領主の館に戻り、エゼル、シャーロット、それからオーウェンとメリッサは今後の対応を話し合った。「僕とオーウェンで彼らを王都まで連れて行く。ただ、僕は王都へ入るのを禁じられた身だ。近くの宿場町で留まって、あとはオーウェンに任せる形になる」 オーウェンはうなずいた。「お任せあれ。途中で王宮に連絡を入れて、護送用の人員を回してもらいましょう」「あぁ、お前はやっぱり……」 エゼルは苦笑した。シャーロットが首をかしげる。「何ですの?」「オーウェンは王家から派遣されたんだよ。そうだな、母上あたりの差し金じゃないか?」「御名答です」 オーウェンは澄ました顔でいる。「エゼル様とシャーロット様のお世話と監視を兼ねまして、メリッサとともに任につきました」「監視ですって!?」 シャーロットが声を荒げるが、オーウェンとメリッサは受け流した。「奥様、それはそうでしょう。あなたたちは王都を追放された、半ば罪人だったのですから」 と、メリッサ。オーウェンが続ける。「まあ監視というよりは、お2人がヤケを起こして自殺でもしないように、見守る意味合いが強かったのですよ。シャーロット様は思いがけない速度で立ち直りましたが、エゼル様は長らく塞いでおりましたし」「……あの時は心配をかけた」 エゼルがしょんぼりしている。「あたしは本職が護衛なんです。不慣れなメイドの仕事は大変でした」「あ~、だからお料理が下手なのね、メリッサは」 シャーロットがぽんと手を叩いて、メリッサは不満そうに眉を寄せた。「種明かしをしたということは、僕たちを信用してくれたのかい?」 エゼルが言うと、2人の使用人はそれぞれにうなずいた。「ここ何ヶ月かのお2人のご様子、それに今日の一連の騒動。このオーウェン、感服いたしました。以前のお2人であれば、考えられないほどです」「……
Last Updated : 2025-02-28 Read more