書斎に通されたイレーネは疲れ切った様子のルシアンとリカルドを見て首を傾げた。「ルシアン様もリカルド様も本日はお忙しかったのですか? 随分疲れた御様子にみえますが?」「「は……??」」イレーネの言葉に呆れる2人。そしてルシアンは咳払いするとイレーネに質問をした。「イレーネ嬢、先程も尋ねたが……今まで何処に行っていたのだ? 昼食の時間になっても戻ってこないので、何か遭ったのではないかとリカルドが心配していたんだぞ?」「はい!?」いきなり、リカルドは自分の名前を出されて度肝を抜かれた。「ル、ルシアン様……? 一体今の話は……」しかし、リカルドはそこで言葉を切った。何故ならルシアンが自分のことを睨みつけていたからである。「まぁ……そうだったのですか? リカルド様、御心配おかけしてしまい大変申し訳ございませんでした」イレーネは丁寧に謝罪した。「い、いえ。確かにとても心配は致しましたが……こうして無事にお帰りになられたので良かったです。それでイレーネさん、何故ここまで遅くなったのか教えて頂けませんか?」「はい、親切なお方にお会いして、自分の価値を上げてまいりました。ついでにお腹が空いてしまったので、軽く食事を済ませてきたので遅くなってしまいました。でもまさかそれほどまでにリカルド様に心配されていたとは思いませんでした。重ねてお詫び申し上げます」「い、いえ。そんなに丁寧に謝らなくても大丈夫ですよ。イレーネさん」美しいイレーネにじっと見つめられ、思わずリカルドの頬が赤くなる。(何なんだ? リカルドの奴は……? まさか、イレーネ嬢に気があるのか?)自分でリカルドに話をふっておきながら、何故かルシアンは面白くない。そこで大きく咳払いすると、呼びかけた。「ゴホン! ところでイレーネ嬢」「はい、ルシアン様」「先程、自分の価値を上げてきたとか何とか言っていたようだが……一体それはどういう意味なのだね?」「そうです! 私もそのことが気になったのです!」リカルドが口を挟んできた。「はい、本日はルシアン様の契約妻として恥じないように身なりを整えようと思い、ブティックを探しておりました。そこへ2人の親切な女性が現れて、私をマダム・ヴィクトリアというお店に連れて行ってくださったのです。そうそう、そのうちの1人の女性はブリジットという名前の女性でした。確か
Last Updated : 2025-02-24 Read more