佐藤大将は孫娘のか細い肩を見つめながら、胸が締め付けられる思いであった。これほどの苦難を味わってきた彼女に、今度は自分の祖父である己のために奔走させ、一族の悲劇を取引の材料として使わせるなど、どうして忍びようか。玄武が静かに口を開いた。「外祖父様、さくらの申す通りでございます。これら一連の出来事は切り離して考えることなどできません。また、これはただ外祖父様のためだけではなく、両国の戦争回避のための努力でもあるのです」個別に扱えば、確かに平安京は認めるだろう。謝罪と賠償さえ行うかもしれない。だが、それは交渉における重要な切り札を失うことに等しかった。佐藤大将にもその理屈は分かっていた。しかし、さくらにとってはあまりにも残酷な話であった。言葉を続ける気力が失せた。祖父と孫が向かい合って座っているというのに、家族の話はできず、国事は心が痛み、もはや語るべき言葉が見つからなかった。せっかくの再会なのに、このまま別れるのも惜しかった。玄武は最も安全な話題を見つけ出した。「さくら、梅月山での出来事を外祖父様にお話ししてはいかがでしょう?きっとご興味をお持ちになるはずです」と、柔らかな微笑みを浮かべながら言った。佐藤大将の目が急に輝きを帯びた。「そうだ、お前は梅月山で菅原様を師と仰いだそうだな。じいも二度ほどお会いしたことがある。残念ながら深い話をする機会はなかったが、どのような方なのだ?厳格な方なのか?お前の武芸がこれほど優れているということは、修行の道のりで相当の苦労があったに違いない。菅原様の厳しい指導のおかげだろう」さくらは微笑んだ。その瞬間、柔らかな笑みが眉目にこぼれる。「師匠は全然厳しくないんですよ。むしろ私たちの大師兄のような存在で、時には私たち弟子よりもいたずら好きなくらいでした。だから師叔様は師匠の振る舞いが気に入らなくて。私たちを叱るのも、実は師匠への当てつけだったんですよ」佐藤大将は目を丸くした。「いたずら好き、だと?いや、それはおかしいぞ。じいも会ったことがあるが、あの方は冷たく厳めしく、近寄りがたい印象だったはずだ。いたずら好きなどという言葉とは程遠かったが......」さくらの笑顔は一層深まった。「みんな騙されているんです。あの冷たく厳めしい態度というのは、実は人見知りなだけなんですよ。見知らぬ人と付き合
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