All Chapters of 【牌神話】〜麻雀少女激闘戦記〜: Chapter 21 - Chapter 30

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第1部 一章 【財前姉妹】その2 第七話 知らない方がいいこと

20.第七話 知らない方がいいこと ずっと受け身になっていたカオリにやっとチャンスが訪れた。カオリ手牌 切り番三伍六①③④④④23469西 ドラ四 ドラはないけどドラの受け入れは整っている配牌リャンシャンテンだ。第1打は9索という人が多そうな手だが、カオリの選択は――打西 23469のこの5枚が活躍する手順をカオリはこの時イメージしていたのだ。(ふうん。9索じゃないんだあ)マナミが後ろから見ながらそう思う。(私なら二三四四伍六②③④④④234の形を目指すから9索とかは捨てちゃうけどな)と思いながら見ていたがそんなのはカオリだって同じだ、だがカオリは他の可能性も考えていた。ツモ8打①ツモ7打三カオリ手牌 伍六③④④④2346789 いきなりいいのを2つ引いた。だがスルスルと手が進んだのは最初だけでここからカオリの手の成長が止まり、そうこうしてるうちにミサトの切った四萬(ドラ)を竹田アンナがポンする。「うわ。ドラポンかあ」 しかしその鳴きでカオリに届いた牌は最高だった。ツモ赤5!打六 ピンズを引いてもソーズを引いても3面張が残る最強のイーシャンテンまで漕ぎ着けた。しかも一気通貫の目まである。(あの配牌がイッツーとは……9索残しにこんな意味があったなんて…… カオリ凄いな)とマナミは感動していた。 さあピンズを引いてテンパイか? それともイッツー確定の1索引きとか? カオリが引いてきたのは想像以上の牌だった。ツモ赤伍!「リーチ!」「え、気合い入ってるなあ」とミサトが直感する。「これはヤバそうだ」スグルもこのリーチには押せなかった。「私はドラポンしてんだもんオリれないよっ!」とアンが勝負した牌は7索だった。「ロン! リーチ一発赤赤…裏。12000!」 強烈! しかしその時カオリの次のツモがポロリとこぼれ落ちる。コロン「あ!」 そこにはソーズの1。鳳凰様がカオリを待っていた――カオリ手牌赤伍伍④④④234赤56789 7ロン カオリの手は見事だった。ただ、とてもいいアガリではあったがアンに放銃さえされなければ一発でド高め1を引いて親倍満だったのも事実。 鳳凰ツモの8000オールを逃したカオリはせっかく素晴らしい12000をアガったのに落胆してしまった。知らない方がいいこともある。テンションが下がったカ
last updateLast Updated : 2025-03-19
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第1部 一章 【財前姉妹】その2 第八話 声

21.第八話 声「なに、カオリってプロ目指してたの?」とミサトは少し驚いた顔で質問してきた。「うん、実はね。でもちょっと、いま忙しいからその話はあとででいいかな」「それは私も。うん、あとで聞かせてね」 真剣そのものの私達にとって麻雀中ほど忙しい時などなかった。「チー!!」 アンが勢いよく仕掛けた。5巡目に⑦筒を⑤⑥でリャンメンチーだ。ドラは④筒。 これを見た親のスグルはこう考えた。(ふうん。ドラの④筒を待って③⑤のターツを残してたけど、どうやらそこは薄いようだ。あの鳴き方ではドラが2枚以上あるからここを鳴いて固定させ使い切りますと言っているようなものだもんな。諦めて③⑤は捨ててくか)そう思い③⑤を切り出す。すると捨て切った直後……ツモ④!(うわ! 最悪) 思わず声が出そうになるスグル。打④としたらアンに鳴かれるかもしれないが止めたらまだ中盤なのにほとんどオリしか出来ない。親番の大物手イーシャンテンなのでそれもどうなんだと思いスグルは勝負に出た。打④「ポン!」 鳴いたのはミサトだった。(なんだって?!)驚くスグル。「ふふふ」 そこには(やってやった!)という顔をして笑っているアンがいた。そう、アンは読みの名手だ。読めるということは読ませることも可能ということ。 あのリャンメンチーはアンのミスリードを狙う読ませの罠だったのである。「ツモ! 2000.4000は2100.4100!」 ミサトの満貫が炸裂。 アンに嵌められたスグルは親を落とし局面は南3局。ゲームはラス前まで進んでいた。「しかし、毎回思うけどアン先輩の麻雀にはびっくりするよね。あんなリャンメン鳴いてどうすんの? って思ったけど、まさかアガリを目指すことが目的じゃない鳴きだったなんて」「まんまとスグルさん嵌められてたね。あの鳴き方だと④④⑤⑥からか④④④⑤⑥からだと思っちゃうもんね」 ヤチヨとヒロコが後ろから見ながらアンの麻雀に感心していた。ヤチヨの歯には青のりが付いている。いつの間にかのり塩も開けたようだ。「ヤチヨ、歯に青のり付いてるよ」「あ、大丈夫です。今日は金曜日ですからね。最初から長居するつもりだったので歯ブラシは持参してます」「用意がいいね」南3局 アンからの先制リーチ。リーチのみだがこれを一発でツモり裏1で満貫。南4局ドラ六ミサト手牌一
last updateLast Updated : 2025-03-20
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第1部 一章 【財前姉妹】その2 第九話 土作り

22.第九話 土作り「ふーん。それ3索切りにしないの?」とミサトが聞いてきた。「うん、まあ、何となく……」(声が聞こえたとか言っても誰も信じないだろうし……)「当たりだったんだけどなあ。3索。鋭いね、さすがカオリ!」「!」 さっき聞こえた声が言ってたことは本当だった。不思議なこともあるものだ。「さて決勝をやる前に少し休もう、お腹すいてないか? さっきカップ麺食べなかった子はお腹すいてきたら言えよ? お湯作るから」「はーい! おなかすきました!」とヤチヨが手を挙げる。「私も!」マナミもさっきはココア飲んでただけなのでお腹を空かせていた。 2人ともカレー味を狙っているがカレー味は1つしかない。「こういうのは先輩に譲るものよ?」とマナミが未だかつてないほどの圧をかけてきたがヤチヨもこれだけは従えなかった。「私がこれは自分用に選んだんです。部長にだって譲れません!」「仕方ないわね…… 勝負よ!」「サイコロを2個振って出た目勝負…… ですね」 麻雀部は何かあると決定するための勝負にサイコロを振っていた。2個振るのは同点になりにくくするためである。「私から振ります」 ヤチヨから行ったコンコロコン5と6の11「勝った! これは勝った!! カレー味は私のだ!!」 さすがに11では勝ち確定みたいなものだ。「いや、まだわかんないし! 12出せばいいんでしょ!」とマナミは諦めずにサイコロを持つ。ヒュンコンコロコンコン 勢いよくサイコロが回転する。なかなか止まらない。コロン ひとつは6「おっ! 6出た! あともう一度6出ろ6出ろ6出ろ!」コロン 4  6と4の10「あっぶな!」「惜しかったーーー!」 負けたマナミは残り物の塩味になった。「塩って気分じゃないのよねー」「まあまあ、塩だって美味しいですよ」「じゃあ交換してよ」「それはしませんけど」 お湯が出来たので2人はカップ麺を作り始めた。 3分経過「塩うっま!」 結局マナミは塩で充分満足していた。◆◇◆◇ 決勝戦が始まる。 トーナメント勝ち上がり選手はAグループからは部長の財前マナミと1年生の三尾谷ヒロコ。Bグループからは顧問の佐藤スグルと財前カオリ。「点数は持ち越しなしでやります。優勝者は第一回優勝として名前を書いて壁に貼ります」「ちょっと待て
last updateLast Updated : 2025-03-21
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第1部 一章 【財前姉妹】その2 第十話 woman

23.第十話 woman「リーチ」 東2局にマナミからのまさかのダブリーが入る「うそでしょー!」「早すぎるぅ」 リーチ宣言牌は⑧筒。場には親のヒロコが捨てた中と⑧筒しか情報がないままカオリの切り番になった。安全牌は当然ない。カオリ手牌 切り番三伍八①③④⑦137東北白発 ドラ北(こんな手からじゃ勝負になるわけもない。降り切らなければ。しかし、どうやって?) とりあえず白でも切ろうかと手を伸ばしたその時。《⑦筒を切りなさい》 またあの声が聞こえる。(⑦筒? なんでまた)と思いながらもカオリは⑦筒を切る。通った。 その後はスグルやヒロコが色々通してくれたのでカオリは降り切り流局寸前でスグルがマナミからタンヤオイーペーを出アガリ。カオリは失点0でやり過ごすという今の状況から考えたらベストと言える結果の1局になった。(あの声はなんなんだろう。気になるなあ…… でも、味方みたいだしまあ、いいか。今は、集中だ) 幻聴だろうとファンタジーだろうと超能力だろうとどうでも良かった。いま、目の前で起きている真剣勝負。それから目を逸らす余裕はカオリにはないし、勝負以外のことなど、どんなに不思議なことであれ、あまり興味がなかった。 (さっきのカオリ先輩の⑦筒切り。なんでだろうね? ヤチヨはわかる?)とアンがヒソヒソとヤチヨに話しかける。(わかんないです。私なら字牌とか①筒あたり切りそうですけど)(だよねえ、私もそう。独特だったよね) アンとヤチヨはカオリの麻雀に興味を持ちそれからじっと張り付いて見ることにした。(なんか見てるな…… ⑦筒切りの理由とか聞かれたらなんて答えよう)カオリはふとそう思ったが余計なことを考えていたら急にスグルのダマに放銃してしまった。「3200」 一手替わりで四暗刻になる三暗刻のみのカンチャン待ちに刺さる。(しまった。全然気付いてなかった。声はいつでも聞こえてくるわけじゃあないのね……) むしろ四暗刻になる前に放銃しておいて助かったかもという風に良い方向に捉えて気を取り直す。東4局 カオリの親番が始まる。コンコロコロ……  サイの目は1と4の5「自5っと」 カオリは自分の山を少しだけ覚えてた。わざわざ覚えようと思ってたわけじゃないが白を3枚適当に積んだのは何となく記憶にあった。すると、ドラが白。しかし、
last updateLast Updated : 2025-03-22
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第1部 一章 【財前姉妹】その3 第一話 オーラ

24.ここまでのあらすじ 麻雀部は人数が増えて8人になり部内最強を決める麻雀大会を開くことにした。すると主人公カオリに助言する声があった。声の主は自分を【woman】というが……? 謎の声【woman】とは一体? そして、麻雀部最強は誰になるのか?!【登場人物紹介】財前香織ざいぜんかおり通称カオリ主人公。読書家でクールな雰囲気とは裏腹に内面は熱く燃える。柔軟な思考を持ち不思議なことにも動じない器の大きな少女。財前真実ざいぜんまなみ通称マナミ主人公の義理の姉。麻雀部部長。攻撃主体の麻雀をする感覚派。佐藤優さとうゆう通称ユウ兄の影響で麻雀にハマった。名前の通りのとっても優しい女の子。お兄ちゃんの事が大好き。竹田杏奈たけだあんな通称アンテーブルゲーム研究部に所属している香織の学校の後輩。ふとした偶然が重なり麻雀をすることになる。佐藤卓さとうすぐる通称スグル佐藤優の兄。『ひよこ』という場末雀荘のメンバーをしている。人手不足からシフトはいつもランダム。自分の部屋は麻雀部に乗っ取られているがそれ程気にはしていない。井川美沙都いがわみさと通称ミサト麻雀部いちのスタミナを誇る守備派雀士。怠けることを嫌い、ストイックに生きる。中條八千代なかじょうやちよ通称ヤチヨテーブルゲーム研究部所属の穏やかな少女理解力が高く定石を打つならコレという判断を間違えない。三尾谷寛子みおたにひろこ通称ヒロコテーブルゲーム研究部所属の戦略家ゲームの本質を見抜く力に長けていて作戦勝ちを狙う軍師。その3第一話 オーラ 東4局一本場はwomanの声は無かった。だがカオリはそんなことは別に気にしてなかった。堅実に丁寧にピンフを作ってリーチした。カオリ手牌一二三六七八③④⑥⑥123 勝負手の入っていたスグルが放銃して2900は3200。さっきのダマ三暗刻の時払った3200を返してもらった。(よーし、悪くない。1番格上のスグルさんからの直撃なら3200だって充分だ) 続く二本場はwomanの気配はしたが何も言われなかった。すんなりリーチしてツモ。カオリ手牌二三四四赤伍六①①①③567 ツモ②「ツモ。2000は2200オール」《うん、その調子!》(あ、やっぱりいたんだ)《なにも言う事無い時まで話しかけたりはしませ
last updateLast Updated : 2025-03-24
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第1部 一章 【財前姉妹】その3 第二話 雀士のプライド

25.第二話 雀士のプライド「リーチ!」 スグルの先制リーチだ。一方まだカオリは愚形残りの二向聴。カオリ手牌二四八九九②②④⑥⑦⑧北北  この手ではさすがに降りるしかない。するとスグルのリーチの一発目にマナミがスグルの捨てた牌のスジから切る。そこにカオリは少しの違和感があった。 カオリのツモは伍萬 全員に安全な北の対子落としで様子見しつつ降りることにした。(全国共通安牌を使うのは勿体無いけど、マナミのスジ切り。引っかかるものがある。探りを入れて慎重に降りたいからね。安全情報は増えないようにしていこう)《鳥立つは伏なり。ということですね。素晴らしいです、カオリ》(あれ、womanいたの?)《いま来ました。それよりカオリ。マナミを警戒しての判断。実にいいですね!》(鳥立つは伏なりって孫子だっけ? 読んだ気がする)《そうです、あのスジ切りは親のリーチに勝負してますよね。そこに伏兵の存在を感じます》(パタパターって鳥が飛び立った感じするよね。ここに人隠れてるよーって) 次巡。マナミは親リーチのド本命牌を引く。(こんなの引いたらダマってる意味ないわね!)という顔をしている。つまり。「……リーチ!」「ロン」 その牌は通らなかった。スグルのメンタンピンドラ1が炸裂する。「12000点」「……はい」 はい、と言いつつもとても悔しそうなマナミ。しかしマナーはマナーだ。放銃者は和了者に点数を渡す際には必ず「はい」と一言そえる。それが麻雀のマナー。その程度のマナーを部長が守らないというわけにはいかない。どんなに悔しくてもその二文字をなんとか絞り出して声にする。それこそが雀士のプライド。「まだ、負けたわけじゃないし!」切り替えて顔を上げるマナミは気合いのオーラを絶やさずに纏っていた。
last updateLast Updated : 2025-03-25
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第1部 一章 【財前姉妹】その3 第三話 降り損

26.第三話 降り損 一本場。12000加点したスグルに追加点を許す程甘い少女達ではなかった。これ以上離されないよ。とすぐにマナミは1000.2000の一本場をあがり返して局を進める。「本当は最高形まで育てて跳満の親被りさせたかったんだけどね。まあ、和了れたならよしとするわ」南2局(ここだ! ここで決めないと優勝はない!)ヒロコはそう思っていた。現在の点棒状況はスグル32000点ヒロコ20400点マナミ18900点カオリ28700点 たしかにトップになるにはこの親番で一撃決めたい所である。祈るように配牌を取るそのヒロコの指先にはやはりオーラが集中していた。(あ、またオーラだ。……聞きたい時いないんだよなー。配牌のタイミングとか全然居ないし) 気合いを入れて配牌を取ったヒロコだが、良いとも悪いとも言えない普通の配牌だった。この局に手が良かったのはマナミだ。「リーチ」マナミは5巡目にテンパイ即リーチとし、そして――「ツモ!」マナミ手牌一一一八八12345678 9ツモ「リーチ一発ツモイッツー! …2000.4000!」 裏が無かったのだけが唯一の救いだったが2種類安目のある3面待ちで高目ツモはキツい。(うわ、最悪。降り損だ。一発で本命の3索引いて回しちゃった、打った方が全然良かったなあ)とヒロコは後悔した。親のヒロコは4000点の払いだ。3索を勝負していれば一発といえども安目なので2600失点で済んでいた。しかしそんなことは分からないのだからそれはちょっと仕方がない。ヒロコの手が3索に対応出来ないような手であれば親番なので真っ向勝負で打っていただろう。だが残念ながら今回の手は3索に対応可能な形をしていた。つまり本当の不運は3索を掴んだことではない。3索を止めて、うまいこと迂回すれば復活出来そうな手が来てしまったことが不運だったということだ。スグル30000点ヒロコ16400点マナミ26900点カオリ26700点 満貫は炸裂したものの、まだ誰も諦めるような点差にならないまま勝負は南3局へ。 南3局はマナミの親番だ。前局の満貫ツモでトップへあと一歩という所まで来ており今1番警戒すべき相手かもしれない。しかし、そんなことで怯んではいられない。もう勝負は残り2局なのだ全員がトップを取るための最善手を選んで前進してくる。ここは
last updateLast Updated : 2025-03-26
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第1部 一章 【財前姉妹】その3 第四話 赤伍萬

27.第四話 赤伍萬 カオリはまだ中学生の頃に道端で麻雀牌を拾ったことがあった。「綺麗……」(これ、麻雀牌ってやつかな。真っ赤で、宝石が付いてて。素敵だな)「あ、あった! ゴメンそれ僕の!」そう言ってる人は細くて清潔感があり真面目そうな青年で、麻雀牌を落としたのが彼だというのがカオリには意外だった。「キーホルダーだったんだけどとれちゃったか。気に入ってたんだけどな」 たしかに、よく見るとその牌の上部にはネジ穴のようなものがあいていた。「お嬢さん、さっきそれじっと見てたけど、気に入ったのかな? 壊れちゃったので良ければあげるけど」「いいんですか!?」「うん。それがきっかけで麻雀に興味を持つ子が増えたりしたら僕も嬉しいし。一応とれたチェーンもあげとくね。大事にしてあげて」「ありがとうございます!!」「うん、いいよ。やっぱり宝石は男が持つより女の子にこそ似合うしね。きみに貰って欲しいってきっと牌も言ってるさ」 そう言って麻雀牌の落とし主は去っていった。  カオリは接着剤を使ってキーホルダーを直し、ウエットティッシュで丁寧に拭いた。それを自分の部屋の電気スタンドにぶら下げて毎日ホコリを払ったり拭いたりして大切にした。 とても気に入っているので持ち歩いたりはしなかった。落としたら大変だ。事実、前の持ち主は落としたわけだし。 何日も何年もカオリはその牌を大切にした。 ダイヤのような宝石が入ったその牌の名称は『赤伍萬(アカウーマン)』────────────南4局 最終局のサイを振る。トップ目に立ったカオリの親番なので何があってもこの1局がラストチャンスだ。コン、コロコロコロ……1と2の3「対3か」 カオリが対面の山から配牌を取る。ドラは②第1ブロック伍19①《配牌悪そうですね。いきなり1、9牌が3枚もあるなんて》(あ、woman。今回は現れるの早いね)《あなたが引いたからですよ、まだ分からないのかしら》 引いたから? どういう意味だろうか。第2ブロック白六九西《リャンメンターツが出来たけど、ひどいわね》(まだ分からないよ、役牌重ねるかもだし)第3ブロック中発③5(役牌重ならないなー、増えたけど)《いや、カオリ! これあと1枚ヤオチュウ牌引けたら九種九牌で勝ちですよ!》(そっか! チョンチョンで1
last updateLast Updated : 2025-03-27
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第1部 一章 【財前姉妹】その3 第伍話 私がナンバーワン!

28.第伍話 私がナンバーワン! womanはどうやらカオリが伍萬に触れると数分間だけ現れるようだ。通りでいたりいなかったりするわけである。 カオリの手は進んで6巡目。やっと形になってきた所でマナミとスグルからリーチが入る。それに対してヒロコも降りてない。(やばいやばいやばいやばい。まくられるよこれ)《落ち着いて、カオリ。まだ、そうと決まったわけではありません》(でも!)《ヒロコさんの手はあの切りで逆転狙いなら四暗刻か萬子チンイツです。チンイツならここにある伍萬がネックになってる可能性は高いでしょ》オーラスの点棒状況はスグル 30000点ヒロコ 7900点マナミ 26400点カオリ 35700点 事実、ヒロコの手はチンイツで伍萬がネックになっていたし、まだリャンシャンテンだ。しかしテンパイすればタンピンメンチン二盃口という逆転勝ちの可能性があり、諦めるには早かった。というより、ヒロコは確率的にはほぼ無理だろう。と思ってはいる上で分かっているけど牌に対して精一杯の努力はするという姿勢を見せたに過ぎなかった。 それは決勝戦という場に対して。または麻雀という競技に対して。そういったものに対する誠意。感謝の心からなる選択だった。なので可能性あるかぎり押す! 三倍満が必要でも、その手順があるのなら作るしかない! そう思って、最後の、もうほとんど断ち切られてしまった気力の残り僅かな力を振り絞って作るが、そこはまあ、さすがにそう都合よくはいかないのも麻雀のリアルであった。 「リーチ!」 スグルからのリーチが飛んでくる。 スグルの手は高めタンヤオ赤の1-4待ち。安目ツモでも捲れるようにとリーチした。 「私もリーチ!」 それはマナミも同じで、マナミも安目だと届かない手だった。なのでリーチで決めにきた。 2軒のリーチに挟まれてもまだカオリに勝機は充分あったのである。 ◆◇◆◇ 思っていたより局は長引き、カオリの手も整った。カオリ手牌赤伍伍伍六七①③115中中中  ついにあの配牌がイーシャンテンだ! だがまだ急所が埋まらない。ドラが引けたらいいのだが、そこが埋まらないことには5索を切りにくい。と、思っていたのだが――ツモ②! なんとズガコンと埋まる! 待ち望んでいたドラ②!《通せ》(通せ!)打5 それはスグルにもマナミにも危
last updateLast Updated : 2025-03-28
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第1部 一章 【財前姉妹】その3 第六話 芸術家マナミ

29.第六話 芸術家マナミ「さて、いつも通り感想戦といきたい所だけど今日は遅いから帰りなさい。今日疑問があったことは忘れないうちに何かにメモしておいて後日それについて検討します。それでは解散! なるべく明るい道を通るなどして気をつけて帰るように」「「ありがとうございました!!」」 少女達はいつも通り部屋を片付けようとするが「今日はいいから早めに帰りなさい。もう真っ暗だから片付けはおれとユウでやっとく」とスグルは少女達を帰した。「ありがとうございます」「じゃあな、おやすみ」──── 少女達は様々な会話をしながら駅までの道を歩いた。 とくに1年生達は麻雀の会話で盛り上がっていたので⑦筒切りの謎など質問されてはかなわんと思ったカオリはミサトやマナミと一緒に恋バナをしながら歩いているグループに混ざってやり過ごした。「ミサトはモテるでしょう? すごくキレイだもんね」「そんなわけないじゃない! 私みたいなこんな気の強い女はモテとは無縁よ」「ひそかに気にしてる男子はたくさんいそうだけどねー」「そんな弱気な男はこちらから願い下げよ」「ははっ! そりゃそうよね」「マナミこそモテるでしょう?」「当たり前じゃない。私はモテまくりよ。特に女子から……」「なんか分かる気もする」「やめてよ、私はノーマルよ。なんでこうなってるのか分からないんだから」2人の話を聞いていたらカオリにも質問が飛んできた。「カオリはモテるわよね」 そう、カオリはモテるのだ。男子人気はクラスNo.1と言っていい。そんなカオリだが彼氏を作ったことはなかった。「なんだか好かれてることはよくあるけど、私のどこを好きなのか分からないし。私は今はお付き合いとかしてる時間もないし。あまり興味もないから」「言ってみたいわそんな事」「カオリと私達のどこにこんな差があるのかしら。おかしいわ」 するとアンが横から入ってきた。「確かにカオリ先輩はモテてます。でも、それってドラの受け入れが無い手の人が何枚もドラを持ってくるようなもので毎回引いては切ってのムダヅモですよね」カオリはまさにそれ! と思い笑った。「いらないのになんとなくキープしても後で切るのがつらいだけだし。アンはうまいこと言うわね」「私らは彼氏(ドラ)受けあるんだけどなぁ」「世の中うまく噛み合わないわね」 ほんと人生と
last updateLast Updated : 2025-03-29
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