうも慣れないのだ。結城理仁は、うんと一言返事した。少しして、夫婦二人は佐々木唯月の住むマンションに到着した。この時間帯はだいたい夜ごはんを終えた時間で、食後に子供を連れて外で散歩をするのが好きなマンションの住人が出てきていた。だから、この時刻はマンション周辺がとても賑やだった。結城理仁が車を停めた後、内海唯花が先に車を降り後部座席のドアを開け車から果物の入った袋を二つ取り出した。それは理仁がどうしても義姉に贈り物をしたいと言って買ったものだ。夫婦は佐々木唯月が住んでいる棟のほうへと歩いて行った。すぐに内海唯花はどこかおかしいことに気が付いた。彼女は姉の家に三年住んでいて、マンションの住人をよく知っていた。それが今日みんなが彼女を

  • 交際0日婚のツンデレ御曹司に溺愛されています   第143話

    結城理仁は心の中では内海唯花が内海家の兄弟たちに対処できないのではないかと心配していたが、何も言わず電話すら彼女にかけなかった。結婚してからもうすぐ一か月になる。彼は内海唯花のことを結婚当初よりは少し理解していた。もし本当に彼女が対処できないというのなら、必ず彼に助けを求める電話をしてくるはずだ。そんな彼女が電話してこないということは、つまり彼女だけでも問題はないということなのだ。しかも、彼女のほうが道理にかなっているわけだから、負けることはないだろう。このような考えを巡らせ、結城理仁は夕方仕事が終わって、車を乗り換えた後、星城高校に向かった。会社を出る時、九条悟は彼が最近仕事の接待や付き合いにもいかないし、九条悟にまかせっきりでプレッシャーばかり彼にのしかけてくると文句を言っていた。結城理仁は直接九条悟にひとこと述べた。「俺には妻がいるんだ。仕事が終わったら家に帰って奥さんと一緒にいるべきだろう。お互いの心を通わせなくちゃな」九条悟「......」言い訳だ!明らかにただの言い訳だ!言い訳をして逃れようとしているだけだ!九条悟は再び心の中で上司に悪態をついた。結婚してからというもの、だんだんと怠惰になっている。本当に結城理仁らしくないじゃないか。結城理仁はそんな九条悟の悪態など知る由もなく、星城高校に到着し、内海唯花の店に多くの高校生たちがいるのが見えた。参考書を見ているものもいれば、文房具を選んでいる者もいた。自分にはここでは異色のオーラがあるのを考慮し、結城理仁は直接店にはいるのはやめておいた。自分が入って、生徒たちが驚き店から出て行ってしまうと内海唯花の商売の邪魔になってしまうからだ。内海唯花は彼が教頭先生よりも厳格なのに、教師にならないのはもったいないと言っていた。しばらくして、生徒たちは塾へ行く時間になり、次々と店から出て行った。結城理仁はようやく車から降りて、店の中へと入っていった。内海唯花はその時、少しごちゃごちゃしたレジを片付けているところだった。そして結城理仁が入って来るのを見て、意外そうに大股で堂々と入って来る彼を見た。この男性は本当に並外れたオーラを持っている人だとまた感心した。まるで王者のご光臨かのようだ。これでは生徒が店に彼がいるのを見て、入ろうとしないわけだ。彼は本当にオ

  • 交際0日婚のツンデレ御曹司に溺愛されています   第142話

    金城琉生も唯花の親戚たちは最先端をゆくクズ中のクズだと思っていた。面の皮が辞書よりも厚く、恥知らずだ。「唯花、さっきのあなたたちの会話は全部録音しといたからね」牧野明凛は言った。「録音はあなたに送るわ。あいつらがまたネット上でデタラメ言ったり、ありもしないことを言い出したりしたら、使うといいわ」それを聞いて内海唯花は親指を立ててグーサインを作った。彼女はあまりの怒りでこっそり録音しておくのを忘れていたのだ。「琉生、まだ仕事に行かないの?」牧野明凛はその録音を親友に送信した後、従弟がまだ店にいることに気づき、彼に仕事に行くよう催促した。金城琉生はもうすこし唯花と一緒にいたかったので、口では「実家の会社で働くんだし、少しくらい遅れたって問題ないよ」と言った。「実家の会社で働くからこそ、もっと頑張らなきゃダメなんじゃないの。きちんと会社の規則を守ってみんなのお手本にならないと、後ろ指さされることになるわよ。さあ、早く仕事に行って。もしおばさんが、あなたがまだ会社に来ないことを知ったら、雷が落ちるわよ」金城琉生は金城家の長男の息子という立場で、彼女のおばとおじの金城琉生に対する期待はかなりのもので、彼が金城家の後継者になることを期待しているのだ。内海唯花も「琉生くん、早く仕事に行ったほうがいいわよ。これ以上ここにいたら、あっという間に退勤時間になっちゃう」と言った。金城琉生はもたもたしていたが、結局は車の鍵を取り出して外へと向かって歩いて行った。そして内海唯花に念を押した。「唯花姉さん、絶対にご馳走してくださいよね」「分かってるよ。お姉さんがあなたとの約束を破ったことがある?」金城琉生はしぶしぶ店を離れた。金城琉生が去ってから、店の中はいつも通り静かになった。牧野明凛はまた小説を読み始め、内海唯花のほうはハンドメイドを始めた。正午近くになって、忙しい時間帯になるので彼女は道具を直した。同時刻の結城グループにて。社長オフィスで仕事の話を終えた後、九条悟が何げなく言った。「結城社長、今連絡が来て、奥さんの親族たちが十数人、何台もの車ですごい勢いで彼女のお店に押し寄せてきたみたいだぞ」それを聞くと、結城理仁の瞳が少し揺れたが、相変わらず無表情で頭すら上げずに淡々と言った。「内海唯花は自立した人間だ。彼女のほう

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