絡み合う夜
温井薔薇の夫は、愛人のために薔薇に流産を強いた。
薔薇は復讐心に燃え、ある大企業の後継者に目をつけた。まずは探りを入れ、それから誘惑して、遂に三度目の接触で契約関係を結んだ。
春の夜に、二人は毎晩も絡み合っていたが、決して本気で愛し合うことはなかった。
薔薇の目的は、彼の権力を利用して浮気した夫に復讐することだった。
一方、男は薔薇が自分の心の中で大切に思っていた本命に似ていると感じ、寂しさを癒すための最高の存在として扱っていた。
契約が終わると、薔薇はきちんと別れを告げ、スムーズにこの関係を終えるつもりだった。
しかし、彼は暴走し、彼女を車の中に押し込み、強引に億円もする指輪を彼女の指にはめた。
車の窓の外は土砂降りの雨で、薔薇の呼吸は乱れていたが、理性を失ってはいなかった。
「舟木さん、私、結婚しています」
「構わない。もう浮気をしてるんじゃない?」
もし神様が私たちを見守ってくれるのなら、私たちはぴったりの相手だろう。もし運命に恵まれなければ、私は君と一緒にこの夜に沈んでしまおう。