All Chapters of 【牌神話】〜麻雀少女激闘戦記〜: Chapter 11 - Chapter 20

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第1部 一章 【財前姉妹】その1 第十話 転校生ミサト

10.第十話 転校生ミサト その日、カオリのクラスに転校生がやってきた。「えー、今日からの転校生を紹介する。こちらは井川さんだ」 金髪に近い茶髪でロング。毛先をゆるめに巻いている。うちの学校は髪に対して校則はゆるいので何の違反でもないが、しかしここまで明るい髪色の人は珍しい。だけどなんだろう。すごく似合ってる。「井川美沙都です。12月25日生まれ。キリストのミサの日に東京都で生まれたからミサト。と言っても私はキリスト教じゃないけど。宗教なんて古い時代の発明でしょ、何が善で何が悪か自分の頭で判断出来るようになった現代人が頼るものじゃない。今の世には必要ないアイディアだと私は思っています。でも、自分の名前の由来はなんだかオシャレで好きなの。 親の仕事の関係で東京から引っ越してきました。よろしくお願いします」 なんか、強そうなのがやってきたな。とカオリは思った。「井川さんの席はとりあえず一番後ろに足しておいたからそこを使うように。分からないことがあれば前の席の財前が優秀だからそこに聞きなさい。ホームルームは以上だ」(あ、ほんとだ。後ろにいつの間にか席が増えてる)「財前さんよろしくね」「ええ、こちらこそよろしく井川さん」「ミサトでいいよ。ていうかミサトがいい。私、自分のファーストネームを気に入っているの」 カオリはいきなり下の名前で呼ぶのは馴れ馴れしくないか? と思ったが本人がそれがいいと望むのであれば仕方ない。「じゃああらためて、よろしくミサト」 ミサトはニコッと笑顔になって握手を求めてきた。「あらためて、よろしくお願いします! えっと……」「カオリよ」「カオリ、末長~くよろしくネ!」 この時の挨拶はまるで未来を予知するかのようなやりとりだった。  なぜならこの井川ミサトこそが財前姉妹の生涯のライバル。【護りのミサト】と呼ばれるようになる雀士なのであるが今はまだそんな事はお互い知るよしもないのであった。
last updateLast Updated : 2025-03-07
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第1部 一章 【財前姉妹】その1 第十一話 ストイックな女

11.第十一話 ストイックな女 授業が終わり教室でアンが来るのを待つ。私はいつもアンが来るまで教室で待ってそれから一緒に帰るようにしてる。この学校は1年生の教室は3階で2年生は2階3年生は1階という配置なので私が1年生の教室に行くよりアンが2年生の教室に寄る方が自然だった。すると後ろの席のミサトから話しかけられた。「ねえ、帰らないの?」「あ、私は人を待ってるからミサトは先に帰っていいよ」「彼氏?」「まさか! ただの後輩の女の子よ」「ふーん」と、言いつつもミサトは疑っているようだった。私がソワソワしていたからかもしれない。でもそれは早く麻雀部に行きたくてソワソワしていたのであって恋人との待ち合わせとかではないのだが。「ミサト帰らないの?」「カオリの後輩を見てから帰るわ」 するとその瞬間扉が開いた。ガラガラガラ「先輩お待たせ!」 アンだ「じゃあ私帰るからまた明日ねミサト」 そう言いカオリとアンが帰ろうとするとミサトがついてきた。「え? 私たち行く所あるんだけど……」「それって私がついてっちゃマズイ所?」「そういうわけじゃないけどー」「じゃあ、連れてって。私カオリと友達になりたいの」「ひとつ聞きたいんだけど。ミサトは麻雀ってやったことある?」「ゲーム機でならやったことあるからルールは分かるけど、それが?」「はい、決まり」こうして、その日から井川ミサトが麻雀部に加わった。◆◇◆◇ 自己紹介がまだだったので駅まで歩きながらミサトはアンに自己紹介をした。「……あの、はじめまして、私は井川美沙都。名前の由来はミサの日に都で生まれたから。ミサトって呼んでね!」「あたしは竹田杏奈です! 麻雀部で唯一の1年生。好きにこき使っていいんで! よろしくお願いします」「麻雀部?」「そう、私たちは麻雀部です。今から向かうのはその部室。麻雀は知性なくしては勝てないゲーム。知恵と度胸を試される真剣勝負でしょう。高校生が部活動にしても全く問題ない健全なものなはずなのにそんな部活はないじゃない? おかしいですよね。だから先輩は自分達で勝手に部活を作ったの」 たしかに、麻雀はギャンブルのイメージはあるが他のギャンブルとはまるで違い100%頭脳戦だ。ギャンブルのイメージがあるものは大抵がバカでもタコでもできるようになってるが麻雀だけはそうはいかな
last updateLast Updated : 2025-03-08
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第1部 一章 【財前姉妹】その1 第十二話 ドラ重なりに備える

12.第十二話 ドラ重なりに備えるピンポーン『……はい、ああカオリちゃん。ユウならまだ帰ってきてないよ。上がって待ってれば』とスグルが眠そうな声でインターホンごしに言う。どうやら今日は寝ていたらしい。悪いことをした。「お休みの所すみません、おじゃまします」と3人は靴を揃えて上がる。「いいんだよ、もう起きようと思ってたとこだ。今日は新人さんもいるんだね」「はじめまして、こんにちは。井川です。カオリさんのクラスに今日から転校してきました。よろしくお願いします」「はじめまして、今日からならあまり遅くなると家の人が心配するだろう。今日はいつもより少し早く切り上げようか」 ということで今日はユウとマナミを待たずにもうスタートした。 準備が整い試合開始。と同時に玄関のドアが開いた。ガチャ、バン!「ただいまーー!」「おじゃまします」 ユウとマナミだ。「あー、もうはじめてるー!」「あれ? そちらの方は?」「はじめまして。井川ミサトです」それ以上は言えなかった。いまは喋ってる場合ではない。もうミサトの手はかなり整ってきていた。親番のミサトは今が集中の時なので口を動かしていられない。 ユウとマナミはミサトの手を見に後ろに回った。東1局 親番 7巡目 ドラ1ミサト手牌二三四六七八赤⑤⑥12345 伍ツモ ミサトはここから最終形の強さと打点を考慮して打5とした。ドラ重なりに備える優秀な一手だ。しかし、次巡のツモは……ツモ赤5!ミサト手牌二三四伍六七八赤⑤⑥1234 赤5ツモ「~~~~~!!」(わあ、最悪)(でも仕方ないね)とユウとマナミはアイコンタクトで会話する。打1(だろうね)(まあそうなるかな、2索でもいい気もしたけど)次巡ツモ1ミサト手牌二三四伍六七八赤⑤⑥234赤5 1ツモ「!!」 これにはユウとマナミも笑いを堪えるのが大変だった。「……そんなんあんの」と少しボヤいて打1次巡ツモ⑤ミサト手牌二三四伍六七八赤⑤⑥234赤5 ⑤ツモ打2イッツーも見えてきた。すると、上家のアンの捨て牌が横になる。「リーチです」一発目に引いた牌は二萬。ミサト手牌二三四伍六七八赤⑤⑤⑥34赤5 二ツモ考える余地はない。「リーチ!」打⑤「ロン!」アン手牌四伍六④④④⑥456678 ⑤ロン「どないせっつーねん!
last updateLast Updated : 2025-03-10
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第1部 一章 【財前姉妹】その1 第十三話 偶然だから尊い

13.第十三話 偶然だから尊い「あ! 猫」 佐藤ユウは動物が好きだった。特に猫には目がなく、道端で猫を見かけると反応してつい目で追ってしまう。「あー、いっちゃった……」「ユウちゃんホント猫好きね、家で飼ったりはしないの? ユウちゃんち一戸建てじゃない」とマナミが言う。「分かってないなぁ。猫は自由にしてるからいいのよ。飼いたいんじゃないの。偶然出会うから尊いのよ」「偶然だから尊い…… なるほど」「それに私の両親は生き物を飼うことは反対する人達なの。嫌いなわけじゃないのよ。むしろ動物は好きなんだけど、だからこそ命をおもちゃにしたくないって考える人達で、だから私は葉っぱしか飼ってたことない」「葉っぱ?」「うん、小さい頃にね。どうしてもペットが飼いたくて大きな葉っぱに紐つけて、葉っぱペットっていって可愛がってたの。おかしいでしょ」「アメリカじゃただの石がペットとして流行った時代があったって聞くけど、それと同じかな。面白いわね」 そんなたわいもない話をしながら水戸駅から15分程歩いて佐藤家に到着した。今日も麻雀の時間だ。 マナミは先程のユウの言葉を思い出していた。(偶然だから尊い……) それはある種の麻雀の真理かもしれなかった。マナミはアニメやドラマが好きで、麻雀のアニメやDVDなどは色々観てみたのだが、どれも手品のようなイカサマをして勝つだけの話ばかりであり、それに対してなぜかは分からないが何も魅力を感じていなかった。しかし、その理由が今分かった。必然の勝ちなんて何も面白くないと言うこと。 勝利とは奇跡であってこそ。偶然のチャンスを掴んだからこそ尊いのである。 その日の夜、自室で寝る前にマナミはカオリに話しかけた。「カオリー。私たちがこうして出会ったのは偶然かな?」「何よ急に。偶然だったらどうだっていうの」「だとしたら尊いなって。……ふふふふ。それだけ」「?」「なんでもないの。おやすみ」「? おやすみ」
last updateLast Updated : 2025-03-11
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第1部 一章 【財前姉妹】その2 第一話 カオリの誓い

14.ここまでのあらすじ 親の再婚により姉妹になったカオリとマナミは同じ『麻雀』という趣味を持つ仲間だった。二人は面子を探して麻雀部を結成。マナミのクラスメイトの佐藤ユウの家を借りて部活動のようなものが始まった。【登場人物紹介】財前香織ざいぜんかおり通称カオリ主人公。読書家でクールな雰囲気とは裏腹に内面は熱く燃える。財前真実ざいぜんまなみ通称マナミ主人公の義理の姉。麻雀部部長。攻撃主体の麻雀をする感覚派。佐藤優さとうゆう通称ユウ兄の影響で麻雀にハマった。名前の通りのとっても優しい女の子。お兄ちゃんの事が大好き。竹田杏奈たけだあんな通称アンテーブルゲーム研究部に所属している香織の学校の後輩。ふとした偶然が重なり麻雀をすることになる。佐藤卓さとうすぐる通称スグル佐藤優の兄。『ひよこ』という場末雀荘のメンバーをしている。人手不足からシフトはいつもランダム。自分の部屋は麻雀部に乗っ取られているがそれ程気にはしていない。井川美沙都いがわみさと通称ミサト麻雀部いちのスタミナを誇る守備派雀士。怠けることを嫌い、ストイックに生きる。その2第一話 カオリの誓い 今日は休みなので佐藤家に麻雀部員が昼間から全員集まった。「今日は私抜きで4人でやっていいよ。私はやりたい事があるから」とカオリが言う。「やりたい事ってなに?」「みんなの麻雀を後ろから見てみようと思って」 カオリは自分が一番未熟だと思っているので勉強がしたいのだ。しかしいつもは人数がギリギリなため自分もプレイヤーになるしかない日が多かったが今日はスグルを数に入れなくても5人いる。この機会に後ろから見て色々吸収しようと考えた。 じゃあ私の後ろにおいでと全員がカオリを誘う。みんなして見られたい欲求があるとはたいした自信家たちである。そういう点でもカオリとは全然違っていた。 時間がたっぷりあったのでカオリはその日全員の麻雀を見て回りその日のことを『香織の秘録』に書き残した。 ××年××月××日 今日は一日かけて全員の麻雀を研究した。 我が姉である財前真実は全局参加型のアガリ回数勝負。打点や副露などのこだわりはあまりなく、何とかして美しく整わないものかと探る嗅覚に優れている。守りは薄いが力押しに特化しておりアガリが多いのでそれが結果的に守備にもなっていて
last updateLast Updated : 2025-03-12
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第1部 一章 【財前姉妹】その2 第二話 新入部員たち

15.第二話 新入部員たち 月日は流れてカオリたちは3年生になった。受験生になってはさすがに今まで通りに遊ぶことは難しい。 1人だけ1年生だったアンナだけはまだ2年生なので余裕があったが他の4人は全員3年生だ。必然的に集まりは悪くなった。「いいよ、私1人でも麻雀部続けるもん!」とアンナは言うがスグルとアンナの2人きりの部室はもはやただスグルの部屋に女子高生が1人上がり込んでいるだけであり、ユウは気になって受験勉強どころではなかった。 しかし、ある日その状況に変化が起きた。なんとアンナが後輩を連れてきたのだ。しかも2人も。「その子達は?」「テーブルゲーム研究部の新1年生。私が籍は置いてるけどほとんどテーブルゲーム研究部にいないのはどうしてなのかこの子達に問い詰められて、別の場所で麻雀の研究してるって言ったら興味があるって言ってついてきちゃった。別にいいよね?」「いいも何も好都合じゃないか。これでまた4人麻雀が出来るようになるな」「だってさ。良かったね2人とも」「ありがとうございます」 2人はそう言うとあらためて自己紹介をした。「私は中條八千代です。ヤチヨって呼んでください。趣味はチェスとオセロです。テーブルゲーム研究部ではみんな将棋ばかりしてて実質将棋部になっていたので麻雀の方が楽しそうだと思ってついてきました」「私は三尾谷寛子です。私も将棋より麻雀に興味があってついてきました。ヒロコって呼んでくださいね♪」 斯くして麻雀部は顧問のスグルを合わせて8人。2卓分の人数になった。◆◇◆◇ 一方、ミサトはカオリに手を焼いていた。 2人は3年生になっても同じクラスだった。3年生のクラスは1階なのでベランダは無いが庭があった。庭には小さな花壇と畑があり。その奥に小川が流れていた。遠くには山も見える。(いい眺めだなあ)と窓際の席になったカオリは外を見る。「川…。川かあ…… 山もあって…。いい風も吹いてる。麻雀したいなあ」 そう呟きながら気付けば消しゴムを握っていた。消しゴムを握っては右回転切りでパシン!  パシン!「カオリ!  なに消しゴムツモ切りしてんの」「いやあ、だって、山も川も風もあって、麻雀を連想しない方が無理じゃない?」「山も川も前からあったし風も今日だけ珍しく吹いてるわけじゃないでしょ。落ち着いて、あれはいつもの見慣れた大
last updateLast Updated : 2025-03-13
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第1部 一章 【財前姉妹】その2 第三話 麻雀大会をしよう!

16.第三話 麻雀大会をしよう!「さて、今日は全員集合するわけだけど1年生が遅いわね」「なんか買い物してから行くって言って駅前で2人はいなくなりました」とアンが報告する。 ガチャ「お邪魔しまーす!」(佐藤家は基本的に鍵を閉めていない)ヤチヨとヒロコが遅れてやってきた。何やらガサガサと袋の音がする。 「何買ってきたの?」「カップ麺を人数分とお菓子を少々と飲み物を大量に買いました」「え、気が利くけど…… なんで?」「なんでって今日は金曜日ですし多少遅くなっても明日は休み、8人いるならトーナメント戦で麻雀大会をやりたいなって」「やりますよね?」 そんな話は聞いてない、だが答えは全員聞くまでもなかった。「やるに決まってるわ!」 マンズを引いたらAグループでピンズを引いたらBグループということにして8人はまずトーナメントのグループ分けをした。ユウ「③筒」ミサト「二萬」ヤチヨ「①筒」マナミ「②筒」アン「三萬」スグル「一萬」ヒロコ「④筒」てことは、私は四萬か……とカオリも最後の1枚を一応盲牌すると。カオリ「伍萬……?」めくってみたら四萬じゃなかった。「5入ってんの? 4までじゃなく?」 準備したのはユウだった。「いいじゃない、マンズかピンズなら。ちょっとパッと見で四萬が見つかんなかったのよ」 問題ないが少し驚いたし、嬉しかった。実を言うとカオリが一番好きな牌はこの『伍萬』なのである。他のマンズはただの漢数字なのに何故だか5だけは人偏がついているということ。そしてその文字の意味は『対等』や『仲間』という意味があると言う事をカオリは知っていた。「ううん、いいよ。私、伍萬好きだし」 まずは一回戦Aグループヤチヨマナミユウヒロコこの4人の戦いだ。 場決め用にまずは東南西北を伏せてかき混ぜて掴み取りをする。ちなみにだが、この方位の順番は季節風の流れを表しているという説がある。春は東風。夏は南風。秋は西風。冬は北風だ。それを知ってると風牌がドラの時も分かりやすい。ヤチヨ「西! やった!」 西家スタートあたりは得することが多い。南3局という重要な局面で親になることで一気に勝負を決めることが出来るし南2局までどんなにへこんでいても焦らずにいられるからだ。ヒロコ「北。ラス親かあ」 北家スタートだとオーラスに親を
last updateLast Updated : 2025-03-14
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第1部 一章 【財前姉妹】その2 第四話 損得勘定

17.第四話 損得勘定 東1局はマナミが手なり※で5巡目に先制リーチをかけた。「えー! はやいー!」 全員からのブーイングだ。別に5巡目リーチは言うほど早くはないが。 数巡後……「ツモー!」マナミ手牌四伍六六七八②②②③④⑥⑦ ⑤ツモ マナミがメンタンピンツモの2600オールを仕上げる。7800点の収入。全員と10400点差のつくアガリだ。充分な打点であると言っていいだろう。 麻雀にはこの『点差』というものへの意識が重要で、例えば親番に8000を放銃したとしてもそれにより開く点差は16000であるため放銃回避をしたばかりに3000.6000をツモられて18000点差開くよりはマシだ。親番に3900の放銃をして7800点差つこうとも1300.2600をツモられてしまえば結局は7800点差開くので同じことだから気にすることはない。 この点差への意識を高めていく事で『押し得』か『降り得』かを見極めていく。麻雀とはそういう損得勘定をするゲームなのである。 さて、親のマナミが和了ったので東1局一本場だ。  スッ。とマナミが100点棒を右に置く。これは積み棒と言って一連荘目という目印だ。マナミのその積み棒を置く動作の似合うこと。堂々たる所作。(強い…… これが3年生!)ヤチヨとヒロコは既に圧倒されていた。しかし、ユウの心だけは少しも揺れていなかった。まだ、東1局。なんとでもなる。そう、考えていた。 メンタンピンをツモっただけ。それだけだったが気持ちの上ではマナミとユウの一騎討ちになりつつあった。  東1局一本場のサイが振られる。1ゾロの2 「ヤチヨちゃんドラ開けて」「あ、ああすいません……!」 これは2が出るとよくある事で、サイの目が2だと取り出しは右からになるのだがドラ表示牌は対面になるため対面がドラ表示牌をめくるのを忘れる事がある。 この時ヤチヨは完全にマナミの気合いに圧倒されていたので余計に忘れてしまった。(ヤチヨちゃんじゃ勝てそうもないな。ここは私がなんとかしなきゃ) そう感じて、展開読みのエキスパートである賢者ユウが動き出した。東1局一本場7巡目ドラ中「チー」 佐藤ユウのリャンメンチー。②③と持っている所の④を上家であるマナミからチーした。しかもその前巡にはマナミは①も捨てており、それには食いついてないという情
last updateLast Updated : 2025-03-15
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第1部 一章 【財前姉妹】その2 第伍話 ヒロコの選択

18.第伍話 ヒロコの選択 やはりマナミとユウの力の前ではテンパイ速度が違いすぎていてヤチヨは頑張ってはいたがアガれない。 苦戦する1年生達にそれでも全く容赦しない、というより油断しないのがマナミでありユウであり、つまりは勝負師であった。 本気で倒しに行く。それでも勝負は時の運なのだから。油断なんてしていいわけがない。 何度かヤチヨはテンパイしたが和了はないまま最終局をむかえた。ヒロコに至ってはまだテンパイすらしていない。 だが、ヒロコは楽しんでいた。先輩達の和了の美しさ、強さに惹かれて自分が負けてるということを辛く思うより、単純に憧れた。こんな風に麻雀をしたい。そう思ってもはや見惚れていた。 そんなヒロコは持ち点5000点しかなく。トップのマナミと36100点差。2着のユウとも31000点差もついていた。点棒状況マナミ 41100点ユウ  36000点ヤチヨ 17900点ヒロコ 5000点 もう逆転とかはほぼないなと思いつつも最後まで楽しんだオーラス親のヒロコの配牌がこれだった。ヒロコ手牌二二三三伍伍八⑥⑦⑦7788ドラは中 ドラこそないが配牌でタンヤオチートイツのテンパイをしてる!「ちょ! ちょっと! 見て見て見て見て!! すごくないですかこれ!!」と周りで見ていたカオリやスグルを呼ぶ。まるでもう和了ったかのような大騒ぎだ。(おおおおおお!!)とギャラリーもざわめく。「りーちいぃいいぃ!」打八ギャラリーは無言で顔を見合わせた。(そっち切るんかい!)と 麻雀は1や9は端牌と言って使いにくい牌なため捨てられやすく和了を拾いやすい。その次に出やすい牌が2や8だ。 そして、6などはそう簡単には出てこない牌。つまり、ここは⑥切りで八単騎に受けるのが普通なのだが。 ヤチヨは打八として一発を回避した。後ろからヤチヨの手を見るとかなり整った配牌をもらっていて八は現物になってなくても捨てたかもしれなかった。 そしてこれは2着までが勝ち上がりのトーナメント戦なためヤチヨが放銃するのは4から3に上がるだけで意味がない。(そうか! ヤチヨちゃんから出ても意味ないどころか裏乗ったらトビで終わるから困るんだ! なら出にくい牌で待っている方がいいのかも!)(これは⑥に受けたのが功を奏するのでは?)とギャラリーたちはざわついた。 中々
last updateLast Updated : 2025-03-17
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第1部 一章 【財前姉妹】その2 第六話 本物の一流雀士

19.第六話 本物の一流雀士「さてと、Bグループをやる前にちょっと休憩しながらさっきの半荘を振り返ろうか」とスグルがお湯を用意する。「私、焼きそばがいい!」「私はトマト味ね!」「じゃあ私はしょうゆラーメン」「私はまだいいからココアちょうだい」など、各々好きなものを手に取り休憩に入った。 バリッ!「ポテチの基本はやっぱりうす塩ね」「私はのり塩が好きなんですけど先輩たちが歯にのり付くの気にすると思って」とヤチヨが言った。たしかにのり塩は食後の歯のりチェックが必須だから面倒ではある。「そんなの気にしないで自分の好きなの買えば良かったのに」「だからふたつ買ってきたんです」袋をよく見たらのり塩もあった。 部員たちはあれこれ食べながらいつもの研究モードに入り始める。オーラス⑥筒単騎にしたのは凄かったね。という話題になった。「あの点棒状況とトーナメント戦という条件。トビ終了採用ということ。全てを加味すると確かに八萬単騎より出されにくい⑥筒単騎の方がむしろいいということはあり得る」「押してくれるのは三着目のヤチヨだけだしね」「あの時、ヤチヨにもドラの中が2枚来ててソーズのメンホンで倍満目指してたんだよ」「じゃあ八萬単騎にしちゃってたら……」「間違いなく放銃ね」「となると、さすがに単騎リーチをかけて見逃しはちょっと出来ないから、裏乗らないで! と言って倒してたね。裏裏で飛ばして三着でおしまいになっちゃうとこだったわ」 細かい手順はまだ荒い1年生達ではあったが戦略性はしっかりとしていてヤチヨもヒロコも優秀だった。さすがはテーブルゲーム研究部に所属するだけのことはある。「あ~ん、私がまさか一回戦で負けるなんて~! 悔しいー!」ベッドに転がり枕をバンバンと叩いて悔しがるユウ。「おい、おれの枕をバンバンするな。ホコリが飛ぶだろ。ユウの焼きそばもう出来るぞ」「湯切りしてきて♡」「……たく。ハイハイ」──── ひと休憩入れたので切り替えて、Bグループの場決めを行う。東家 カオリ南家 スグル西家 ミサト北家 アンこの並びに決定。「「お願いします!!」」(スグルさんの上家になれたのは良かった)内心カオリはそう思っていた。なぜなら結局はこの中で一番強いのはスグルであり、その下家になってしまったら1枚も甘い牌は鳴かせてもらえないだろうか
last updateLast Updated : 2025-03-18
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