「へその緒が首に巻きついているから」それを聞いて、山内さんはため息をついた。こうなってしまっては、どうしようもない。二人は手術室の前で二分ほど待った後、看護師が出てきた。「赤ちゃんの日用品は用意できましたか?揃っていれば渡してください」「はい、準備できています」山内さんはすぐに答えた。彼女はリュックを開け、日用品を取り出した。時間がなかったため、小さな服とおくるみは一着ずつしか持ってこられなかったが、買った後すぐに洗って袋に入れておいたので、そのまま使える状態だった。あとは帽子、おむつ、哺乳瓶、粉ミルクなど。看護師はそれらを一気に抱え、手術室へと戻っていった。しばらくすると、手術室の赤いランプが消え、中から医師が出てきた。「清次さん、おめでとうございます。女の子ですよ。母子ともに無事です。赤ちゃんはすでに保育器に入れました。おそらく二ヶ月ほど入院が必要でしょう」清次は胸の奥の重みがすっと消え、ようやく息をついた。「由佳は?」「まだ処置中ですが、すぐに病室へ移されます」「わかりました」「では、私はこれで失礼します」医師は清次と軽く言葉を交わし、去っていった。二分後、由佳が左手に点滴をつけ、看護師に付き添われて病室へと運ばれた。清次はベッドの横を歩きながら、「由佳、お疲れ。今の体調はどう?」と声をかけた。由佳は帝王切開で局所麻酔だったため、意識がはっきりしており、微笑みながら答えた。「大丈夫。私たちの赤ちゃん、女の子だったね」「知ってるよ」清次は彼女の手を握り、目元が潤んだ。「ありがとう、由佳」許してくれて、支えてくれて、どんな困難があっても自分を見捨てなかった彼女に、彼は心から感謝していた。これからは、二人の大切な娘と共に歩んでいくのだ。どんな時でも、彼は娘と由佳を守り続けると決心した。病室に着くと、看護師が注意事項を伝えた。「今から六時間の間は食事を控えてください。六時間後にまずは流動食を摂りましょう。味付けは薄めにして、刺激の強いものは避けて。できるだけ仰向けか横向きで寝て、傷口を圧迫しないようにしてください。傷口は清潔に保ち、衣類やシーツはこまめに交換して。何かあればすぐにナースコールを押してくださいね」「はい、わかりました」看護師が部屋を出ると、病室
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