週明けの、いつもより早い月曜日。久々に穏やかな気持ちでいられるのは、昨日の時間があったからかもしれない。日葵はそう思いながら、電車の外を見ていた。まだ誰もいないフロアに入ると、備品のチェックや清掃の確認をする。少しでもみんなの仕事を減らすべく、日葵は自分のパソコンを立ち上げた。プレスリリースまで2カ月を切り、大手ゲーム機メーカーからも発売されるため、接待や会議の予定も多く組み込まれるようになってきた。そうなると、やはり壮一が出席することも増える。(こんなに会議や接待が入って……いつ眠れるのよ。……関係ないけど)壮一のことを考えたくない気持ちと、どうしても気になってしまう自分に、日葵はため息をこぼす。昨日、崎本との楽しい時間を過ごし、壮一のことを考えないようにしようと心に決めても、嫌でも考えなければいけないこの状況はどうしようもない。制作現場でも必要な人間である壮一のスケジュールは、重要を示す赤色の文字で溢れていた。(いつ、自分の仕事をしているんだろう……)そう思い、無意識に壮一の部屋の方向へ視線を向けると、明かりが漏れているのがわかった。消し忘れたのかと思い、そこへ足を向けた日葵は、ドアを開けて息を飲んだ。ブラインドから差し込む光にも気付かず、机に突っ伏して眠る壮一の姿が目に入る。いつものキッチリとしたスーツ姿ではなく、上着はデスクの前にあるソファに無造作にかけられていて、ネクタイも投げ出されていた。いつでも完璧で、乱れた姿など見たことのなかった日葵は、その光景に、なぜか胸がギュッと締め付けられる。当たり前だが、壮一だって人間だ。この数カ月、壮一が来てからのチームの一体感は格段に上がり、壮一のすごさを日葵自身も実感していた。上との連携もスムーズになり、スタッフも増え、日葵の負担も確実に減った。そう。当たり前だけど、壮一の負担は確実に増えている。そんなことすら気づいていなかった。それほど自分の気持ちにいっぱいいっぱいで、過去のことで頭がいっぱいだった自分は、なんて子供なのだろう。壮一は、自分と違って努力なしに、才能だけで簡単に何でもできる。どうせ自分だけがなにもできない、普通の人間。――そんなふうに思っていた自分が恥ずかしかった。音を立てないようにそっと近づいて、散らかったデスクと疲れた顔の壮一の寝顔をじっと見つめ
ปรับปรุงล่าสุด : 2025-03-26 อ่านเพิ่มเติม