いやまぁ、そうかそうか。ノーヴァにも恋をする心があったんだな。少し安心した。 特殊な生い立ちの所為か、感情が少し欠落していると思っていたのだが、そうか、そうだったのか。良かったじゃないか。 ····いや、何も良くない。ノーヴァに感情が芽生えているのは喜ばしいが、俺の置かれた状況は変わらないのだから。なんなんだ、この無駄なモテ期は。 それにしても、誰より不憫なのはノウェルだ。こいつらの色恋沙汰に巻き込まれた挙句、ヴァニルに嬲られてるんだからな。どうにかしてやらないと。 そんな事を考えていると、ヴァニルがまたとんでもない事を暴露した。 喉を焼くほどの甘さへ到達するには、双方の想いがなければならないらしい。つまりは、両想いということだ。「ちょっと待て。じゃぁなんでヴァニルの喉が焼けるんだ」「おや。やっと気づきましたか」 俺がヴァニルへ想いを寄せていると言うのか。この俺が、こんな変態を? 好きかと問われようものなら、間違ってもイエスとは言わない。なのに、どうして両想いという事になっているのだ。「貴方が阿呆だからですよ、ヌェーヴェル。貴方、とっくに私のこと好きじゃないですか。主に身体が」「なっ!? 心の話じゃないのか」「そうなんですけどね。身体から引っ張られてくる心というものもあるんですよ」 身体を懐柔され、知らぬうちに心までヴァニルの良いようにされていたという事か。言われてみれば、口では拒絶するような事ばかり言っていたが、心から拒絶した事はなかった。 むしろ、コイツらを求めて身体が疼く事もあった。アレはただの性欲だと思っていたが、そこに想いが混じっていたという事だろうか。 いや、そんなはずはない。断じて有り得ない。そんな事があってはならないのだ。それでも、思い当たる節がないわけではないから反論もできない。 コイツの言い分を認めてしまえば、幾らか楽になるのだろう。しかし、俺は難儀な性格をしているらしく、心の整理ができるまでは認められそうにない。 だが──「も
Last Updated : 2025-03-27 Read more