弥生は小さな口を止めることなく次々と言葉を吐き出し、瑛介は自分が全く反論できないことに気づいた。彼は以前から弥生の口の達者さをよく知っていた。最初、彼女を職場の交渉に連れて行ったとき、弥生はそのような仕事の経験が全くなく、年齢も若かったため、多少怯んでいた。しかし、経験を深めるうちに、彼女は次第に交渉できるようになり、論理も思考も非常に明晰になっていた。いつも相手の主張を簡単に覆すことができる。今、彼女はそのスキルを自分に向けて使っている。そして瑛介は、自分が何も言い返せないことに驚いていた。実際、奈々が家に来たことも、彼女が弥生の服を着たことも事実だった。弥生が冷ややかに唇を歪め、「どうして黙ってるの?瑛介、ちょっと考えてみてよ。もし私が他の男を家に連れてきて、その男にあなたの服を着せたらどう思う?」と言った。弥生が口にしただけで、瑛介はその状況を想像することさえ受け入れられなかった。ましてや、それが現実になるなんて……。瑛介が黙り込んでいるのを見て、弥生は彼を押しのけ、ノートパソコンを手に取り、その場を離れた。部屋に戻ると、弥生はやっと安心して息をついた。先ほどの一連の言葉で、瑛介は完全に混乱になったようで、もう他のことを追及することはないだろう。どんなことでも構わないが、彼女の秘密がバレなければそれでよかった。彼女はノートパソコンを片付けて、食べ物を探しにキッチンへ向かった。シェフが昼食の材料を準備しているのを見て、彼女が入ってくるとすぐに挨拶してきた。弥生はキッチンを一通り見渡し、頷いて言った。「朝はお菓子を作ったか?」「作りましたよ」と、石井盛と呼ばれるシェフはすぐに後ろのキャビネットを開けて、中から綺麗なお菓子を取り出して弥生に手渡した。弥生の目が輝いた。それは、ふっくらとした白いお大福とシュークリームの盛り合わせだった。彼女の目の輝きを見て、盛は今日のお菓子が成功したことを確信し、にこやかに言った。「お好きならお持ちください。でも甘いものは一日に食べすぎないように。午後には別のお菓子を作りますね」弥生は拒否しなかった。今、彼女は甘いものに食欲をそそられていた。脂っこいものを見ると食欲がなくなり、少しでも生臭いものは吐き気を催してしまうが、これらの甘いものには食欲が湧いていた。彼女は以前、ここまで甘いも
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