それを聞いて、そこにいる社長たちはとても驚き、すぐに九条悟に尋ねた。「九条さん、結城社長に好きな女性ができたんですか?一体どこのご令嬢ですか?」まさか結城理仁のような堅物に春がやってくるとは。「しいー、秘密ですよ。秘密にしてもらわないと、また社長から私がおしゃべりで噂好きな男だと言われてしまいますからね。社長は彼女に愛が芽生えたわけではなく、その方に興味を示している段階です。社長がその方を好きになれば、彼の性格から言ってきっと公表されることでしょう」公になれば、神崎姫華のように彼を慕って付き纏う人はいなくなるだろう。社長たちは激しくそれに同意した。彼らは結城社長はちゃんと女性を好きになるのだと知ることができただけで十分だった。ある社長の家には結婚適齢期の娘がいて、自分にも、もしかしたらチャンスがあるかもしれないと企んでいた。結城社長が女性を好きならば、彼は今後結城グループとの商談の時に娘を勉強のためにと一緒に連れて来て、社長に気に入られないか試してみてもいいのだ。どのみちその社長が気になっているという女性もまだ恋人関係になったわけでもないのだから。それなら公平にライバルとして張り合えるだろう。理仁は自分の頼りになる秘書が彼を売るような真似をしているとは知りもしなかった。彼は部屋の外で妻からの電話に出て、気分は上々だった。口元には笑みを浮かべていたが、もちろん話をする時にはいつも通り声を低く落ち着かせて「どうした?何か用事?」と尋ねた。「何もないんだけど、ただあなたに電話したくて。昼休憩中だった?もしかして邪魔しちゃったかな?」内海唯花は昼休憩の時間帯だから、彼の邪魔になっていないか心配していた。「今昼ごはん中なんだ」内海唯花はそれを聞いて「えっ」と一言漏らし、続けて彼に聞いた。「昼ごはんには少し時間が遅くない?仕事が忙しいのは知ってるけど、やっぱり12時になったら食べたほうがいいわ。胃が荒れちゃうわよ」「わかったよ」誰かから心配されるのは、はじめての事ではないが、唯花から心配されるのは他の人からされるのとは違って格別に心が温かくなった。「あの、結城さん、私にお昼ご飯を頼んでくれてありがとう。とっても美味しかったわ。食後のフルーツもとても新鮮だったし」やはり高級ホテルのサービスは最高だ。結城理仁は相変わ
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