第3話

嫁は陽太を連れてドアをバタンと閉めて出て行き、私たち一家は皆おかしいだと言った。

中村樹は私が口をききすぎていると非難し、私が狂ってわざと彼の家庭を壊したと言って、私と親子関係を絶とうとした。

彼らが皆去った後、家には私と中村和也だけが残った。

お互いを見つめ合って、その瞬間、彼が怒って恥をかくかもしれないと思ったし、後悔しているかもしれないとも思った。

予想外に、彼はまた「ああ」と言って、

「橋本幸子、一生他人のプライバシーを尊重することを学べないのか？

なんで勝手に俺のパソコンを使うの？

盗み見ることは非常に卑しく恥ずべき手段だ！」

非難の口調は過去数十年と全く同じだった。

言い終えると彼は落ち着いてバッグを置き、コートを掛け、スリッパを履いて、食卓のそばに座った。

「橋本幸子、これがあなたが俺の一線を越える最後のことになることを望む！

二度とこんなことはしないでください！

スープを入れに行きなさい」

彼は眉間を押さえ、疲れた様子だった。

「もうこんな歳だから、少し心を軽くしてほしいんだ。

後で子供に電話して、謝ってください。

そんな様子は、狂った女のようで、また陽太ちゃんを怖がらせてしまう」

この瞬間、私は自分の頭の中で神経が切れる音を聞いた。

過度の呼吸により、私の唇はしびれ、手足はほとんど知覚を失っていた。

信じられない気持ちで彼の向かいに行った。

「中村和也、あなた......」

「あなた、あなたは原口玲奈と不倫をして......」

言葉が終わらないうちに、中村和也は立ち上がって私を激しくひっぱたいた。

彼は目を丸くした。大きな耳鳴りの中、私は中村和也の口が開閉しているのを見た。

「橋本幸子！言葉をそんなに汚くする必要があるの？！

全く下品だ！」

口の中に出た血の気が生臭く甘かった。半分の顔がすぐに腫れ上がり、涙が大きな粒で滾り落ち、声にも血の気があって、私は嗚咽しながら言った。

「中村和也、あなたは私をこんなに長い間騙してきた！

あなたが私を騙した！あなたは私に借りがある！」

中村和也は私が泣いているのを見てもっと嫌になり、彼は手を振ってテーブルの上の全てのものを地面に落とした。

「あなたに何を騙した？あなたとセックスができないことは、最初から言ったし、あなたが受け入れたのだ。

こんなに長い