翌日、その新町図書館にやって来た。私を迎えてくれたのは美しく気品のある司書だった。この女性の瞳は深い青で、黒い絹糸海藻のような髪が腰に流れ落ちていた。鼻には金糸のフレームのメガネがかかっていた。首には紫色のクリスタルのペンダントがついていて、神秘的で美しかった。私を見ると、彼女は興味深げに口元を動かした。「本を借りるか?」私は何も言わず、ただ彼女にその鍵を渡した。彼女は見て一言だけ言った。「ついてきて」彼女について個室に入った。彼女は休憩室に行き、飲み物を作りながら言った。「遠山颯斗は本当に死んでもあなたを計っ計算しているわね......」この言葉を聞いて、私は驚いた。この人、「彼女は私を知っている?」一瞬、頭が混乱した。次の瞬間、彼女の名札を見て、そこには、「司書 斉藤紗耶香」と書かれていた。わかった。彼女は、遠山颯斗がずっと言っていた沙耶香だろう。あるいは、あの深海鮫なのだった!だが彼女の様子は悪人には見えなかった。私は眉をひそめて彼女に尋ねた。「深海鮫って君のこと?この件、いったいどういうことなの?」「そう、私は深海鮫だ」斉藤紗耶香は飲み物を私の前に置いた。ゆっくりと語り始めた。「予想外のことがなければ、遠山綾音は死んでいないでしょうね?」私は驚いて彼女を見た。彼女はどうして知っているの?「恋人呪いは愛人に反撃が及ばず、呪いをかけた人だけに反撃が及ぶからだ。」「そして遠山颯斗の愛人は遠山綾音じゃなく、私の先輩、さやか沙耶香さんだ」「私と先輩は名前が同じだが、漢字が違うの」私は頭が混乱した。「先輩?」
Last Updated : 2024-10-29 Read more