All Chapters of 【牌神話】〜麻雀少女激闘戦記〜: Chapter 31 - Chapter 40

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第1部 一章 【財前姉妹】その3 第七話 womanの麻雀講座

30.第七話 womanの麻雀講座 カオリは風呂場にキーホルダーの赤伍萬を連れてって今日のことを聞くことにした。制服と下着を洗濯機に入れて風呂場に入る前に赤伍萬に触れる。キーホルダーの金具が錆びてしまわないようにと思い赤伍萬は脱衣所に置いておくことにした。(womanいま居る?)《居ますよ。1人なんだから脳内でじゃなくて普通に話してもいいのでは?》(だめだよウチの風呂場は声が響くもん。カオリは誰と話してんだ? って思われちゃう)《そうですか、それで。何か聞きたいことがあって呼んだんでしょう?》(今日の113からの1切り推奨はどうしてなのか考えたんだけど、単純にタンヤオ警戒とは違う気がしたんだよね。なんかそれにしては絶対3は危ないからやめなさいみたいな…… なんていうか、主張が強かったように思う。womanは全てお見通しなわけではなくて合理的な答えを導いてくれてるんでしょ。なら、あれの理由はなんだったんだろうって考えてた)《鋭いですね、カオリ》(だってwomanいても負けたし。必ず勝てるってわけじゃないのは分かったわ)《私はあなたのために居る付喪神ですからね。あなたが望まないことは出来ないんです。カオリは自分が強くなりたいのであって不思議な力で万能になることは望んでません。なので私ができることは合理的正着打への導きだけなんです》 そういうことか。とカオリは納得した。(そうなのね。それで1切りの答えは? 知りたいな)《あれはですね……》 womanの麻雀講座はとても面白く合理性があり、そして斬新だった。 カオリは数分ごとに消えるwomanを復活させるために浴槽と脱衣所を何度も行き来するのであった。◆◇◆◇【womanの麻雀講座】 113はなぜ、1索切りなのか? あの時の状況はアガリが必ず欲しいオーラスでした。そこで1巡目456のリャンメンチーから入る。それには456でなければならない理由がありそうです。 つまりソーズのイッツーとか。であるとしたら待ちの形が12や13となってる可能性は高そうだけど23となってるという可能性は低く思える。イッツーが確定していないからです。イッツー確定を可能とする形が残っているのであれば4のリャンメンチーから入るのも合理的だと言えるでしょう。よって1切りの方が安全性が高い選択となります。 ⑧切りダブリー
last updateLast Updated : 2025-03-29
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第1部 一章 【財前姉妹】その3 第八話 最高の贈り物

31.第八話 最高の贈り物 麻雀大会で麻雀不足から回復したカオリは集中して受験勉強をしていた。ミサトもそれを見てホッとして自分も勉強に集中した。 受験に向けて毎日、毎日。帰ったら少しだけwomanとお話しをして。でも麻雀は今はやらないよと言うとwomanも《メリハリは大事です。それが分かっているカオリは素晴らしいし、応援したいと思います》とカオリのことを分かってくれる。 一方、スグルは自分の実力不足を痛感して仕事場では本走1番手を買って出てシフトも増やし実践経験をとにかく沢山積んだ。 マナミやユウは今まで通り受験勉強をしていた。 そして月日は流れて11月。「ね、明日は久しぶりに麻雀部行こうよ。カオリのことだから受験勉強は抜かりないんでしょ? 息抜きは必要よ」「そうね、何ヶ月も勉強に集中したし、たまには…… 少しくらいならいいかもね」11月11日 今日は久しぶりに麻雀部へと顔を出すことにしたカオリとミサト。その日は仕事に行っているスグル以外は全員揃った。いつもの部屋にカオリが入る。すると……「せーの…!」「「お誕生日おめでとう!!」」 カオリの誕生日は確かに今日だった。でも祝ってもらえるなんて思ってなかったからカオリはとてもびっくりした。「みんなありがとう。まさかお祝いされるなんて思ってなかったから…… 嬉しいな」「11月11日っていうのが覚えやすかったから。1回聞いたら間違いなく忘れないわよね」「だって1111でしょ。4連勝じゃない」とミサトとマナミが言う。カオリの誕生日は極端に覚えやすかった。「ほんとは受験も近いし勉強しようかと思ってたけど、誕生日は特別よね!」「そんな事言って麻雀したかっただけでしょ!」 麻雀部は急に召集をかけられただけのようだ、その証拠にカオリにプレゼントを買ってきた人はいない。だが、ここに集まる目的は麻雀だからそれでいいのであった。「いーからいーから! はやくやろ! 少ししかやる時間ないんだし。今日はお家でも絶対ごちそう作ってくれてるからね! 解散はいつもより早めで」 麻雀部のみんなから祝福されたカオリは勝負は勝ったり負けたりだったがとにかく楽しかった。どんなプレゼントよりもここで仲間と打てる麻雀こそがカオリには最高の贈り物となったのだった。
last updateLast Updated : 2025-03-29
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第1部 一章 【財前姉妹】その3 第九話 クリスマスパーティー

32.第九話 クリスマスパーティー12月 クリスマスという行事は恋人もいない受験生たちはフルシカトしたが1、2年生はファミレスに集まってちょっとだけパーティっぽいことをした。 彼女たちは普段なら頼まないステーキを注文するなり巨大なパフェを注文するなりしてそれなりにクリスマスを楽しんだ。「ヤチヨー。そんな大きいの食べ切れるの?」「何言ってるのよ。みんなで食べるのよ」「ええ!? 私甘いものはあんまり得意じゃないんだけど!」 4、5人前はありそうな巨大パフェをアンとヤチヨはほぼ2人で食べることになった。なお、ヒロコはヒロコで予想以上にデカいステーキに苦戦している。「なんか、クリスマスだから盛大に頼んでみたけど、結局いつも通りが1番いいかもね」「いつも通り、セオリー通りがいいってことですね」「ま、今日は特別だし。3人しかいないのが良くなかったよ。先輩達がいたらなあ」と窓際の席からふと外を見てみるとアンのクラスメイトの女子が2人歩いていた。コンコン! アンは窓を叩いて2人に気付いて貰おうと試みた。「あ! 竹田さんだ」「なんか呼んでる?」 気付いた2人は店内に入ってきた。「どーしたのー?」「倉住さん、浅野間さん、いい所に通りかかってくれたわ。このパフェが、でかすぎて……」「え、食べていいの?」「いいもなにも、もうたべらんないし……」「うん、もうむりです」「えー! ありがとう。ラッキー! サトコも半分くらい食べるでしょー?」「いや私はそんなには入らないからショウコがたくさん食べていいよ。残りは私がもらう」 クラスでも大食いの方の倉住祥子(くらずみしょうこ)とその友達の浅野間聡子(あさのまさとこ)が通りかかってくれたおかげでなんとか残さず食べ切れた。助かる。 人数も増えてクリスマスパーティらしくなってきた。 少女たちは食べ終えるとドリンクバーから各々好きな飲み物を取ってきた。 ついでにショウコとサトコもドリンクバーだけ注文してクリスマスパーティを楽しんだのだった。◆◇◆◇ ショウコとサトコは麻雀部にとても興味を持った。実をいうと常々気になってはいたのだ、財前先輩といつも何を話しているのか。なんで毎日一緒にいるのか。と。 それは麻雀部で一緒だからだよとアンが教える。(あんまり言いたくないんだけどな。理解してもらえるかな)と……
last updateLast Updated : 2025-03-29
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第1部 一章 【財前姉妹】その3 第十話 みんなで初詣

33.第十話 みんなで初詣 冬休み中にアンはショウコとサトコに麻雀をたっぷり教えた。ショウコもサトコも中々ルールを覚えられず苦戦したがそんな相手に教えるという経験がアンには新鮮でやり甲斐を感じた。すると「わかったわ!」とショウコがふと言い出した。「なにが?」「麻雀は料理よ。与えられた具材でいかに最も価値ある一皿をムダなく手早く作ることが出来るか。そういうことじゃないの?」「すごい! その通りよショウコ」「だとしたら私たちには出来る。だって私たちは本来は料理研究部。料理を科学することの応用で麻雀も科学してしまえばいい」 この日の気付きをきっかけに料理研究部の2人はその後、麻雀研究家としての才能を発揮していくのであった。──── 元日  麻雀部は勢揃いしていた。佐藤スグル、財前マナミ、財前カオリ、佐藤ユウ、井川ミサト、竹田アンナ、倉住ショウコ、浅野間サトコ、三尾谷ヒロコ、中條ヤチヨの計10名である。「カオリは着物を着てきたんだ。似合うね~。素敵な色」「ありがと、これはおばあちゃんが昔着てたものなんだ。気に入ってるの」「おばあちゃんって昔は優秀な巫女だったって話のあのヨシエおばあちゃん?」「そう、おばあちゃんは舞が上手で有名だったのよ。最初は私じゃなくて(前の)ママにあげたらしいんだけどママは胸がこう、やたら大きかったから上手く着こなせなくて私が貰うことになったの」「あー、カオリはぺったんこだもんね」「うっさいな!」 受験を控えた3年生もこの日だけは集まった。今日は部活のみんなで鹿島神宮(かしまじんぐう)に初詣だ。鹿島神宮の神様は勝負の神様だ。麻雀部としては行かない手はない。  ワンマン運転の大洗鹿島線(おおあらいかしません)は麻雀娘たちを乗せて神様の元へと進んで行く。鹿島神宮到着「大きな鳥居ねー」と入り口の大鳥居をミサトが見上げる。ミサトはこちらに引っ越してきてまだ1年も経ってないので鹿島神宮へ来たのは初めてだ。佐藤家も引っ越してきて間もないが親戚がこの近くに居るので来たことは何回かある。他のみんなも少なくとも一度は来たことがある場所だったのでミサトだけが初めてだった。「おみくじでも引くか」とミサトがおみくじを買いに行く。 占いや迷信を好まないミサトもおみくじは引いてみたいようだ。こういうのは信じる信じないとかではなく『年
last updateLast Updated : 2025-03-29
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第1部 一章 【財前姉妹】その3 第十一話 アリスラーメン

34.第十一話 アリスラーメン お詣りを済ませた麻雀部一行。よく見たらスグルがいない。「あれ? お兄ちゃんいない」「はぐれたの? 子供じゃあるまいし」「私達は子供だけどね」「じゃあ私達が実ははぐれたってこと? 1対9だけど」「いやそれは変でしょ」 と話していたらスグルが現れた。「どこ行ってたの? お兄ちゃん」「ちょっとこれ買ってた。ほらお前も」 それは学業のお守りだった。「受験生の分は買ってきたから、3年生のみんなは頑張れよ!」「「ありがとうございます!」」  カオリはもう神様の存在は信じざるを得ないのでこういうアイテムは本当に嬉しかったし、信仰心ゼロのミサトも、そうは言ってもお守りを渡されればその気持ちが嬉しかった。「お兄ちゃんったらホンっとイケメンなんだから! ありがとうね」「おう、じゃあそろそろ腹減ってきたしなんか食うか!」 するとミサトがケータイを開いて地図を見せてくる。「実はココに行ってみたいなっていうお店があるの。『アリスラーメン※』って言うんだけど」「住所はみやなか7丁目…… ちょっと遠いんじゃない?」「ま、いいんじゃない? 少し歩いて疲れた方がお腹もすいて美味しく食べれるわよ」「ミサトはタフだからなあ。でもまあそれもいいか! 歩こう」 場所を知らない状態で歩くのはけっこう時間がかかった。「あ、見てミサト。あれの読み方『みやなか』じゃなかったみたい」見てみると交差点の名前にKyucyu-Koban-Maeとある。きゅうちゅうこうばんまえ。「あーー『宮中』ってきゅうちゅうだったんだ」「神様がすぐそこにいるからだね」 一行はそんな事を話しながら歩く、そろそろ疲れたな。まだかな? 道はまっすぐ行くだけだと思うんだけどなぁ。と思っていたら……「あった! あれだ」 今歩いている道の先。道が左に曲がるカーブになっている所にアリスラーメンはあった。探しながら歩いたから遠い感じがしたが場所を知ってしまえばそんなに気になるほどの距離ではなさそうだと思った。 10名は多いので2カ所のテーブル席に案内された。店内はとてもきれいでラーメン屋というより小洒落た焼肉屋に近い作りだった。「ミサトはよくこんな良いところ知ってたわね」「せっかくみんなで初詣に行くんだから美味しいものを食べに行きたいなって思ってずっと調べてた
last updateLast Updated : 2025-03-29
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第1部 一章 【財前姉妹】その3 第十二話 それぞれの進路

35. 第十二話 それぞれの進路  アリスラーメンでの食事を終えたら3年生とスグルは真っ直ぐに帰ることにした。受験生たちは今日も勉強だからだ。なにせ受験は今月である。休んでいる暇はない。要領のいい麻雀部の3年生たちはそこまで切羽詰まってなかったが、それでも今こそが正念場なので毎日勉強をしっかりやった。  要領よくやる、というのはつまり効率よくやること。それは麻雀の才能とも言えるので麻雀部一行はほとんどみんな何をやるにも要領が良かった。効率に弱くて麻雀が強くなれる訳がない。 とくにカオリは受験を一発でクリアさせることにすごく気合いが入っていた。(絶対一発で合格してみせる。さっさと合格して…… 一刻も早くまた麻雀をするんだ!)そう思っていた。 そして……   麻雀部の3年生たちは全員現役で大学に合格。「良かった~。これでまた麻雀して遊べるね!」「早く麻雀したいから勉強頑張れたようなものよ」「それ、私も」「なんだ、みんな同じね」  4人は春から大学生になる。 ──── 「お世話になりました。今日まで、本当にありがとうございました」 「いつでも帰ってこいよ」  スグルは雀荘『ひよこ』を辞めた。新たな扉を開いて挑戦していくつもりで上京を決意した。妹にバレたら動揺して受験に響くかもしれないから妹の受験が終わるまで待ったが、どうやら受験の手ごたえはバッチリのようだったので合格を確認する必要も無さそうだ。  スグルは家を出ると妹にメールを送った。 “しばらく家を出る。部屋は使っていいけど綺麗にしておいてくれよ。今後は
last updateLast Updated : 2025-03-29
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第1部 一章 【財前姉妹】その4 第一話 マナミの告白

36.ここまでのあらすじ謎の声の正体は伍萬の付喪神だった。カオリは付喪神にコーチを受けて成長していく。そしてこの春からついにカオリ、マナミ、ミサト、ユウの4人は大学生となる。【登場人物紹介】財前香織ざいぜんかおり通称カオリ主人公。読書家でクールな雰囲気とは裏腹に内面は熱く燃える。柔軟な思考を持ち不思議なことにも動じない器の大きな少女。財前真実ざいぜんまなみ通称マナミ主人公の義理の姉。麻雀部部長。攻撃主体の麻雀をする感覚派。佐藤優さとうゆう通称ユウ兄の影響で麻雀にハマったお兄ちゃんっ子。誘導する戦略に長けている。優しい性格の女の子。竹田杏奈たけだあんな通称アンテーブルゲーム研究部に所属している香織の学校の後輩。手牌読みの才能がある。佐藤卓さとうすぐる通称スグル佐藤優の兄。『ひよこ』という場末雀荘のメンバーをしている。人手不足からシフトはいつもランダム。自分の部屋は麻雀部に乗っ取られているがそれ程気にはしていない。井川美沙都いがわみさと通称ミサト麻雀部いちのスタミナを誇る守備派雀士。怠けることを嫌い、ストイックに生きる。中條八千代なかじょうやちよ通称ヤチヨテーブルゲーム研究部所属の穏やかな少女理解力が高く定石を打つならコレという判断を間違えない。三尾谷寛子みおたにひろこ通称ヒロコテーブルゲーム研究部所属の戦略家ゲームの本質を見抜く力に長けていて作戦勝ちを狙う軍師。womanカオリにだけ届く謎の声。いつも出現するわけではなく、時々現れては助言をしてカオリを勝利へ導こうとする。その4第一話 マナミの告白 カオリたちは大学生になった。水戸駅からバスで25分の所にある朱雀谷大学へ通うことになる。大学生になって何が大変かと言えば朝の着替えであった。今までは休日以外は制服を着ていれば良かったが大学生には制服がない。オシャレに疎いカオリたち麻雀部はこれには参ってしまった。「ねえ、マナミ。これ変じゃないかなあ?」「知らないわよ。私だって分かんないんだから私の意見をあてにしようとしないでよ」 毎日私服となると服のレパートリーが圧倒的に足らないことに気付いた。「カオリ。明日、服買いに行かない?」「行く」次の日 カオリたちは水戸駅周辺をブラブラしながら買い物をして歩いた。その日は一日
last updateLast Updated : 2025-03-29
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第1部 一章 【財前姉妹】その4 第二話 変わった宝物

37.第二話 変わった宝物 私、財前マナミ。私にはちょっと変わった宝物があるの。それは麻雀マット。牌にも思い入れはあるけど、私の宝物はマットの方なの。なんでかって言うと話が少し長くなるんだけど聞いてくれる? 石井家は父と母と姉と私の4人家族でした。 小さい頃は4人でよくコタツの裏を使って麻雀をしてた。私はお姉ちゃんに教えてもらいながらだったけど6つ上のお姉ちゃんは丁寧に私がわかるように教えてくれたからあまり分かっていないなりに楽しく遊べた。 でも、そんな時代は長く続きはしなかった。だってお父さんとお母さんはそのうち離婚して私たちは小さなアパートに引っ越してしまうから。 私が麻雀を好きだったので牌は持ってきたけどコタツは買い替えたから裏面にしても緑のラシャが無かった。だからお姉ちゃんが買ってきてくれたの、麻雀マットを。あれはお姉ちゃんが私にくれた初めてのプレゼントだった。 私はそのマットを大事にしたわ。使う度にコロコロして。シワにならないように丁寧に扱って。そのうちにお姉ちゃんは自立して家を出て行ってしまうのだけど、私はいつかお姉ちゃんが帰ってきた時はまた遊んでもらおうと思って牌とマットを大切に管理した。特にお姉ちゃんに買ってもらった麻雀マットを大事に大事に扱った。 その後、お母さんは財前さんと結婚した。──────────────────《……で今に至る。というわけでラシャの付喪神が現れたみたいですね》(マナミの過去の記憶までわかるんだ)《とーぜんよ! わた…… 時間切れでwomanが消えた。カオリはキーホルダーをツンとつつく。(なんて言ってたの)《2回言うの恥ずかしいんですけど…… とーぜんよ! 私は神様ですよ? って言いました》(それ、2回言うの恥ずかしいね) クククとカオリは静かに笑う。《もう…… カオリのイジワル!》(でもそっかー。マナミにそんな過去があったのかー) カオリはマナミのお姉さん、つまり自分にも義理の姉である石井奈央(いしいなお)には1回だけしか会ったことはないが、この過去の記憶からとても優しい人なんだなと知って嬉しい気持ちになった。《能力のことはマナミさんには言わない方がいいかもしれませんね。彼女の能力もだし、私の存在も。知らないままの方が都合の良いこともあります。それに、きっとラシャの付喪神様は
last updateLast Updated : 2025-03-30
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第1部 一章 【財前姉妹】その4 第三話 働こう!

38.第三話 働こう! 少し離れた土地で麻雀をするだけ。それだけのことかもしれない。 牌はいつもと変わらないし、ルールもほぼ同じでやる事は一緒。 だが、この一戦はスグルには大きな挑戦だった。『東京で勝つ』そういう意味があった。 自然と指に汗がにじむ。いつも通りの麻雀なはずなのに緊張して固くなる。(落ち着け…… 毎日やってることを今日もやる。それだけだ) 少し手が震える。格好悪い。止まれ。震えるな。止まれよ。 スグルがそう思っても簡単に制御できるものでもない。震えは気付かれませんようにと願うしかないが、多分全員気付いてる。みっともなくて恥ずかしい。 せめて、せめて麻雀は勝たないと。みっともない姿でみっともない成績を出すことなど絶対あってはならない。男として。 だが、それは叶わないことになる。スグルの東京挑戦初日はボロ負け。(だめだ、使い物にならないと思われたに違いない。畜生! 畜生畜生!!) そう思っていたスグルだが。「佐藤さんお疲れ様。今日はついてなかったけどスタッフには向いてるね。初めてで緊張したんでしょ? そのくらい気を引き締めてるような人の方が私はこの仕事に向いていると思ってる。初めてなのに気を緩めてるような人は信頼できないしね。明日からもよろしく頼みます。ウチに来てくれてありがとう」と萬屋(よろずや)に言われた。萬屋は人を見る目がある。「こちらこそ、ありがとうございます。よろしくお願いします」 散々な成績を出した初日だったがスグルの性格を萬屋マサルは初日で見抜きそれ以降萬屋マサルは佐藤スグルを自分の右腕になれるよう仕事に麻雀にと仕込んでいくのであった。 ◆◇◆◇「そうだ。働こう!」 財前姉妹はアルバイトをしようと思い立つ。それはもちろん修行のため。となるとそのバイト先はもちろん雀荘だ。雀士にとっての修行先など雀荘しかない。いや、他の仕事でも修行にはなるが、せっかくなのでやはり麻雀を仕事にしたい。「スグルさんが働いてたとこなんていいんじゃないかな。スグルさんが辞めて募集をかけてる最中のはずだし」「なんて言ってたっけ?」「『ひよこ』って言ってたわよ確か、そこ行ってみよう」 まずはどんな所にあるのかを確認するため2人はひよこへと行ってみる。『ひよこ』は水戸駅から徒歩15~20分かかるかどうかの所にあった。 「と
last updateLast Updated : 2025-03-30
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第1部 一章 【財前姉妹】その4 第四話 雀荘ひよこの新スタッフ

39.第四話 雀荘ひよこの新スタッフ「せっかく真面目なやつが来てくれたと思ってたんだがなあ」 マスターは誰もいない店内でそうポツリと呟いた。強いやつ、ズルいやつ、賢いやつ、モテるやつ、悪さをするやつ、色んなやつと働いてきた。この店を作ったその時から、自分の店を任せて安心なやつを求めて人を探してた。(アイツになら、継がせるのも良かったと思っていたが、まだアイツは麻雀を強くなりたいという情熱があったようだ。……武者修行に出たいから辞めますなんて、やっぱりアイツは真面目そのものだなあ)「ふふ」 マスターは笑みが溢れた。スグルが行ってしまったのは痛いが、その行動こそ、スグルらしいなと思うと笑ってしまう。(頑張れ) ただそう思った。アイツに大きくなって欲しい。挑戦者であって欲しい。 午前中の店内はまだ誰もいなくてマスターは1人で朝の仕事をやっていた。 前日の片付けやフードメニューの仕込みなどやるべきことは割とある。 するとガシャンと扉が開いた。ずいぶん早いが誰だろうか。「いらっしゃいませ!」 入ってきたのは場違いなくらい若くて綺麗な2人だった。「えっと、4名様かな?」 こんな時間に来客とは珍しい。多分、貸し卓の新規客だろう。にしても綺麗だ。雀荘に来たのは何かの間違いではないだろうか。「いえ、私達フリーで少し打とうと思って来ました。でも、すぐに出来ないなら出来ないでいいです。本題から済ませるので」 フリー? 本題? どういうことだ。「アルバイト募集してませんか? 私達ここで働きたいんです。土日祝日だけになりますけど。良ければ雇ってください」「えっ、どういうこと?」 マスターは驚きのあまりワケのわからない返しをしてしまった。こんなに驚いたことは今まで生きてて初めてかもしれない。「ですから、ここでアルバイトを。土日祝日だけ。どうですか? と」「このお店は麻雀をするとこだけど?」「もちろん分かっています」「私達は高校生のころ佐藤スグルさんに鍛えてもらったんです。今は大学生なので年齢は問題ありません」 これは夢だろうか。スグルがいなくなったと思っていたらスグルの弟子がやってきた。しかもこんなに綺麗な女の子が2人だときてる。「……えっ、と……分かりました。じゃあ採用するのでシフトを作りましょう。初日は2人とも来てもらうけど、基本的には
last updateLast Updated : 2025-03-31
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