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4.雪原の旅立ち

ผู้เขียน: 神木セイユ
last update ปรับปรุงล่าสุด: 2025-04-28 09:00:00

 無理なんじゃないかな。

 どちらかって言うと無理じゃなくて、絶対無理なかって。

「よし、村長の紹介状持ったな ? 」

 天気は晴天 ! 

 降り積もった雪が真っ白で、目がチカチカするくらい日光を浴びている。すぐ側には砕いた氷のような雪山が連なってる。

 村を出て道を川沿いに歩けば麓の村に着く。

 とは言え、記憶のないわたしにとって初心者の雪中行群だよ。しかも問題はそれだけじゃない。

「う……。あの……流石に今日から急に二人きりって無理があるんじゃないかと思うの」

 レオナの勢いに乗せられて、今日からセロと二人で旅をする事になった。

 なんで ? 

 いえ、わたしが知りたいくらい。

「一箇所に留まってるより、あちこち動いた方がいい ! 掲示板に張り紙して仲間を探した方が絶対早いって。

 掲示板の情報は、まとめて情報屋が各ギルドに配り歩くシステムなんだから、いずれ仲間が見たら気付くだろ ? 」

 聞きたいのはそっちじゃない。

「セロとあの夜の後、一度も話してないんですよ ? 会うの二回目が出発当日って ! 魔物がいるような地域で外に放り出されるなんて ! 気まずいじゃないですか ! 」

「いやいや。あいつは何回顔合わせても気まずいからさ。どーせ喋らないし。

 あいつはそういう……草 ? とか〜……ん〜小動物 ? とか、そんな風に見てればいいでしょ。無害よ無害 ! 」

 必要な物は辛うじて揃ってたからいいとして、まだ見ぬ「カイさん」の双剣も持った。でも魔法用の魔石は使い方が思い出せないし、戦闘能力は皆無に等しいわたし。

 それから……歌魔法の魔石。

 装備の中、胸元に光る青い煌めき。歌った時は確かに金色だったのに。この詳細も全く分からない。

「大体、セロの方が歌の旅に出ようってあんたを指名して意気込んでる訳だしさ。

 いやぁ〜、あたしもジルも最初はびっくりしたくらいだよ。あいつにそんな自立心あったんだってさぁ〜。

 ま、変な下心を持つタイプじゃないと思うよ」

「会話も成り立たないんじゃないかと思うんです。……下心以前の問題ですよ」

 でもレオナの言う通り、確かにセロって植物みたいにサラッとしてるイメージだよね。……なんて言うか男性的な視線というか、危険を感じない。

 でも、それはそれで感情も読めなさそう。

「あ、来たよ。おーい ! 」

 ジルとセロの男組がこっちに向かってくる。

「 ??? 」

 セロは一度道中で立ち止まると、ジルから離れてふらふらと横道に逸れて行く。

「セロの奴。何してんるんだ ? 」

 ジルが何かジタバタして、セロの首根っこを掴んでる。

 これ、絶対セロは後悔してるんじゃないの ? 

「レ、レオナ ! ホントにいいの !? 

 もう、嫌。こうなったらわたし ! 一人で旅出る ! 

 既に気まずいし、セロも身体が拒否してるじゃないですか ! 」

「待って待って ! あんた、この地域でソロになったらマジで死ぬよ !? いいから麓までは護衛だとでも思ってくっ付けときな」

 そんな、セロをアクセサリーみたいに ! それはそれで可哀想 !! 

「よ ! リラ、待たせたな ! 」

「ジル、あのね ! 」 

「ほらセロ、しっかりしろ」

「いや……あの……」

 あ〜〜〜、やっぱり !! 

 セロも混乱してる。なにか二人に強引に盛り上げられて、その場のノリで言っちゃったんだろうな。

 そもそも記憶喪失で何にも出来ないわたしたちがパーティ組むなんて絶望的だよ…… !! だって戦い方も覚えてないもん ! 

「装備付けて ! アイテム持ったな ? 」

 言わなきゃ ! わたし ! 

 ここで断らないと、大変なことになる気がする !! 

 レオナとジルに向かってはっきり !! 

「ジルさん、やっぱりわたし、よく考えた方がいいかなと思ってて ! 」

「「今更なぁ〜に言ってんだ ! 面白……っ違 ! 

 ……お似合いじゃねぇか !! 」」

 出た ……!

 今、二人の本音出てた ! 

 もういい。二人きりになったら切り出そう。レオナとジルは半分冷やかしじゃないの。

「よし、じゃあな。俺達も後を追うから。三日後に麓の村で会おうぜ」

 そうよね。

 次の村に行くまでだもん、すぐだよね。

 道中、よく話し合って綺麗に別れればレオナとジルも諦めつくわよね ? 

「じゃあ、セロ……。よろしく」

「ん。うん」

「……」

 目も合わないよ……。辛……。

「頑張れよーーー !! また会おうぜーーー ! 」

「あんたら ! 気合い入れて人生取り戻せよ !! 」

 軽く会釈して遂に村から一歩踏み出す。

 わたしとセロは、とりあえず歩き出すと言う雰囲気。うぅ、背中にレオナ達の視線感じる……。

 何か会話でも……って、セロはそれが苦手なのか……。会話も最初はジルを通訳みたいに話してたし、どうしたらいいんだろう。

 じゃあ……。何か……セロが興味のある話からの方がいいよね。

「あの、セロ ! 」

 音楽の事なら答えてくれるんじゃないかな。

「……○△△□…………」

「え !? 」

 思わず振り返って二度見。

 セロがわたしの大分、後ろ〜〜〜の方に離れて歩いてた。

「はぁ〜……」

 なんか、流石にモヤッとしてきた。これじゃコミュニケーションも取りようが無いじゃないの。

「ちょっと……離れすぎじゃない ?  

 子供じゃないんだから……。並んで世間話くらい駄目 ? 」

 セロが一瞬ビクッとして、それでも気を使って早足で近付いて来てくれた。……本当に小動物っぽい。まさに懐き度☆☆☆☆★ ! 

 今までどうしてたんだろう。レオナは気にせず話しそうだし、そんな感じでいいのかな。

 えーと、音楽の話だよね。

 早く切り出さなきゃ ! またセロがモグラみたいになっちゃう !! 

 音楽かぁ……ん〜。

「えと……。こないだは急にステージで倒れてごめん。わたしお酒は駄目みたい。一口くらいだったんだけどね」

「今後は絶対に飲まない方がいい」

「うぅ。ごめん。

 あぅ……それでさ、聞きたいんだけど。わたしのDIVAって石の事。本当に何も知らなくて……これはただの宝石だと思ってたし」

 セロはチラりとわたしの胸元に下がっている魔石を確認して、険しい顔をした。

「それ、隠した方がいい。荷袋に入れて盗まれたら大変だし、そのまま服の中に……見えないように着けた方がいい」

「え !? あ、うん。そうする」

 慌てて服の中に入れる。

 肌に当たった感触が冷たい。

「それは、厳密に言うと魔石じゃない。魔石ではあるけれど、精霊の魔力を持たない独自の魔力があるらしい」

「魔石の……わたしが知ってる基礎知識、確認していい ? 」

「ああ」

 あ、割と会話成り立ってる。大丈夫そう。

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